仮象としてのロック。その8。

音楽をsyntaxとして構造的に考える場合、よくあるパターンってのが言わばクリシェ的な言葉なんであってそれがまぁやり尽くされたことってことになるよね。いや、最近Netflixキース・リチャーズのドキュメンタリー見たんだけどローリングストーンズの偉大さが分かったんだよね。ようは自分たちはただブルースを広めたかったみたいな、イギリス人がアメリカの昔の音楽に目をつけてっつーかほれ込んでそれを電子化したっつーかまぁエレキ化したっていうんでまぁ結果的にストーンズが参照してたようなブルースマン達もフォーカスされるようになったっていうまぁ本当に創成期だなって感じだよね。

 

だからまぁそこにおいて仮にストーンズがブルースをただエレキでやっただけにしてもオリジネーターであることには変わらないよね。コピーでも白人が電子化してやったっつー例は無かったりまぁ同時期に色々あったにせよ創成期ってのはそれがオリジナリティになりえるからね。んでまぁフォロワーってところになるとそのsyntaxのクリシェってのが深刻な問題になるんだよね。コード進行なんてのもまぁコード自体をsyntaxとして考えてその組み合わせで出来る意味論みたいなところで実際は例えば泣かせの進行みたいに言われてるのでも誰かがそれをやって泣かせっぽい使い方をしたからそういうイメージが定着したんであって音自体が本当に泣かせかは分からないよね。でも構造的に言えばそれがイメージという意味論になっちゃってるから使い古されたものってことになるんだよね。

 

言い方悪いけどコード進行でジャカジャカやってるものに本当に何も感じないんだよね(笑)だから何?という印象しかない。まぁ白人的なキース・リチャーズがマーチっぽいっていう白人ロックとかまさにそのジャカジャカだしまぁロックでもロールのほうなら歪んだブルースだったりパンクだったりするんだけどロールじゃないロックの場合ジャカジャカ主体でポップスになるともっとひどいわけだよね。でもこれはなんていうかギターの誤用なんだよね。

 

もちろん楽器なんて使い方は自由なんだけど特に俺みたいにロックを聴いてこなかった人にとってはギターっつーと白人ジャカジャカロックかポップスっていうイメージしかないんだけどオリジンを考えるとブルースなんであってそれはすげーギターの音が際立ってるものでしょう。荒くてボトルネック奏法なんかも含めると所謂音のさわりみたいな部分も含めたノイジーな音楽だよね。ギターってのは元々そういうもんでんでもそっから商業ジャカジャカロックとポップスのおかげでさわりがないただのsyntaxを繰り返すだけの商業マシーンに成り果てた感があるんだよね。

 

もちろんサイケロックとかヘビメタとかちゃんとしたロックっぽいロールしたジャンルもあるんだけどどっちかというと誤用したなんの変哲もないギターってのがメジャー化するんだよね。んでなぜかちゃんとしたギターのものってのは通好みの音楽みたいな感じになっちゃうんだよね。それもまぁジャカジャカロックとポップスのプレゼンスが大きくなったから相対的にマニアックになっちゃうっていうところなんだろうけどね。

 

そう思うとロックは死んだとかって言われるのってそのままギターは死んだってことが言えると思うんだよね。結局ノイジーなロックと言われるようなロックも聴いてみると確かに音はノイジーだけどそこにノイジーなギター以上に大きい味気のないボーカルとかが入ってきてポップス感が半端じゃないんだよね。これがまぁノイジーの囲い込みっていうか形骸化っていうかさ、ポップスの一部としてのノイズだよね。

 

そこでマイブラがやっぱり偉大なのはとにかくギターの音がデカいからだよね。ボーカルは聞き取れない程度でケヴィン・シールズのこだわり抜いたギターの音ってのが永遠となってたりとにかくギョワーっと言っているっていう聴覚的にうるさいんだけど青春ポップス的な良さもあるっていうか、でもそこでまぁこないだもボロカス書いたけどシューゲイザーフォロワーの大半がクソなのがこの青春ポップスとかダサい部分ばっかりが前に出てて肝心のギターに何のこだわりも感じない凡庸なのが多いっていうところなんだよね。

 

変な話、ずーっとホワイトノイズとドローンが続くようなもんでもいいわけでマイブラってそれに近いじゃん?オリジネーターってだけでフォロワーが最良のものを作るってパターンもあるけどシューゲイザーに関しては誰もオリジネーターを超えられてない感じだよね。

 

シューゲイザーってギターのノイズ化とかエフェクターによる音響化に思えて実際は凄く真っ当なギターの使い方をしてるんだよね。アンプリファイされた音がとにかく喧しくて綺麗にすっきりまとめようとしないノイジーさがありつつ音楽性は担保されているっていうバンドとしてのバランスだよね。

