ニートハズウェル君のテクノミックス。

去年ぐらいからドビュッシーとかラヴェルみたいなのを割とちゃんと聞き出してたんだけど、んでまぁ前に書いたように最近はクラシック全般を聴くようになってっつーか「偉大な指揮者シリーズ」みたいなのがいっぱい出てるじゃん?ボックスで3000円ぐらいで名演でなおかつ色んな作曲家の作品が聴けるっていうさ、例によって買いまくって聴いてるんだけどそんな流れであれなんだ、自分の中での現代音楽の捉え方が変わってきてっつーかあれなんだよね、ようはクラシックからの流れとして現代音楽ってまぁ音楽史的には当たり前なんだけど、昔はクセナキスみたいなのを音響系の括りとして聴いてたわけじゃん?ようは西洋音楽の歴史とか踏まえてないで音響的な聴き方をしてたわけだ。だからオーケストラ系のよりも電子音楽系のやつばっか聴いてたんだけどんでまぁそれから何十年も経ったわけですがね、今はそういうクラシック音楽からの流れを踏まえて歴史的な聞き方ができるようになってもっぱらオーケストラとか弦楽のやつとかっていう昔はさっぱり良さが分からなかったのがめちゃめちゃ面白くなっててさ、クセナキスもそうだしあとはリゲティとかペンデレツキとかヴァレーズとかってのがめちゃめちゃ面白いんだよね。ようはなんつーのかな?


まぁ一概には言えないんだけど特にヴァレーズみたいなのって電子音楽が無い時代にすでに電子音楽的なことをやろうとしてた人なんだよねってのが本当に分かったわけね。でも当時は電子音楽なんてなかったからそういう音の解放みたいなのをオーケストラ編成でやってたんだよね。その結果、無調の音楽とかが出来たりなんかしてっていうかまぁそういう前衛音楽的な流れがあったんだよね。まぁ別に全部がそういう音の解放に立脚してたわけじゃないんだけど、ただまぁ伝統からの進化っつーかさ、そういうのはまぁ一貫してあったわけだよね。


で、俺らの世代ってのはまぁ当たり前に電子音楽とかフリーな音楽がデフォであるわけでさ、良さがわからないんだよね。むしろなんつーか不便な時代に無理やりオーケストラ編成でフリーな電子音楽的なものをやろうとしてた的なさ、だったら別に電子音楽聴いたほうがいいじゃん!ってことになるんだけど、今は断然そういうアコースティックな前衛音楽ってのが面白くて、だからそういう20世紀の前衛みたいなのがすげーマイブームになってるんだよね。で、なんかやっぱ凄いんだよね。電子音楽では到底表現できないような絶妙なハーモニーってのがあってむしろオーケストラ編成で緻密なものをやったほうがよっぽど表現力あるじゃん!って思えてきて。あとは電子とかコンクレート+アコースティックみたいなやつも良いね。こういうのは割と元々聴いてたけど純粋な電子音楽とかコンクレートが好きだったからあんま熱心には聴いてなかったんだけどまぁそんな感じで昔は聞けなかったようなのが今は聞けるようになってて楽しくてしょうがないんだよね。んでもこれって本当にあれなのよ、意識的にクラシック音楽を聴き始めたからだよね。本当にそれがきっかけだなと。いや、当のクラシック音楽も大きになったんだけどねっつってもそりゃーまぁコンポーザーにもよるんだけど。


だからまぁそんな感じで例によってそういう音楽を作りたくなってるんだよねっつってもまぁ無理だけどね(笑)だからヴァーチャル・オーケストラ的な感じのを作りたいなーって思っててさ、まぁすでにもう作ってるんだけどコラージュとDJMIXの合間ぐらいの感じのやつだね。激しくエディットしすぎるとなんかまたそれは違うような気がするんであくまでMIX的な感じなんだよねっていうとまぁテープ音楽とかコンクレートのミックスとかは前に作ってたじゃん?まぁああいう系統の現代音楽バージョンみたいになってるのかな。まぁ相変わらず誰も聴かなそうなやつになってるんだけど(笑)でもやっぱ俺の中でヴァーチャルって凄く重要な概念なんだよね。そもそもミュージックコンクレートってヴァーチャル的な概念を利用した音楽だし、ヴァーチャル・オーケストラっつーのもようはまぁテープコンポジション的な考え方をすれば別にそれってそれで成立するよねっていう感じだよね。まぁ今ってPCの性能がアップしたことで何重にも音を重ねられるじゃん?スペックが低いやつだと処理落ちしてたようなのが今は可能になってるし、CDとかネットで買ったmp3とかも膨大にHDにストックできるもんね。DJがパソコンベースになるのも分かる気がするな。ただまぁ全然俺自体はパソコンベースでDJするってのに興味は無くてやっぱりパソコンベースだとこういう感じで膨大な音源をミックスしまくるっていうことに興味が出てくるよね。


