テクノ・ハウスのレアグルーヴ化現象。

今日のアシッドは電気グルーヴです。

 

soundcloud.com

 

Filterbank 2届いたんだけどキッズの頃の夢だったツマミがいっぱいあるシンセをいじってる!っていうのが叶ってる感じで、まぁそりゃソフトだったらいくらでもあるんだけどフィジカルだとやっぱり感動しますな。

 

細かい周波数云々だからもちろんまぁソフトシンセをフィジカルコントローラーでいじるのと同じなんだけどやっぱアナログっていいよね!ってことに尽きるよね。いじってる感半端じゃないのといじっててたまたまできた良い音とかを「よしこれで行こう!」っつってもうそれのごり押しで行けるとかね(笑)

 

でもまぁ前から散々書いてるけど作曲って何なの?っつーときにいつもまぁDJワーク的なものと作曲家が書いたスコアがあるものだとやっぱり違う!みたいなのがあるんだけど実質、既存のもののパッチワークだから差が無いっていうね、いや、逆に差を出そうとしても無理っつーどん詰まりなんだよね。

 

openers.jp


坂本教授も言ってますよね。

 

作曲の95%は、過去の遺産を糧にしています。作曲家自身の“発明”は、せいぜい1、2%程度で、最大でも5%といったところ。作曲の大部分は過去の作品の引用です。

 

意図的な引用じゃなくても浮かんだメロディなんてのは聴いてきた音楽の断片とかそれがミックスアップされただけなんであって発明でも何でもないんだよね。調性音楽って意味でのギターに絶望したのもそこだよね。どんだけ頑張ってもかっこいいブルースは弾けるようになってもオリジナルのブルースってのは無いんだよね。何しろブルースなんだから(笑)

 

ハウス然りだよね。4つ打ちでピアノとベースとヴォイスサンプルが乗っかるみたいなフォーマットを作ったオリジネーターは凄いけどあとはもうフォロワーじゃないですか?でももちろん良いものってのはあるわけでオリジナリティというより特にハウスみたいなダンスミュージックの場合、かっこいいかどうか?だよね。

 

ギターなんてコード進行とかっつー王道が決まっててしかも音作りも大体王道があってそれ過ぎるとロックじゃ無くなったり音響みたいになっちゃったりしてっつってもそれももはや形式っていう、だから俺が今やってるアシッド!とかってのもある種の開き直りよね。オリジナリティとか関係ないし作りたいのを作る!っていうポストモダン後の絶望を超えた全てはシミュレーションであるみたいな音楽よね。

 

Vaporwaveなんて完全に思想的にそうだよね。過去の音源のコピペだったりめっちゃピッチ下げてリバーブかけたりとか、でもまぁジャンルとして確立してるぐらいだし曲そのまんまじゃん!っつってももはや関係ないんだよね。

 

ただそこで下手にマネタイズしたいなんつーところでフィジカルで出すとかってなると版権とかが問題になってクリアなのを出そうとすると一気につまらなくなるとかさ、まぁこのコピーライトって本当に足を引っ張ってるよね。まぁ動画とかでまとめられてる激似な音楽!とかってあるけどまぁ昔はバレなかっただけで実質昔からそんなのばっかよね。

 

逆になんかほぼそのままでも勝手に「自分のです」って騙すって意味じゃなくて加工とかエディットしたらもうその人が作ったものって定義しちゃっていいんだよね。まぁ今はそういう時代でしょう。

 

そもそも曲って大体構成があるから最小限の要素に還元するとそれは短いフレーズとかリフから派生したメロディとかリズムってことになるんだけどそれのバリエーションだもんね。で、意外に少ないんだよね。そこは調性があるから何かが決まると次はこれっていう風に制約がかかっちゃうんだよね。

 

本来ゆっくりなブルースの上にサンバのリズムが乗っかってるとかマッシュアップ的な意味じゃなくて全く両者がマッチしてないっていうのでも音楽として成立するはずなんだけど成立してないっていう思い込みとかマジョリティの意見があるからそれは認められないっていうそういう恣意的なもんだよね。

 

そもそも教授が言ってるように95パーセントは引用で凄まじいパフォーマンスを発揮したら5パーセントは自分のものって言えるっていうぐらいのものなんだからそれが一から作ったものなのかなんかのサンプルがベースなのか曲のデータがあってそのメロディを崩していったりランダマイズして出来上がったものなのか?とかプロセスって関係ないよね。

