行方不明の象を探して。その47。

気が付いたらキーボードからうんこのような臭いがしていた。キーボードの雑菌は便器並だという話を聞いた。そのまま鼻をほじったりするから便器を触った手で鼻の粘膜に便器の雑菌をこすりつけているようなもんだからビョーキにならないわけがないと男が言った。男抜きの生活。じゃなくて小説。「言った」も無しね。

 

男ってのはやっぱり抽象的なベケットとか顔のない作家とかがよく使う言葉だ。人物ではなくて言葉なんだよね。言の葉。ベケットも顔のない作家も引きこもりみたいな根暗な性格で貧乏だった。じゃないとあんなの書かないだろう。俺は違うよ。と男は言った。

 

女が言った。女というと言ったというよりイッたにしたくなるのは女をモノとして考えているというクソみたいな昨今のノイジーなクレーマーがキャンセリングしてくるだろう?その結果、何が失われたか?ノイズが失われてしまった。ハーシュノイズを耳がダメになるぐらいの音量で聞いたとしても虫の羽音程度にしか感じられなくなるぐらい「ガーッ」っというやつのノイズの音量がデカい。インフラだ。

 

「それを言うならインフレでしょ」

 

と女はイキながら言った。男ばかりではなく女も言うべきだというところから男と同じぐらいの比率の女を出すことにしてもムラムラし始めるから「イッた」と書きたくなる。女のオルガズム。オルガナムはオルガズムって意味かと思ってた。だからキーキー言うのだと。ジャックマンのノイズはキーキーか「ボヨーン」としたヒッピーが吹いてそうな大きな笛とドローンの二種類ぐらいしか引き出しが無い。そんなやつでもなんとかやってこれたんだから引き出しの多い俺がやっていけないわけがない。

 

あと般若豊みたいに「ポポイ」とかって擬音を使って悪霊を出してきて急に喋らせるのも男とか女がいきなり言うとか言ったのと同じような効果が得られるだろう。しかしあの兵たちは、ついにそれを得ることなく老いた作家擬きとして滅びゆくのだ。色々と書いたらメンタルの為にランニングをしてセロリをパンで挟んでワインを飲もう。

 

ワインを傾けるとか最初に言ったヤツ出てこい。皆殺しにしてやる。「ワインを飲んだ」でいいんだ。なんだ傾けるって。ふざけてんのか!男はそう言ったが女はそう言わなかった。悪霊がなんて言ったかまでは覚えていないので書けない。ただこんなことをボヤいていた。もう2023年か。何もない一年だった・・・。でも大丈夫だ。大半の人が今は失われた時を求めて足掻いている。失われた3年間が10年間になるのか。一体なんなんだ。

 

自分のイシューであーだこーだなることはしょうがない。ただ外的要因で被害を被るという生活が10年も続くとか考えられない。全てが永遠にリモート状態で人類がリモートだ。そんな人類にリセット。こんだけクソな時期が長かったんだ。もとに戻ればよいことだあるだろうっつって意外と無かったときの落胆とかも含めるとやる気が起きない。

 

「なんだい?あいつがそいつだっていうんかい?お前さん」

 

で、そいつは自分のことなんてのを一切考えずに俺に協力した。先ほど書いた任客についての物語を考えていたらこんな感じになった。一行ぐらいで済む話だからね。そこに全てが詰まっている。

 

女は写真をどけて俺に差し出した。なんの写真だったのだろう。失われた3年間に撮りためた写真なんだろう。こうやって別の人物のことをすべて把握している主人公がいたりするけどそのほうが自然だよね。だってそう書きたいもの。知らないフリをするほうがいかにもっぽい小説の作法だろう。そういうのはもういいし何より眠くなるからもういい。

 

あと売っても二束三文な割に中古の値段は結構する本が多いから厄介だ。店舗を持ってるし人件費もかかるからってのもわかるけど、だったら一冊一冊膨大にある本をマケプレに売ればいいと思っても根本作業やら商品管理やらを考えると悪寒が走る。俺は億を稼ぐ人間だ。そういう細かいことをやるのは流儀じゃない。

 

疫病の120波。エヴァの使徒ぐらいの数で勘弁してくれ。レズってるゲームの画像のコメントに「勘弁してくれー!」って書いてあったのがファミコン辞典のだいぎりんって言うのかおおぎりんって言うのか文字が読めないから小説も書けやしない。

 

そんなことよりインタラクティヴなポートピア殺人事件。VRダブルで。三国志と言えば三国無双とか三国志関係の映画とかアニメを昔から見ていたりすると原作を読んだときにただの要点のまとめのように感じられてしまうのは生き生きしたアニメやゲームの三国志の世界に慣れ過ぎたからなんだろう。それでも張飛が乱暴者なのが伝わってくるのが良い。というか三国志とは名ばかりでただの殺し合いの話だ。バトルザロイヤル。