まぁでも問題は出来たものがあっても誰も聞かないってことなんですよね(笑)そもそも生の現代音楽自体がマイナーだし、そんなマイナーなもんをミックスするなんて需要あるわけないっていう(笑)まぁでも基本的に俺のミックスのベースにあるのはマイブーム的なもののコンパイルだからね。まぁだからそれでいいんじゃないかと。でもネットって本当に幻想を打ち砕いてくれるよね。「リリースすればいつかは注目されるに違いない!」的な幻想がリアルに打ち砕かれるっていうか、90年代とかってそんな幻想を抱いた若者だらけだったんだよね。俺も含めて。で、ネットが普及してなんでもとりあえずアップロード可能になると別にわざわざCDとかで出さんでもネットで出せるようになるじゃん?有料か無料かとか関係なく。で、実際に対して注目されないんだなってのがアップすることで分かるよね。っつってもやっぱDJMIXとかはネームバリューもあるでしょーっつってもそうでもなくて無名でも良いやつってのはアクセスにアクセスが重なって膨大なアクセス量になるんだよね。だからマジで良いのを作れればネットで発表ってことほど良いものはないよね。でもまぁそんなすげーアクセス数を稼ぐようなものなんてそんなに無かったってのが現実ですよね。1億総クリエイター時代なんつっても面白いのを作れる人なんて限られてるんだよね。まぁ別にアクセス数=良さではないんだけど、んでもやっぱネットって数字がよりリアルだよね。現実に売れてるものって結局は広告とかネームバリューの所産だったりするものが多いけどネットって無名でもそれが面白かったり良かったりすればアクセス数増えるんだよね。むしろ誰が作ったか?なんて関係ないってのが凄いなって思うよね。


だからまぁなんかエクスキューズが効かないっつーのかな?「発掘されてない」ってことがありえなくなってるんだよね。どんなマイナーなもんでもアップロード先がマイナーなサイトだったりしても注目を集めるものは集めるんだよね。いや、でもまぁ別に注目される=良さではないんだけどもね、でもまぁ良いものって出やすくなってるよねっつってもまぁ無料だからっつーのが大前提ってのはあるんだけどね。そういうのを有料化したりコンテンツっぽくすると一気につまらなくなったりする場合が多い気がするんだけど。なんかだから消費する側としてはそれが有料のパッケージされたものであろうが無名の人のミックスだろうがどっちでもいいんだよね。どうせ数回聴いたら終わりって意味で消費されるわけで。そんな中で何回も好んで聴かれるようなものを作るって本当に大変なことだなぁーって思うよね。まぁ俺は聞き手なんて気にしないで作りたいのを作るだけなんだけどまぁその結果、すげー気に入ってくれる人がいたらめちゃめちゃラッキー!ってことだよね。まぁ少なくても聴いてくれる人がいなくもないしアップロードも簡単だからすげー限られた数だけど聴いた人からのフィードバックももらえるってことでまぁ作り甲斐はあるよねっつっても3桁いかないようなレベルの話なんだけどね(笑)


んでもとりあえずあれだよね、なんかしら作ったらとりあえずアップしたほうがいいよね。クラウド化したほうがいいってことね。別に押し付けるわけじゃなくて聴きたい人がいればどうぞっていう感じだよね。全く聴かれないよりかはかなりマシですからね。


ところでミックスと言えば悪い意味でまた例によって唖然とさせられるようなミックスを見つけたんですけどね、まぁ例のニートラッセル君のミックスなんだけど本当に酷いんだよね。テクノのミックスにリングモジュレーターかけただけっていう(笑)こんなんでも「作品」として出しちゃえば成立するんでまぁある意味、オノ・ヨーコとかの芸術と同じじゃないですか。全くそれ自体に才能のかけらもなくてもとりあえず出しちゃえば作品になるし良いかどうかはシニフィアンの浮遊的な感じで鑑賞者に委ねられているから別に出す側がそこまで悩む必要は無いっていうね、むしろ質とか気にしないラッセル・ハズウェルとかには本当に勇気付けられるよね(笑)こんなんでも成立してるんだ!っていうっつーかこんなのも出しちゃうんだな!っていうかまぁ別に出すってことの敷居がめちゃめちゃ低いじゃん?リリースとなると敷居は高いけどまぁ大抵有料コンテンツの場合、金が発生するってことで逆にあんまアクセスされなかったりするよね。だからもうそんなもん全部クラウド化してみんな聞けるようにしちゃえばいいんだよね。まぁ本当にコモンズ的な考え方なんだけど。いや、今のダブステップとかグライムみたいなやつとかも凄いよね。本当に。レコードで出しても売れないしデジタルリリースしても何百ぐらいのダウンロード数なんだけどんでもリリース自体にコストがかからないんで出しまくれるっていう。まぁ日本の出版業界と同じようなもんか。数が売れないから出す量で押していくしかないみたいな。だからまぁアクセス数が低くてもそんなに気にするな!ってことだよね。「聴いてください!」っつってそのCDがタダだったりしても聴いてくれないご時勢なわけだからね。