 

作曲家のうさん臭さをずーっと昔から言ってきたわけなんだけどそういう意味で逆に今は初期のシンプルなテクノにこそオリジナリティを感じるんだよね。音符として考えるとほぼただのリズムなんだけどそのリズムの例えばハットのパターンをちょっと変形させてシンセで鳴らすとミニマルっぽいフレーズになるとかさ、なんもメロディとか書いてないんだけど下手にメロディとか書いてるやつよりかっこよかったらそっちのほうがいいんだよね。

 

あとまぁベーシックチャンネルみたいな極端に音を削ぎ落した音響ダブテクノみたいなのもタイムレスだよね。んでハウスとかに関して言うとソウルの発展形っていうか4つ打ちのソウルみたいなハウスとかあとまぁテックハウスみたいなテクノっぽいハウスとか色々あるけどまぁ基本的に何らかの構成要素の組み換えのバリエーションだよね。んでそれは無限のようでしっくりくるのって恐ろしいぐらい少ないからそれを探すのが大変なんだけど見つけたら「よっしゃ!」って感じだよね。

 

結局、それを見つける勘とかなんとなく「こうしたらいいのでは?」っていうのって結局、聴いてきた音楽がどれだけあるか?っていう記憶のストックとリコールの速さなんだよね。だからそういう意味で「こうしたらいいのでは?」ってのもアイデアが閃いたなんて言うけどただの効率化というか合理化なんだよね。

 

実際は何も思いついてなくてただ膨大に聴いてきた音楽の中からしっくりくるところの感覚的要素ってのがメモリーとして脳に大量にストックされてて集中してる時はその膨大なメモリーにアクセスしやすくなるっていうそれだけの話だよね。

 

ゲーデルエッシャーバッハの著者の名前忘れたけどその人が言ってたのってまぁ結局、ベストセラーになるのって既存のアイデアの組み合わせとか定義して並び替えるっていうことだから人が理解できるわけでオリジナルすぎると全く理解されなかったりするから本っつーことにしても作曲とほぼ一緒でパッチワークなんだよね。映画もそうじゃん?最近映画よく見るんだけど本当に色んなパターンの組み合わせだよね。

 

ただそこで光る俳優の演技とかさ、キャスティングが見事!とかってなんか音楽で言うところの音のバランスとか音色がいい!みたいなことだよね。内容はよくある話なんだけど良いものは良いっていうね。

 

レイ・ハラカミみたいに音源がショボいのに凄いの作っちゃうような天才肌みたいな人もいるけど膨大な音源のリソースとかサンプリングとか音楽マニアとして膨大に聴いてきた音楽の記憶とかさ、んでまぁ今のDAW環境ってそういうリソース型の人が曲を作りやすくなってるよね。

 

世界でリリースされてるデジタルのインストゥルメンツとかプラグインを全部パソコンにぶちこんだらとんでもない音源のバリエーションってことになるんだけどリアルにフィジカルで揃えなきゃいけない時代に比べたら極端な話、コストとか1000分の1とかになってるかもしれないよね。

 

だからそんなに極端な投資をしなくてもそこそこのが手に入るから余計誰にでも作れるようになるっていう、前に書いたけど90年代のDJブームの時のDJの特権性って高い機材を揃えるのもさることながら音源の情報とかさ、どこで買うの?っていうような12インチを持ってたりとかっていうフィジカルな面での特権性だったんだよね。

 

それは機材にしてもそうで何台シンセ持ってるんだ!っていう全盛期のYMO並に機材を持ってる!とかさ、それだけで凄かったんだけど今ってYMOレベルの機材を揃えるならソフトなら余裕だもんね。

 

だからそういう機材とかのフィジカルの差ってのがプロとアマでほとんどないって中で結局、差が出るのってセンスとか音楽の知識だよね。楽典とかじゃなくて色んな音楽のグルーヴ感を知ってるとかさ、BGM的に聴いてるんじゃなくてDJ脳とかコンポーザー目線で曲を聴き続けてるからメモリーにデータがガンガンストックされていくみたいなことだよね。

 