 

俺の夢が文学機械になることだとは散々書いた気がするけど、もう一つあるなーと思ったり思わなかったりしたのは任侠機械という概念だ。

 

「天に変わって不義を討つ!」

 

って俺の大好きなモチーフじゃないか。任侠と言っても日本語にするとヤクザしか思い浮かばないので侠客とでも言いなおしたほうがいいのかもしんない。そんなの知らないけどさ、俺の知り合いの刺客も侠客よ。最初は金のためにやってるのかと思ったら義賊だったんで知り合いになったんだよね。そっからはもう結構長い付き合いになるんだけど。

 

アストラル書きってのは前にも書いたよね?どっから金が出てるのか書き手を缶詰にして、例えばパリだとかニューヨークのホテルなどで執筆させてってその時点で色んな経費が乗っかるわけだから家で書けばいいんじゃないの?アストラル書きはそんな感じなのよね。幽体離脱して得た情報とかビジョンをなるべく記憶しておいてそれを元に色々書くってやつ。

 

あんまりやり過ぎると気が狂うらしい。気を付けた方がいいよ。BGMはメガテンのSFC版の頃みたいなキックとFM音源のウッドベースでお願い。特性のない男も凄いよね。暇の骨頂。読んでも何にもならんし教養にもならない。ただひたすら時間がかかる。だったら歴史書とか実用書を読んでたほうがいいに決まってる。俺みたいに暇を極めた人間だけが読めばいいのにちゃんとしてる人がベケットとかムシルとかを読むのは馬鹿げている。権威付けが無かったら誰も読まないでしょ。ああいうの。アングラ小説だよね。

 

だから映画にしとけって言ったじゃない。楽だよ。活字読むのは疲れるから。でもこうやって書き出すとあれでしょう、曲を作りまくってるときみたいになぜか性欲が凄まじくなるでしょう。なんでしょうね、創造性というと大げさだけど・・・と男は言いかけたときに

 

「創造性というより想像性ね。マスターベーションだ」

 

と女が言った。

 

「ププイ」

 

と悪霊が言った。ちなみに悪霊は悪霊という名前で悪い霊ではない。だから改名を考えている。吉田健一なんかはいいだろう。文体が俺みたいだ。最初は適当なエッセイを書いていて、でも立派な小説を書きたくて藻掻いている感じがたまらないだろう。ある種ね、小説ってのがステータスだった時期があったからね。実際どうだったかは分からないけどね。

 

男はそう言うと新聞紙をしまった。もうこのループでいいんじゃないか?適当になんかを書いて「男」と「女」と「悪霊」が何かをやってまた何か適当なことを書く。新聞紙をしまったみたいなアクションがあるから辛うじて小説っぽくなる。金玉はソルティドッグの味がした、とかね。

 

ほどほどにしておけばマラルメみたいな袋小路にも行かないだろう。金玉だけにね。女はそう言うと新聞紙を閉じた。腐女子はBL的世界観に「キャー!アツいわ!」という幻想を抱いているのであって、俺のBL好きもほとんどそれと同じものだと思う。実際に女装子でもない男子に犯されそうになったら犯されないどころか、例えばゲイというのは、スーツ姿のおっさんにムラムラするといったものがむしろ正当なゲイなのであって、それに比べれば俺はなんちゃってゲイなんだと思う。


しかし基本ヘテロセクシャルだから、ゲイだとカミングアウトすることに全く躊躇がなくなるどころか隠すことがダサい今の世の中では、ゲイじゃないけど女装子ならイケるとか、ニューハーフのAVなどもあるぐらいなので、いや、まさにこれが俺の言いたいところで、潜在的に人間はやはりバイセクシャルなのだ。

 

しかし大体のBL小説の作者は女性で、読者の大半も腐女子なんだと思う。そういう意味でBLは女子の幻想の世界でもあるのだが、俺のようなゲイの世界に躊躇もなくて、腐女子的な楽しみと嗜みかたをしているヘテロセクシャルはどういう観点の位置づけになるのだろうか。観点の位置づけ?位置づけの観点。寒天と言えばゲイ用語でそんなのがあったような気がする。


普通のセックスは本当につまらない。すぐに飽きる。そういうものに飽きたら同性にチャレンジしてみるとかいろいろと方法はありそうなのに、セックスはあまり面白くないという認識のままセックスの認識でそこで止まってしまっていることが問題だ。実際は先に色々な広がりがあるのに。