でもそう思うとマイナーな電子音楽のレーベルとかって相変わらずcdrとかカセットの限定リリースとかやってるじゃん?いや、あんなもん全部デジタルリリースするなり元々制作費とトントンぐらいでやってるならタダで出しちゃえばいいのにって思うんだけどなぜか限定リリースするんだよね。マイナーな音楽であればあるほどそういう傾向があるのが笑える。結局はそういう希少価値を剰余価値として乗せてるだけなんじぇねぇの?っていう。全く流通しないcdrなんて出してもしょうがないじゃんね?いや、だからそういうところがちゃんとしてる作り手って過去のリリースとかが全部ウェブからダウンロードできたりするんだよね。あとはもうcdに比べたら激安な値段でデジタル形式で買えるとか。


なんかまぁそんな感じでさ、そういうのを目の当たりにするとどうせ誰も聞かないんだよなーっつーのがあって冷める面があるんだけどHDに眠ってるよりかはオープンにしたほうがいいなって本当に思えてきてさ、むしろ誰にも聴かれないからこそどっかに乗っけておいたほうがいいんだよね。それで数人でも聞いてくれる人が増えたほうがいい。どうしてもネットって大きいアクセスを狙いがちっつーか大きいアクセスが無いとなんか存在理由が無いような印象受けるじゃん?でもネットって逆説的になんつーかインディーズのカセットの手売りみたいな感じで少しでも多くの人に聞いてもらえればいい!って感じでオープンにしてたほうがいいんだよね。いや、だってカセットを何十人かに配れたら凄いじゃん?でもネットってなぜか「え?数十人?」って感じになるんだよね。え?ならない?


いや、数十人いるだけで凄いんだよね。実は。こんな誰も聴かなそうなやつを何十人かが聴いてくれている!っていうそこにフォーカスしないと駄目だよね。いや、アクセス数至上主義になるとネットのフリーコンテンツってつまらなくなるじゃないですか?ハズウェルみたいにアクセス数なんて気にしない方針でやるほうが結果的に面白いものが眠ったままでいないでオープンになるわけだよね。だから自分では本当に「しょーもない」って思っててもとりあえずどっかに乗っけたほうがいいですよってことなんだよね。いや、何気に「アクセス数至上主義」って資本主義的な売り上げ至上主義と同じになるんだよね。その結果、流通するものが通俗的なものになりがちになるっていう。まぁそれでもネットのアクセス数ベースのほうが資本主義ベースよりかは絶対面白いものが出回るんだけどまぁそれに加えてそこまでアクセス数を気にしなくても出しておいたほうが世の中面白くなるわけだからアクセス数至上主義にならないほうがいいってことなんだよね。まぁそれは音楽とかに限らずブログでも絵でもコンテンツ全般に言えることなんだけどね。


んでもそのアクセス数至上主義ではないコツコツとアップするって作業も「いつかは売れる!」みたいな幻想じゃなくて「聴いてくれるような人になるべく届くように努力をする」ってことだよね。一生スターにはなれないが固定ファンがついたらそれって凄いことなんですよ。話題性とかアクセス数よりも自分が「これだ!」って思う価値観で出したものに共感してくれる人を獲得することの重要さなんだよね。これは何気に消費されるものを大量に出して大量にアクセス数を得るよりもよっぽど重要なことなんですよってまぁ何を今更だけどさ、ようは消費されるようなもんは消費されて終わりなんでそうじゃない気に入ってくれた人が常にipodとかに入れておいてくれるようなものを作れたほうがよっぽどいいんだよね。本当にそのことの大切さってのを感じるのね。最近。重要なのは数じゃなくて共感なんだよね。


そういう意味でハズウェルってまぁすげーコアなファン獲得してるじゃないですか?俺みたいな(笑)誰が聴くねん?ってようなやつでも「ハズウェルまたやらかしたなぁー」って思う人が常にいるわけじゃん?クソみたいな作品をリリースしても何かしらの形でフォローしてる物好きってのがいるわけでそれって凄いことだよね。消費されるだけの場合、飽きられたら終わりだからね。


そんな感じでハズウェルの勇ましいミックスをご堪能ください。


https://soundcloud.com/ideal-recordings/ideal-mixtape-four


追記。


あと俺のやつは完成したらアップするんでそのときはよろしく。


追記2。


バルトーク最高!!!