そのアウトプットってのが昔に比べたらコストが安いDAW環境と昔だったらパソコンがフリーズしてたようなCPUの仕事量を簡単にこなせちゃうとかっていうところでアウトプットの負担が凄く軽くなってるんだよね。

 

ガンガンソフトシンセとか揃えられるから膨大に音色の選択肢が増えるとかさ、こないだも書いたけどGM時代の128しか音色が無い!みたいな時代じゃ考えられないことだよね。指数関数的に増えるっつーけどリアルに使える音色の数はそうなってるしコストもガンガン下がってるもんね。

 

んでbeatportの話になるけど音源のコストも下がってるってまぁゼロコスト社会って本あったけどまぁ本当に20年前とかに比べると恐ろしいコストの低さだよね。ただまぁ高ければいいってもんじゃないんだけどシングルのmp3が6ドルのところを40パーセントオフで買ったから実質300円ぐらいで電車で近場の駅に行くぐらいの値段だっつって粗末に聴いたり扱ったりしないか?とは思うよね。

 

そういう意味だとアナログはめっちゃ大切に扱うよね。まぁでもなんか逆に良かったわ。wavで割引あったらマジでアナログのコストが相対的に高くなっちゃうけど割引はmp3オンリーってことで本当に気に入ったものをアナログで見つけたら買う!っていうディグは続けられそうだからいいっすね。

 

あ、んであれだわ、147リリースを一回で買おうとしてるからダメで一回に買う量を減らしたらどうなの?っつーbeatportからのメールが来てたんでっていうかずーっと買えなくてさ、ただクーポン使えなくなるじゃん!って思ったんだけど分けた分は再発行してくれるみたいなんで分けて見たら買えましたね。トラック数で言うと370でまだ再発行のクーポン来てないんだけどそれが来たらさらに370とかって感じやね。

 

まぁDJ用途もさることながら特にRawなテクノを聴きまくって研究する!っていう用途にもなってるからテクノを買うことに全く出費という感覚が無くなってますね(笑)テクノから音楽入ったんだから今まで聴いてたんじゃないの?っつってもマイナーな12インチなんてそんなに滅多に聴かないし買えなかったから色々聴くと勉強になるんだよね。

 

まぁなんか初期ハウスとかもそうだけどある種レアグルーヴ化してるよね。こないだユニオンでディグりまくってた時にKerri ChandlerのミックスCDがかかってて最初分からなくて「これなんですか?」って聞いたらChandlerのやつですって教えてもらったんだけど印象的だったのが店員さんが「今聴くとかっこいいですよね」って言ってたっつーところなんだよね。

 

まさにこの「今聴くと」ってところなんだよね。デジタル全盛期で同じようなトラックが量産される時代にクラシックなハウスとかテクノは逆に今聴くとかっこいいってまぁハウスとかテクノのレアグルーヴ化だよね。まぁリアルに25年とか経ってるわけで前も書いたけどレアグルーヴムーヴメントなんつって80年代にレアグルーヴっつー概念が出来たときの音源ってまさに50年代から70年代ぐらいまでのソウルとかジャズファンクとかだったわけじゃん?まさに20年よね。

 

ただ俺的にいつも書くけど全くテクノとかハウスに関しては時が止まっててめっちゃ好きになった頃のままの好みでそれ以降の音が変わってきたやつに関しては全く興味無いから俺的にはレアグルーヴでもなんでもなくてリアルにかっこいいのはやっぱり90年代のやつだろうっていうのがあるよね。

 

んでやっぱ90年代のやつに関してはアナログの出音が完璧!って感じだよね。だいぶ溝がアレしててジリジリいってても逆にそれがかっこ良かったりまぁそれ言い出すとベーシックチャンネルなんか機材のノイズそのまま入ってるんだけどあれがかっこ良かったりするわけだからね。

 

あ、んでベーチャンと言えば最近知ったんだけどMoritz von Oswaldってビスマルクのひ孫なんだって!セイン・カミュの大叔父がアルベール・カミュって知ったとき並の衝撃を受けたね(笑)

 

まぁそんな感じやわ。前みたいに大量に書いたのをストックしておきたいんだけどアウトプットメインが音になってるからなかなかね。いや、ただ音のストックかなりあるからなんか書こうかな。

 

ってことでんじゃまたね。