 

シューゲイザー的な使い方はたまに変態的とかって言われたりもするけどそれってデフォがジャカジャカ白人マーチロックとかポップスだからなんだよね。そのデフォってのが本当に毒なんだよね。これが音楽を死滅させている原因の一つだと思うんだよね。行き過ぎた凡庸さとマーチ調のギターのキャラクターそのものを殺すような音楽ね。ロックに限らずだけど。

 

かといってもポップスが悪いわけじゃないんだよね。マイブラはノイジーでなおかつポップじゃん?ニルヴァーナとかもスタジオ録音より圧倒的にライブ盤がいいけどグランジっつっても良いのは本当に一部だけどニルヴァーナも相当ノイジーだしちゃんとしたギターの使い方をしてるよね。だからこそそういう荒さが売るためのポップス寄りの質感になったスタジオ版の仕上がりにカートは納得がいっていなかったみたいだし実際にポップスとロックって水と油なんだよね。ロックはめちゃめちゃノイジーで荒いからそれがポップスになるわけないんだよね。

 

でもキャッチー足りえるからマイブラみたいな取っつきやすさとかニルヴァーナ的なカッコよさってのがそのままポップってことになるんだけどそれは当り障りのないポップっていうことじゃなくてかっこいいね!って思う人が多いという意味でのポピュラリティーって意味でのポップさだよね。

 

でもまぁ死んだロックってのはギターいらないんじゃない?ってぐらいギターの音が前に出てないしなんのこだわりも感じないし前も書いたけどロックをEDM調にしたような迎合とかその時々のメジャーなものに対する迎合とかクロスオーバーってのがあるよね。でもロックって原理だから原理主義的なこと以外ありえないと思うんだよね。純粋数学と同じだわ。アプライしたらもうそれは純粋じゃないわけですよ。

 

ハーディーが純粋数学は役に立たないからかっこいいんだ!みたいなことを書いてたけどっつーかまぁそれこそがピュアなんだ!みたいなことを書いててまぁでも数論とかって応用が効いたり今は全く実世界と関係ないけど100年後のテクノロジーとかに役に立つかもしれないみたいなところがあって一概に役に立たないとは言えないんだけどでもまぁロックもそうですよね。基本煩かったらそれをloudでクールだ!って思うのはロックのオーディエンスだけでもっと広げてポップス聴くような層にも伸ばそうと思うとけば立ったギターの音なんて出せないかすげー音を小さくするしかないんだよね。

 

ダイナソーJRとかにしても初期はノイジーとかって言われるけど本当に効果音程度のもんだからね。ああいう効果音的な使い方が本当に許せないなって思うよね。なんでああいうのがラウドロックとかノイズロックって言われるのかさっぱり分からないよね。だから所詮は評価はポップス的なんであってロック的じゃないんだよね。実際にすげーポップじゃん?曲調が。

 

でもロック全般そうなんだけど大体初期が割とロックで後に大体ダメになるんだよね。ロック研究とし色んなバンドのアルバムを最初から聞いていくってのをやってるけど例えばブラックサバスとかにしても初期はすげーかっこいいのに四枚目あたりからすんげーポップス調っていうかストリングスとか入るようになっていやらしい感じのスタジオアルバムになっちゃってるんだよね。ブルーチアーも良いのは最初だけでこれは世間的にも大失敗って言われるようなポップ化をしようとしてクソみたいになって消えたって感じだと思うんだけどそこが根本的にダメだよね。

 

だからやっぱりロックってattitudeだと思うんだよね。売れようと思って迎合したりポップ化しようとしたり音をよりマイルドにしたりってのをやった時点ですでにもうロックじゃないんだけどでもレジェンドと言われるレベルの人たちですら平気でそういうことをやっててでもロックスター扱いされてたりするのを見ると世間の認知の歪みを感じるよね。

 

っつーかそれが普通だから俺みたいなのがエクストリームな原理主義者とか偏屈なマニアの意見ってことになったりするんだけどでも実際に正統なロックってのを考えると世間が思うロックってのは相当歪んでるんだよねっつーか商業ロックとかポップスに毒されたロックなんだよね。ヴェルヴェットアンダーグラウンドなんかも当時はあんまり売れなかったらしいけどあの時代ですでにもう本質的なロックってのはアングラっぽい感じで世間的なロックっつーとビートルズみたいなポップスだったんだろうなって思うよね。

 

