Ella Enchanted。


こないだ言及したアン・ハサウェイのElla Enchantedっつー映画なんだけどすんげー革命映画なのね。話のあらすじとしてはさ、農民の娘みたいな感じのエラが妖精に服従の魔法をかけられちゃってね、ようはこの服従の魔法っつーのは命令系で言われたことは全て従っちゃうっつーような魔法でさ、で、エラが魔法をかけられたのは赤ちゃんのときでまぁそこから大人になるまでずーっと魔法がかかったままでさ、んでまぁそれに色々困らされるのね。まぁディティールはいいとしてさ、んでまぁ世界観としてはすんげーベタなロードオブザリングみたいな中世っつーかさ、いつの時代か分からんけどファンタジックでエルフとかドワーフとかジャイアントがいるみたいなああいう世界観なんだけどそれが脱構築されてて完全にアメリカなのね。


コミカレがあったりパーティーがあったりプリンセスファンクラブがあったり、まぁすんげーベタなアメリカの学園モノみたいなフォーマットを中世のファンタジーの世界観でやってるっつー面白さがあるんだけどさ、んでまぁエラが偶然にこの大人気の王子と出会って恋に落ちて行く・・・みたいな展開なんだけど、世間知らずの王子がさ、エラと旅をするときに色々と世の中のことを見るのよ。例えばジャイアントが奴隷みたいな扱いを受けていてすげー酷い労働条件で働かされていてモロに搾取されてるとかさ、エルフにはエルフってだけで確か歌を歌っちゃいけないだとかなんだとかっつー規制があったりさ、まぁようはこの王子が属する王国ってのは全体主義的でファシズムっぽい帝国なわけ。


で、王子は全然政治とかに興味無いんだけど、エラが「こんなの酷いじゃない!なのにあなたはなんとも思わないの!」みたいな感じで王子に言うんだよね。で、王子がだんだん政治意識に目覚めていくみたいな。ただこの王子のおじさんってのがまぁ実質的な権力を握っているやつなんだけど、こいつがまぁ悪いやつでさ、んでエラと王子の恋路の邪魔をしようとして、んで王子を暗殺しようとするんだけどね、まぁ王子が王様に即位するって予定だったんだけど王子が死ねば自分が王様になれるってことで暗殺しようと思うんだけどまぁストーリーのディティールはいいとしてさ、まぁネタバレになっちゃうけどね、最終的にエラが監禁されちゃうのね。ようはエラの服従の魔法を知る事が出来た王子のおじさんってのがさ、エラを利用して王子を殺そうとするわけ。命令には従っちゃう魔法だからさ、それを利用して暗殺しようとするんだけどね、ただまぁこのエラの魔法が解けるっつーきっかけがこれまた革命的なんでそれは是非見てほしいんだけどさ、最終的にエラが王子のおじさんの悪事を暴こうとしてね、で、虐げられているエルフとかジャイアントを引き連れて王子の王様の即位式みたいなのに突撃するんだよね。


農民の娘みたいな感じの娘がさ、服従魔法にかけられてさ、んでも自分の強い意志でその魔法を自分の力で解いてさ、んで政治意識の高い言わばプロレタリアートみたいなエラがさ、虐げられているサバルタン達を引き連れて帝国に突っ込んで行くって凄くない?ステイツマンとしての王子を目覚めさせたのもこのプロレタリアートエラでさ、で、最終的にエラはこの王子と結婚することになるんだけど、これって完全に革命が成就したってことだよね。プロレタリアートが権力側のステイツマンと結婚して政治的イニシアティブを握るってことだもんね。そりゃー当然、エラとこの王子が政権を握ればサバルタンも解放されるじゃん?人間優位の王国じゃなくて平等的な王国が築かれるっていう。これって基本的にアメリカの理念だよね。


アメリカの映画ってこういうの多いんだよ。現実社会ではさっぱり達せられていないアメリカの理念的な部分を映画で見せるんだけど、んでもそれは政治的にあってるからオッケーなんだよね。「やりたくないなんて思う事を無理矢理やらされるなんて苦痛だ!」っていうエラの自由への意志みたいなのはプロレタリアートの叫びと言えるものでさ、それが象徴的に服従の魔法っていうものでプロレタリアートとかサバルタンの鎖みたいなのを表しててさ、んで白人優位で金持ち優位な王国という名の帝国が世の中を支配してる中で自由を叫ぶエラが自分の自由とともにサバルタンの自由も叫ぶっていうのが凄いなと思って。まぁベタでさ、映画としては軽いノリのファンタジーコメディみたいな感じなんだけど、めちゃめちゃ革命的なんだよね。


被差別側をプロレタリアのエラが率いるっていうのが凄い示唆的なんだよね。現実のアメリカで言えばアフリカンアメリカンとかヒスパニック系とかアジア系とか色々まぁ言えるじゃん?だからまぁ脱構築的なのね。現代のアメリカってのを中世ってのにズラして描いてるっていう。ただ現実は帝国とサバルタンみたいな関係性がこのファンタジー世界ほど明確じゃないからさ、簡単にこうはいかないんだけど、んでもまぁ理念的な部分で言えば現実の社会でもワークするっていうかワークさせるべき理念じゃん?ようはWake up!みたいなことだよね。奴隷が強い意志によって服従っていう鎖を自ら切り離して帝国に立ち向かうっていうさ、まぁこれをベタに描いてもつまらんから、こういう感じのコメディでやってるっつーのがいいよね。一見エンプティなティーンエイジャー系の映画か?と思わせておいてかなり政治的っていう。


これは副題は「エラの革命」とかでもいいぐらいだね。Ella Enchantedってのは「魔法にかけられたエラ」ってことだけど、まぁ鎖につながれたエラなわけでさ、それを愛と自由の意志の力で打ち勝つっつーのがすげーいいんだよね。意志こそが全ての源だっていう。原作がアメリカの作家の小説らしいんだけどまぁなるほどなって感じだよね。シンデレラの世界観のままシンデレラが革命を起こすっつープロットだよね。ただまぁ問題なのはさ、鑑賞者が映画によってカタルシスを得られるってことだよね。苫米地風に言えば変性意識化において服従の魔法を解くというプロセスを体感することが出来れば現実世界でそれをやる必要は無いっていうさ、ようは欲求が映画によって満たされて、それがメッセージ性というよりかはガス抜きになっちゃうってことだよね。簡単に書けば痛快な映画を見て満足して現実では何の変化も求めないってことね。


で、DVD調べたんだけど出てないのかな?分からん。とりあえず関連URL貼っておくわ。ってことで今日はこの辺で。明日あたりまた長いのが来る予定。


http://www.imdb.com/title/tt0327679/


まぁ映画としては並なので。金曜ロードショーとかでやってたらまぁ可愛いから見るかなっていうレベルね。



第5章のアメリカのドラッグの話が面白い。良い意味でも悪い意味でもレクリエーションドラッグとしての害のないドラッグに関しては寛大なアメリカの姿勢ってのがよく見えてくるね。これはいつも書く事だけど大麻所持で捕まるってのは悪法だから絶対無くしたほうがいいわけね。You The Rockにしてもリテラシーが無い人は「ヤク中だったのか!」とかさ「ドラッグやるなんて悪いやつだ!」とかって思ったりするじゃん?そういうのがいかに一人の人間を無益に潰すことになりかねないっつー人材の損失という面から本当に考え直したほうがいいわけね。