プラトン よっ。久しぶり。
ミミセミス あ、お久しぶりです。プラトンさん。1年ぶりぐらいですか?
プラトン そんぐらいかな?分からん。あの衆愚政治の話したときだよね?俺がテレビに出たやつ。
http://d.hatena.ne.jp/mimisemi/20090511
ミミセミス そうですね。もう1年も経つんですねー。時が経つのは早い。
プラトン まぁもっとも今の俺にとって時間なんて意味ないけどね。
ミミセミス そうでしょうね。羨ましい。
プラトン 羨ましく見えるもんなんだ?まぁいいや。
ミミセミス ところであれなんですよ、最近数学やってるんですね。
プラトン ほうほう。政治には呆れたってか?
ミミセミス いや、そういうわけじゃないんですけど、ただまぁプラトンさんも言ってたように「幾何学を知らざるもの、この門をくぐることなかれ」ってことなんですけどね、ようは認識の基盤としての数学というのを学びたいなとか思いまして。
プラトン そうなんだ。
ミミセミス まぁ実際はただの偶然だったんですけどね。学校の数学の授業で集合論ってのをやって、まぁそれ以来面白いなって思うようになって。プラトンさん云々ってのは後付けの理由です。
プラトン まぁお前のことだからそんなことだろうとは思ってたけどね。好奇心が最初で、んで理由は後付けだろ。いつも。
ミミセミス バレバレですね。
プラトン うん。バレバレ。
ミミセミス で、リアリズムのオントロジーについて質問があるんですけどね。
プラトン うん。
ミミセミス プラトンさんは数学的実存ってのは現実とか関係無しに独立して存在しているものだって言ってるじゃないですか?
プラトン 言ってるよ。
ミミセミス んでもその実存ってどうやって規定するんですか?
プラトン これまたずいぶんと形而上学的な質問をするね。まぁ簡単に言えばね、概念ってのは「ある」ものなんだよ。
ミミセミス といいますと?
プラトン いやね、例えば幾何学的実体ってのは人間の感覚とかとは関係無しに存在するものであるってことよ。
ミミセミス でも触れなくないですか?
プラトン うん。触れないよ。
ミミセミス ってことになるとあれですよね、例えば今、日本で流行ってるっつーかここ数年ぐらいでもうカルチャーと化した萌え系ってありますよね?
プラトン あるらしいね。前に日本来た時にアキバ行ったけどマジで面白かった。
ミミセミス ああいうのって幾何学的実体って言えるんじゃないですか?
プラトン 言えるね。
ミミセミス 例えばまぁ現実にあんな目が大きい女の子っていないですけど、ただまぁ図形的には概念的に存在するってことですよね?
プラトン そうだね。むしろ物理的なオブジェクトはbecomingなもので、まぁある意味で不完全なわけだ。ただ数学的オブジェクトはbeingで完璧なものだよね。最上級のbeingがThe Goodなのは言うまでもない。
ミミセミス でもその完璧って概念も相対的じゃないですか?だって萌え系のアニメに出てくる女子が完璧なbeingとは言えないでしょ?
プラトン ただまぁあれはアキバ系のオタク達の概念の反映と言う意味で完璧なbeingなんだよ。ああいうのは歳とったりしないし、完全に概念の中で存在している。
ミミセミス 例えば僕の場合ですね、萌え系のアニメの女の子に全然萌えないんですよ。というかああいうのは嫌いなんです。
プラトン まぁそりゃ好みがあるからね。
ミミセミス まぁそうですね。かといって別に3次元派ってわけでもなくて、エロ同人誌とかここ最近のクオリティの高いエロアニメなんかでは普通に抜くわけです。
プラトン そうなんだ。
ミミセミス はい。そうなんです。ただでも僕の好みとしてはですね、ウォール伝でもよく書いてることなんですが、日本にいたときは恋愛をしたことがなかったんですね。
プラトン そうなの。
ミミセミス はい。で、まぁアメリカに来てからはしょっちゅう恋愛ばっかしてるんですっていうか「あの子可愛い!」っていうスパークがあるんですよね。
プラトン まぁそれも好みの問題だわな。まぁ俺に言わせればお前の美のイデアが西洋人だったってことになるな。
ミミセミス どういうことです?