ただまぁルー・リードが残念なのってメタルマシーンミュージックをやったのは凄いことなのに世間のバッシングが凄かったから「いやーあれは別にふざけてやっただけなんだよー」なんつって凡庸なロックに戻ってんでも晩年に音響とかエレクトロニカとかノイズ的なものがよりメジャーっつーか音楽の一つとして認知され始めてからのMMMの評価って高くなったわけじゃん?再評価無しでも当時から評価してた人も少数いたんだろうけどまぁやっぱりノイズ的な評価ってのが大きかったんだと思うんだよね。それでMMMをもっと突き詰めよう!なんつってMetal Machine Trioってのをはじめたりするんだけどそれ当時やるべきだったでしょ!って思うんだよね(笑)

 

いや、世間がなんと言おうが俺はこういう信念があって作ったんだ!っつってそれを突き通すのがロックなわけでノイズ的再評価ありきの場合、ある意味それは世間の迎合の一つの形態でしかないんだよね。あんなキワモノだったのが再評価されてんのかならトリオでやるかっつってやり始めるってのは全然ロックじゃないよね。

 

まぁもちろん結果的なアウトプットが良ければいいわけでトリオの音はまぁまぁいいから良いとは思うんだけどね。まぁそんな感じでロックってまぁ商業性との相性がよろしくないわけですよね。あとまぁ本人たちがロックを突き抜こうとすると理解が無いレコード会社と揉めることになってまぁようは契約とかも含めてややこしくなるからポップスっぽくするしかないっていうことになっちゃうっていうまぁようは音楽を商業にした時点ですでにアウトってことなんだよね。

 

作ったものが商業として成り立つから商業性との両立っていうかまぁどっちかというとマネタイズって言葉に近いよね。売るために作るんじゃなくて作ったやつがマネタイズできそうだから活動とか生活のためにもそれを金にするって意味での商業性ならいいんだけど音楽性に商業性が介在するようなものだともうダメだよね。もうそれだけでロックが原理じゃなくなる。

 

逆説的にそういう意味でロックを軸に考えたときのノイズってのはそういう商業性とかポップス的な要素の介在なんだよね。結果的にキャッチーでポピュラーになったということではなくてキャッチーにしようとするということが制作の段階で介在してて純粋性が濁るっていうことだよね。それがロックにおいてのノイズなんだと思うわ。じゃあその一般的に言われるギターノイズはどうなのか?っていうとむしろそれをピーガーやるだけじゃなくて音楽的にするっていうのがロックでしょ。

 

だからそれはギターノイズっつーかギターなんだよね。さっきのブルースの話でも書いたけどアコースティックな段階ですらもつま弾いたりボトルネックだったりとかっていうさわり的な要素が内包されているのがギターなわけでね、決してツルンとしたもんじゃないんだよね。

 

友川かずきが海外で評価が高かったり今の世代とかにもウケてたりするのってあの圧倒的な表現性の高さと妥協のなさでしょう。

 

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やってることはロックじゃないけど極めてロックだよね。ギターをかき鳴らすっていう激しい奏法と商業性を一切考えない独自の世界観の歌詞っていうその一貫性だよね。そこを妥協して一時期レジェンドでも落ちぶれるより一貫性があったほうが早く評価されたりはしないけどロングタームで見ると圧倒的な評価に繋がってると思うんだよね。

 

一時の評価で見ると今で言うとバズってるか?とかyoutubeの再生回数ってことになるんだけどロングタームで見た場合、例えばそれが10年後も聴かれてるか?っていうと一時のバズりみたいなのが大半なわけでしょう。バズらないけどずーっとコンスタントに聴かれ続けるから結果的に多くの人に聴かれるっていうことを考えると即金にしたいってのは分かるけど音楽自体の寿命を考えたときにそれはもうロングターム以外ありえないでしょうってことになるよね。

 

音楽を殺してるのはそういう即マネーっつーのが多いからでしょう。だからみんな昔の音源ばっか聴くんだよね。すぐに評価が下されて金になるようなものなんてのは大体薄っぺらいわけでそういうのってリスナーは求めてないんだよね。でもやる側はそうしないとやっていけないから提供したがるっつー矛盾があってそこが出す側とリスナーの乖離を生んでるんだよね。

 

そりゃまぁ20代後半とか30代にもなってまだデビューもしてないからデビューしたい!とかって必死になるのは分かるんだけどデビューって所詮そういう商業的なものに囲われたものじゃん?金になるのかならないのか?っていう部分で金になりそうなのを必死に作るってまぁそりゃそんなのリスナーは求めないから全然ニーズに一致しないんだよね。でもまぁニーズに答えても逆にそれはすげー一部のリスナーを満足させるような、それで食っていけるような代物じゃないから食ってはいけないんだけどでもニーズは満たせるっていうね、まぁようはロングタームの普遍的な良さがあるものっていうものを作るっていうことだよね。

 

