退屈というのもあったに違いない。ハンマーの練習をしているときはそれが紛れるからね、だから練習をするのさ。夕張師匠とセックスしておけばよかった。今度墓参りに行こう。あたしは病的なまでに夕張師匠を愛していたと思うの。でも夕張師匠は死んでしまったからね、だから名残がハンマーに残っているという感じ?そのハンマーを夕張師匠に見立ててオナニーをしているという感じ。
試しにね、ただのハンマーでオナニーしてみたらそれはそれで悪くはなかったけど、やっぱり師匠からもらったハンマーが一番気持ち良くてそれで何回イッたか分からないぐらいだわね。靴が汚い女は大体ヤレるって師匠は言ってたから師匠もレズだったんだと思う。黒夫人ともそういう関係だったのかしら。
あ、そうだ。だからあんまり語らなかったのか。関係とか、あれ、あれ、いろんな話をなんかすぐ遮る感じというかね、なんか言えない事情があったのかもしれない。夕張先生はレッスンの後に座ったまま片足を頭の上に上げてオマンコをさらに開くために両手の指を使って皮膚のビラビラを引き離した。そのビラビラに見つめられたかのようにあたしは動けなくなった。
「あたしはGodなのよ。分かる?ハンマーの神」
思えばこれが秘技だったのかもしれない。でもこのトラウマを抱えすぎてハンマーを見るたびに夕張先生のヒダヒダの中を思い出す。「ジンジロゲー!」とか言いながらヒダヒダを開いていたこともあった。誘われているというよりそれがセックスだったんだと思う。
ハンマーで人を殺しても夕張先生のビラビラに比べたらマンカスみたいなもんで、マンカスを舐めるぐらいの欲望は満たせてもビラビラに見つめられて動けないまま絶頂に達するみたいな経験はなくはないけども、それは殺すときにもう命中するのが分かった時にマンカス程度のものじゃ抑えられないから夕張先生のビラビラを思い出しながら果てていく相手の表情を見るとだいぶいい感じのオーガズムを迎えることができる。
でもそんなのは最初から分かっていたことじゃなくて模索していくうちに分かっていったことでその過程のことを言い出したらキリがないぐらいね。ハンマーを変えてみることもあったわね。小ぶりなものにしてそれで相手を倒してから血が付いた小型のハンマーをオマンコに入れてオナニーするのね。オナニーと言うよりセックスだけども。
でもやっぱりイマイチだったわね。夕張先生からもらったハンマーのトゲトゲが一番気持ちいい。うんこをした後にうんこを拭かないまま生活してお尻の穴が猛烈に痒くなった時にハンマーのトゲトゲの部分で血が出るまでアナルをほじくると最高の気分になったけどイッた後の掃除が面倒だからそこはモチベーション次第という感じ。
得物の掃除は欠かさないのは当然ね。錆止めの油は自転車とかに使うやつよりもギターの弦用のレモンオイルが一番良くて、あれが一番、血反吐とか内臓とかうんことかマンコの臭いが中和される気がする。結局まぁ鉄の匂いが目立つんだけどね。
地球外生命体の話なんてする気はないけど一回会ったことがあってまさにそれがオマンコのビラビラだったのよね。似ていたわけ。FFのモルボルね。モルボル。光ってた。書き忘れたけど鉄球のトゲトゲをアナルに突き刺した後は舐めることもあるけど誰かを殺した時の血は普通に感染症とかが怖いからそこは舐めない。そういうところはしっかりしてる。全部ぶっ壊れてるわけじゃない。そういうところが勘違いされやすいんだよね。
ハンマーの神って師匠が言ったときはどういうつもりだったのか?ってことを考えるね。禅問答みたいだけど分かれば秘技が分かるのかも。でもそれは秘技じゃなくて秘儀なんだろうね。認識的な話。
夕張師匠とは稽古でしか会ってないんだけどなんか勝手にスパイクがいっぱいついたヒールとかを普段履いているとかって想像して興奮してたりした。そのヒールが鳴らす音とね、鉄球についたスパイクの鋭さとね、普通に使っているとスパイクの先って欠けていくんだけど師匠は定期的にメンテナンスをどっかの鉄工所みたいなところに出しているからいつも尖ってた気がする。まぁそんなに師匠の鉄球のスパイクの先なんてのをじっくり見ることなんてなかったから半分以上は勝手な想像なんだけどね。
なんだろうね、師匠のさ、あの重力から自由な感じの鉄球捌き。鉄球じゃないのよね。もはや鞭。全く重さも感じさせないというか、先が実はプラスチックでできているんじゃない?ってぐらいの捌きだったんだよね。でも持たせてもらったらやっぱり一キロ近くあったから凄いなって思った。
持たせてもらった時の師匠の顔を思い出すとまた興奮してきたな。厭らしい体の造形というかね、振る舞いが厭らしいんだよね。あたしのマンコをいちいちツンツンしてくるような感じがあって。フワッと香ってくる師匠の汗と体臭が鼻腔を突き抜けて脳髄に染みわたる感じね。技術も教わったと思うけどなんかああいう振る舞いとかハンマー捌きの中にある佇まいみたいなのを凄く学んだ気がする。
あいつは学べているのだろうか?毎回起床時にこの世というよりも宇宙が終わるという気分から毎日這い上がってなんとか上って寝るとまた宇宙の終わりに出くわすというループが人生だって言ってたけど頭の病気なんじゃなくてそれはもう遺伝子の問題なんだって言ってたな。だから薬でどうにかなるものじゃないと。
暗器の押しバネを強力なものにしたいって言って強力バネにしたはいいけど矢の装填の時にバネが強すぎて力がいるようになっちゃってダメだったって言ってた。そんなことばっかりしてるから起床時の地獄から逃れられないんじゃないかとも思ったんだけど本人はまだバネとかについて考えているほうが絶望的な気分のままでいるよりかはだいぶマシだって言ってた。
人を殺めるようなタイプじゃないから彼は武器マニアね。実際の殺した感じってどうなの?とかってよく聞かれるんだけど慣れ過ぎて全く「どう」っていう感覚すらも分からなくなるし、そういえばなんかどうでもいい話をしていてロンギヌスの槍について調べてたらしいのよね。バネは出荷に時間がかかるとかでその間の絶望的な感覚を誤魔化すためになぜかは知らないけど調べてたんだって。そうしたらロンギヌスの槍っていうネオナチスタイルのブラックメタルの音源があって聞いてみたらやっぱり邪悪で気持ち悪くなったって言ってた。
でも彼からすると邪悪っぽい音を出しているやつらですらも俺の音ほど暗いものはないってことみたいね。なんか結局、バンドとかやってる時点ですでに明るいんだそうだけど、そんな発言をすると思うと彼の心はどれだけ暗いのかしらね。暗いっていうより酷い鬱ね。あれは。あとせっかく気に入った作家を見つけたっていうのに寡作だったり発表しなくなったりしてしょっちゅう本を出すやつはロクなやつがいないって言ってた。それは半分ぐらい合ってるんだろうけど鬱から来る暗黒の認識も混ざっているんじゃないかしら。時々滑稽に見えるもの。