プラトン つまりはお前の好みのタイプというような、お前の女性に対する美のイデアというのが脳内に存在している。で、それに合致するものが物理世界に存在するというのが西洋人なわけで、まぁようはお前にとっての西洋人というのは、アキバ系のオタクにとっての萌えキャラと同じことなんだよ。
ミミセミス ってことは僕は今はアキバ系で言えば、リアルに萌えキャラが存在している場所に住んでいるということになりますね。
プラトン その通り。
ミミセミス でも西洋人っつーかこっちの可愛い子って実存っていうか実在してますよね?幾何学実在ではないですよ。彼女達は。
プラトン いや、そういうことじゃなくてさ、ある種の幾何学的なね、イデア的な美の存在ってのはお前の頭の中に存在してるわけ。
ミミセミス はい。
プラトン で、それに近い存在ってのが物理世界にいるってのがようはニューヨークってことだよ。
ミミセミス なるほど。ってことは仮に僕が萌えキャラ萌えなオタクだったら、物理世界で美のイデアに合致する存在は永久に探せないということになりますね。
ミミセミス なるほど。でもプラトンさんの言い方だと、僕の美のイデアもオタクの美のイデアも概念的に存在するという意味で差はないということになりますね。
プラトン ようやく分かってきたみたいね。
ミミセミス でもそういうこと言われてもなぁー・・・ってのはありますよねー。
プラトン どういうこと?
ミミセミス だって僕が西洋人が好きなのとオタクが萌え系キャラ好きなのと一緒にされてもなぁー・・・ってのがあるってことですよ。
プラトン そうかもしれないけどでも実質的な差はないよ。
ミミセミス そうなんですか?
プラトン うん。そうだよ。例えばお前がさ、よく電車で可愛い子を見かけたっつってはしゃいでるけど、ああいうのはだな、お前の中にある美のイデアに合致する女性というのに電車で会ったということで、その合致による興奮が起こってるわけだよ。お前の脳内で。それが「可愛い!」という感情を引き起こして、ドーパミンやらエンドルフィンやらっつー脳内快楽物質を放出させて、あの特有の「ボワーン」っていうとろけた状態になるわけだ。
ミミセミス 麻薬と同じってことですね。
プラトン まぁそうだね。
ミミセミス まぁ僕の場合で言うと脳内物質を電車の中で放出させて、帰宅後に睾丸物質を放出させるという感じになりますけどね。
プラトン ほら言っただろ?それがイデアってことだよ。お前が電車で会った可愛い子をオカズにマスかいているってことは、お前はイデアの中でセックスをしてるって意味で、それは脳内セックスなんで、オタクのそれと変わらない。
ミミセミス まぁ言われてみればそうですね。
プラトン で、実際、お前はオナニーは好きだけど、本当のセックスにはいまいち興味が無いわけだろ?
ミミセミス 無くはないと思いますけど、ただまぁオナニー派ですね。ディオゲネスさんみたいなもんですね。
プラトン あーあいつか。樽の中でマスかいてるって意味だとお前と一緒かもな。お前は地下室でマスかいてるっていうだけで、両者の違いはあんまりないな。
ミミセミス ただ別に僕は犬襦派ってわけではないですよ。
プラトン でもまぁ似てるところはあるよね。人間類型で言えば同じようなもんだ。
ミミセミス まぁ言われてみればそうかもしれないですけど・・・・。
プラトン お前がよくさ、可愛い!と思った子と直接的な関係は無しに、ただ「可愛いなー」って思う状態を維持し続けるってことが一番楽しい恋愛だって言うじゃん?
ミミセミス あーまぁよく書いてますね。ここで。
プラトン それってまぁオタクがアニメ見て「可愛いなー」って思って満足してるのと同じってことだよ。
ミミセミス でも僕の場合、実体がありますけどね。3次元の物理空間の中において。
プラトン いや、だからその「物理」とか「3次元」っつー考え方をやめろっつーの。
ミミセミス なんでですか?
プラトン 実質的に実在という意味だとお前の脳内に顕在化しているものという意味で、それは物理空間の存在であろうが、二次元の存在であろうが、お前の脳を通して知覚されているという意味で、全てはイデアで知覚されてるわけだよ。
ミミセミス イデアで知覚・・・・ですか?
プラトン そうだよ。それがさっき言った人目惚れのシステムだって言ったでしょ?お前の美のイデアに合致した女性にお前は恋心を抱くっていうのはつまりはお前の美のイデアに3次元の女性が合致したってことなわけだから。
ミミセミス なるほどね。
プラトン だからそういう意味でそれが肉体がある実体だろうが、肉体が無い概念だろうが、美のイデアという意味ではお前の脳内にのみ存在するものなわけで、対象の物理的実体など問題ではないってことだよ。
ミミセミス ってことは僕はその女性に恋をしたというよりかは、僕の脳内イデアというか、美のイデアの合致によってその女性に恋をしているということで、それは物理的な実体を伴う恋愛であっても恋は脳内で起こっているということになりますね。
プラトン その通りだ。まぁそんなの考えりゃ分かるだろ?恋愛ってのは脳内でしか起こらないんだよ。だから対象が2次元だろうが3次元だろうが、そいつにとっての恋愛は全部恋愛で、だから対象物の物理存在など問題ではないってことだよ。
ミミセミス なるほどね。
プラトン でもまぁお前はハッピーだと思うよ。
ミミセミス なんでですか?