まぁ別にそれは今も昔も変わらないか。ただまぁあれだよね、思うに熱心な音楽リスナーって少ないんだよね。即マネーみたいな音楽を消費する層ってのが大半でまぁそれは娯楽映画とか芸能ゴシップみたいなレベルでその時を楽しむみたいな消費のされ方なんだけどロックがそこに迎合するっていうのが本当にクソだなって思うんですよね。まぁなんか逆にあれなんだよね、ジャズ系の人のほうがセルアウトとかに敏感な気がするんだよね。ロックって本当にロッカーっぽい人も簡単に迎合したりするけど純粋なジャズの人ってそうじゃないイメージがあるんだけど純粋なロッカーはその純粋なジャズの人ぐらい純粋じゃないとロックじゃないと思うわけでね、でもロックとポップスの間って曖昧だよね。ジャズとポップスはめっちゃクリアだけどね。

 

クロスオーバージャズとかポップスに吸収されたジャズとかスタバでかかってそうなスタバジャズとかってのは境界線がはっきりしてるけどロックはそうじゃないんだよね。でもまぁどちらかというとジャズのほうが色んな他の音楽との親和性が高いのに比べてロックはそうじゃないのに実際はそうなってるのが多いってことになるともはやそれはロックじゃないんだよね。ロック形態をしたポップスなわけでんでもそういうロックなのかポップなのかが分からないものが長らくチャートの常連だったからまぁそれがデフォになっちゃってるっていうね、でもまぁリアルロックってなるとそれは前にも書いたように必然的にアングラになっちゃうんだよね。まぁあとは評価されててメジャーだけど万人ウケする音ではないとかね。

 

まぁでもアングラ系のほうがロックよりもっとポップスに迎合しやすいけどね(笑)日本のとかもそうだけどメジャーデビューってなるとまぁ夢だったのは分かるけど刺々しさとか全部捨てて普通のポップスやっちゃうとかね、逆にまぁアングラの人のほうがそういうメジャーなものへの憧れが強いのかもね。超絶的にダサいと思うけど(笑)

 

あ、んで最近好きなのがThe Telescopesっつーバンドなんだけど昔は典型的なクリエイション系のバンドだったんだけど再結成した後っつーかまぁ最近のやつがすげーいいんだよね。

 

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元がかなりポップなバンドなんだけどそのポップ性を維持しつつドープな実験系ノイズロックやってるんだよね。ロック特有のわざとらしいドラマティックな展開とかが無くてずーっとある意味ドローンみたいな曲とかもあってこのドープさをこのぐらいのグレードの割とメジャーなバンドがやってると思うと凄いなって思うんだよね。まぁそれこそ出尽くしてるから音がこうなるっていう必然もあるんだろうけどあとまぁあれですよね、ギターとボーカルとか他の音とのバランスだよね。グランジにしてもノイズロックと呼ばれるものにしてもポップ調のボーカルの音がデカ過ぎてロックっつーよりポップスになってるのが多いんだけどでもまぁバランスの問題と言えば問題でさ、あれで他のパートが基本轟音でボーカルも叫んでたら基本ロックだと思うんだけどね。

 

ガイド本とかでも轟音って言われたりするんだけどただのポップスにしか聞こえないという(笑)

 

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ソニックユースも一番評価が高いっつーか金字塔とされてるのがこれだもんな。

 

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元がノイズだったりちゃんとした荒いロックっつーところからポップス寄りになっていって音楽が死に体になるっつーのは別にロックに限らずみんなそうなんだよね。ベルカーヴの真ん中的な大衆寄りのポップスになると音楽性が死ぬよね。で、本当に分かってる人ってのはベルカーヴの真ん中にいないんで真ん中音楽を評価するわけないんだよね。でもまぁセールスってことで言えばそりゃ真ん中よりのものが単純にその人口分布が多いっていう理由で高くなるだけでイコール音楽性ではないよね。

 

ファーストはこんなにかっこいいのに・・・。

 

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あとルーリードね。晩年じゃなくて当時にこれやってたら神だったのに。

 

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ブラックサバスもブラックメタルとかDoomのルーツと言われるぐらい最初はかっこいいのに。

 

 

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数年後クソださいハードロックに成り下がります。

 

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っつってもロック好きっつーとこういうのが好きなのを指すんだろうけど本当にかっこいいロックって今のブラックメタルとかノイズ系とかDoomとかに繋がるようなものだよね。所謂おっさんロック系じゃないロックだね。

 

所謂ロックがダサいとされるのも主にこういう音を揶揄して言われるんだよね。

 

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でもこれは同じバンドの初期の音ですよ。

 

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ロックの雛形ですな。

 

まぁそんな感じで今日はこの辺で。