プラトン だってお前の美のイデアに合致した女性にたまに会えるわけだろ?
ミミセミス 会えますね。
プラトン それはまぁ幸せなことだと思うよ。
ミミセミス まぁ言われてみればそうかもしれないですね。
プラトン まぁもっとも俺は肉体的な接触を伴う恋愛は低俗なものだと考えるけどね。
ミミセミス まぁようは脳内恋愛が一番高貴な恋愛だってことですよね?
プラトン その通りだ。
ミミセミス んじゃあなんでプラトンさんは僕に対して「幸せなことだと思うよ」なんて言うんですか?
プラトン それはだな、アキバ系のオタクで言う脳内嫁みたいなのがそこらへんにうじゃうじゃいるって意味で脳内妄想のネタは尽きないって意味で最高だって言ってるわけだよ。お前は常に萌えキャラが実体化したアキバにいるようなもんなんだよ。
ミミセミス まぁ僕にとってはってことですよね。ただまぁ僕は脳内恋愛だけじゃなくて、実際の恋愛にコミットしてみようと思ってるんですけどね。
プラトン それはなぜ?
ミミセミス まぁある意味で真実が知りたいからでしょうね。
プラトン 何?どういうこと?なんでいきなり恋愛から真実になるわけ?
ミミセミス ようは僕ってその脳内キャラに常に萌えてるわけですが、彼女達の実体を知らないわけですよ。
プラトン ヤッたことがないって意味で?
ミミセミス それもありますけど、まぁ実際の彼女達の生態系が分かってないってことです。どういう性格なのか?とか、どんな風に考えているのか?とか。
プラトン なるほど。
ミミセミス まぁようは僕が勝手にそれこそidealizeして萌えているわけですよね。まぁ萌えって言葉は嫌いですが。
プラトン まぁそういうことになるな。
ミミセミス で、それってまぁ妄想じゃないですか?でもまぁ恐らく僕の予想だと、電車で見かける可愛い子の大半はバカだと思うんですね。
プラトン ずいぶん辛辣だな。
ミミセミス いや、そうなんですよ。賢い子ってのもまぁたまにいるかもしれないですけど、リアル世界で賢くて、例えば僕と話が合うような女性って文科系の冴えない感じの格別美女でもなんでもない子が大半だと思うんですね。
プラトン 言いたいことは分かるかな。「ブロンドの美女」ってバカそうだもんな。
ミミセミス まぁステレオタイプですけどね。でもまぁバカは多いでしょう。
プラトン 才色兼備って滅多にいないからな。
ミミセミス ちょーレアですよね。
プラトン ちょーレア。まぁ俺は興味ないけど。
ミミセミス あとまぁ競争率が高いですよね。
プラトン いや、本当にそうだろ。東大とか比にならないぐらい倍率高いと思うよ。
ミミセミス でもまぁとりあえず僕の妄想をかき消すためにもですね。実際の美女と付き合ってみて、んで幻想なら幻想で失望したいって思ってるんですね。
プラトン なるほど。
ミミセミス 失望したいっていうと変ですけど、「実際はこんなもんか。意外とつまらねぇーな」って結果的に感じてしまうと思うんですけど、でもそれを経験してないことには「そうである」って言えないわけで、だからまぁ経験したいってことですね。まぁ夢のような時間が過ごせたらそれはそれでいいですけど、まぁ期待値はそんなに高くないですね。
プラトン まぁ経験ってことだな。良い事言うな。epistemologyによってお前の脳内美女を再定義するってことだろ?
ミミセミス まぁそういうことになりますね。まぁ別に一人と付き合って定義が完成するわけではないので、色々と付き合いたいと思っていますが、まぁ度胸が無いのでなかなかできないんですよね。
プラトン まぁそこはお前次第だな。
ミミセミス そうですね。で、結果的に「女性は中身だ!」みたいなことが経験から分かったりすれば、それって恋愛経験値が上がってるといいますか、恋愛経験値による認識の賜物になるわけじゃないですか?
プラトン 認識のデータベースを経験によってアップデートすることで、高次の認識に至るってことだな。現象学で言うところの世界像の高次化に似ているな。
ミミセミス そうそう!それなんですよ。ドクサを無くすってことですね。ドクサとは言えない確定的なものを認識上に定義することで、認識を強くするということですね。
プラトン ドクサ嫌いな俺としてはなかなか響く言葉だよ。
ミミセミス プラトンさんに褒められると嬉しいですね。
プラトン いや、別に褒めたつもりはないけど。
ミミセミス あ、そうですか。
プラトン うん。残念ながら。
ミミセミス ただまぁ僕が言いたいのは恋愛においてもつまりはただ「知る」ということを欲しているだけですね。
プラトン それは分かるよ。曇りの無い認識を得たいわけだろ?
ミミセミス そうですね。今の僕にとってニューヨークの美女ってのは鏡花水月なんですね。でもそれを明鏡止水に変えることが出来ると思うんです。つまりは僕の心という鏡に映った美しい花や月はドクサによって得られている幻想でしかない。それは僕の鏡の曇りによって映し出されている幻想の花や月でしかないわけですね。なのでその心のモヤという名の鏡のモヤを取ることで、本当の月や花が鏡に映し出されると思うのですが、それは恐らく静かな水であろうと言うのが僕の予想ですね。
プラトン 日本的な例えだね。さすが日本人ってところか。まぁようはモヤモヤがお前の欲ってことだろ?
ミミセミス それもありますけど、僕の鏡が澄み切っていないというところがネックというか、個人的に気に食わないんですね。
プラトン まぁそれは分かるけどね、まぁドクサもモヤを作るものとして規定できるけど、んでもさ、その先にある明鏡止水の境地ってのがイマイチよく分からんのだけどっつーか論理の飛躍に見えるけど?
ミミセミス 僕の説明不足ですね。まぁ仏教的に言えば空ってところですかね。美しい鏡とか月と思っていたものも実際は僕の心が作り上げた幻想という名の鏡像なので、その鏡を磨き上げれば映るものはただひたすら全てが静かに揺らいでいる水にしか見えなくなるだろうってところですね。
プラトン ちょっと大げさな表現な気がするけど、ようは煩悩を滅するみたいな悟りの境地ってこと?
ミミセミス そう言うと大げさになるんですけどね、ただ僕は勝手に自分の鏡でありもしない鏡像を作り上げているのが気に食わないということなんです。これこそがドクサなんじゃないかと。
プラトン なるほどね。まぁ悟りとも言えるけど、まぁただ単にドクサが嫌いというだけだね。
ミミセミス そうですね。そのぐらいシンプルです。
プラトン でももしその澄み切った鏡にも美しく映りだされる花や月があったらどうするの?
ミミセミス そりゃーその時はその人に求婚しますよ。
プラトン なるほどね!ようはSoul Mateを探すためのプロセスという意味合いも込められてるってことじゃん?
ミミセミス そうですね。といいますか、95パーセントぐらい動機はそれです。ドクサ云々は後付けの理由で・・・・
プラトン 最初の数学の話に戻るってわけか。
ミミセミス 言われてみればそうですね。
プラトン んまぁ好奇心が全てに先行していて、コミットメントの意味合いは後付けでしかないっていう。
ミミセミス その通りです。
プラトン お前の好奇心には恐れ入るよ。
ミミセミス ありがとうございます。
プラトン ただまぁーなんつーかロマンチストだなっつーかまぁこの言葉あんま好きじゃないけどプラトニストだよな。お前。
ミミセミス いや、まぁ自分で言うのもなんですけど、そうですね。
プラトン それって俺の影響ってこと?
ミミセミス まぁプラトンさんの本とかは読んだりしてますけど、基本的には僕の思考法の遍歴の所産が現在の僕って感じですね。その流れからプラトンさんの哲学とも共振があるっていう。
プラトン なるほどね。んじゃまぁお前はミミセミストってことだな。ミミセミズムというかなんというか。
ミミセミス いや、本当にそうですね。様々な影響はあるかと思いますが、基本的に全部我流です。
プラトン 「何々主義」とかになったら人間終わりだもんなっつーか哲学者として終わりだもんな。まぁ俺の哲学はプラトニズムとかって言われてるけどさ、別に俺はプラトニズムに固執してたってことじゃなくて、俺の哲学をやってたらまぁ誰かがそういう名前をつけたってだけで。
ミミセミス 分かります。マルキシズムと同じですよね。
プラトン そうそう。マルクスも生きてた時に自分がマルキストか?って言われたらそうじゃないと答えるだろうみたいなこと言ってたもんな。
ミミセミス 歴史って勝手に解釈されますからねっていうか哲学がドクトリンになったりしちゃったりして。
ミミセミス そうですね。
プラトン 勘弁してくれよーって感じだな。マジで。
ミミセミス アハハ。そうですね。
プラトン まぁしょうがないけどね。俺はコントロールできないから。そういうの。
ミミセミス そうですね。
プラトン ん?あ、もうこんな時間か。あ、もうそろそろ帰るわ。
ミミセミス そうですか。
プラトン んじゃーまた気が向いたら来るわ。
ミミセミス え?あ・・・・あーはい。まぁあんま期待しないで待ってます。
プラトン んじゃあまたね。
ミミセミス ではまた。