行方不明の象を探して。その226。

その声は今、急速に消え入り、必死に耐えていた。孤独の最後の告白。地理的な目印であり、はかない瞬間に根拠を与えようとする試み。繰り返し、認めてほしいという願い。最後の主張、必然の前の宣言。人生の終わりを告げる地図上の一点。未完成の思考、不完全なつながり。ため息、一生の重みを背負った息。未知への序曲、深淵への一歩。その告白は、生々しく、フィルターを通さず、間近に迫った終わりを受け入れた。感覚の喪失、世界とのつながりの薄れ。色、消えゆく網膜に刻まれた最後のイメージ。詩的な別れ、広大な天空への最後のまなざし。
 
「抜きすぎで黄色い空しか見えない・・・」
 
んで玉座みたいなのがあってそこに偉そうな感じの王様みたいな人が座ってるのね。緑のジャージを着て、黒の紐でグルグル巻きになっている赤いスニーカーを履いてるんだけどまぁ異様としかいいようがない。セロリになっている自分が言うのもアレなんだけども。
 
そのジャージの王様の頭には猫耳バンドがつけられていて、髪の毛はクルクルの天然パーマで、でもそんなわけのわからない見た目に反して顔は割とキリッとしているというかね、まぁ重厚感がある顔というのかな、まぁ結構、王様っぽい顔かもしれない。
 
王様は俺に気が付いたようで、一瞬「アレ」みたいなきょとんとした顔をしたんだけど、唐突に王様に起こった最近の出来事を話し始めたのね。内容は雑多で最近のSNS見てるとイライラするとか、そういうSNSを見てイライラした人たちがモノ化しただのね、いや、そのモノ化って何なの?っていうと、さっきの野菜の行進じゃないけど、本当に文字通りの「モノ」になっちゃってるらしいんだよね。文房具とか調理器具とか工具とか、とにかくあらゆるモノだね。で、オオ様はそんな状況が楽しくてしょうがないらしく大笑いしてたんだよね。
 
でも俺は王様に、そんな状況なのにも関わらずなんとも思わないっていうか、笑って済むことなんですか?なんて聞いてみたりしたわけ。まぁそんな状況をすぐ飲み込める俺も俺なんだけどさ、いや、さっきみたいなことがあったりするから多少変なことがあってももう動じないわけよ。なんっつったって今の俺セロリだしね。
 
あ、んで前置き長くなったけど、その質問したら大笑いしてた王様がガチ切れしてさ、「くだらないやつらがモノになって何が悪い!」なんて言うわけよ。んでそんなに俺のことが気に入らないんだったらそのモノ化したやつらを見に行こうとかって言うわけ。俺は従うしかなかったから「はぁ・・・・んじゃ行きましょうか」って感じで付き添うことになったんだけど、ここがどこなのか、どうやって彼らを見に行くのか?タクシーなのか徒歩なのか?とか考えてたら、そのモノ化した人たちの一部が同じ階のテラスにいたんだよね。
 
で、そのテラスからはモノ化された人たちで賑わう競馬場が見渡せて、レースが始まると、モノ化された人たちは狂乱したかのように盛り上がってる。急に耳元で「ヒェッ」ていう甲高い声が聞こえたんで振り向いたら王様がいて唐突にまた色々なことを話し始めた。さっきのSNSの時みたいな感じで。
 
で、今回はどんな話なのか?っていうと王様が色々やってきた本人曰く「悪事」の告白で、SNSにくだらないことを書いたり、それを見てイライラしたりニヤニヤしたりしているやつらがアホ臭いとか思いながらも、実は本人も相当なSNSジャンキーで、スマホ中毒どころではないSNSジャンキーだったなんてことだったりしたんだけど、まぁ本当にどうでもいい話というか、さっきから一体何なんだろう?っていう感じだよね。
 
で、気が付いたことがあるんだけど王様は何人かのお抱えの人間がいるみたいで、執事とか周りのお世話をする人たちというよりかは奴隷という感じの人たちで、王様曰く、「モノ化しかけていた人間を救った代償に奴隷にした」らしく、ってことはだったらモノ化させているのは王様なの?とかって思ったんだけど、奴隷たちがその辺にいてなんかやってるんでそれを聞くこともできなかったわけなんだけど。
 
で、王様はそのテラスから見えるというより直結している競馬場のとある場所にいいものがあるっつーんで連れてってやるって言うもんだから、さっきと同じ感じで従うしかない感じでついていったら、その「いいものがある」という場所は巨大なホールで、黄金の蝋燭に照らされた、神々しいような場所だったのね。
 
夜になり、古い家はいつもと違う雰囲気に包まれた。空気は不気味なエネルギーに包まれ、壁には幽霊のような影が踊った。かつては無邪気な楽しみの種だった魔法のランタンは、今ではスライドとは無関係に動く不吉な形を投げかけていた。時計が真夜中を告げると、奇妙な寒気が部屋を包んだ。起きている間、物をそれぞれの場所に固定していた確信が、今は揺らいでいる。タンス、文机、暖炉が歪み、グロテスクな形に変形した。
 
扉はギシギシと音を立てて開いた。魔法のランタンに登場する邪悪なキャラクター、ゴロが暗闇から現れ、その目は邪悪な光で輝いていた。かつて聖域だった部屋は悪夢の領域へと変貌した。まだかつて見たことのない大きなその一教区の百九十九キロの果てに、いったい何があるのだろう。息子たちには淫らなトルコ人などいなかった。五感をフル回転させ、血まみれの古いティルトにビーントップ・シュガー・スティックを叩きつけるまで。血まみれの老いぼれに、バイセクシャルのあいつから俺のために虫をポーン!って感じで捧げてやる。

 

その帽子の口先の達者なことで、しかし彼は何を見るだろう。彼は合唱団の娘だったっけ?俺はそれが好きだ。さっきの
 
「あははは」
 
みたいな感じで好きだ。それに対して
 
「では賭けてみろ」
 
と彼が言う。

 

を見なければならないし、彼が見なければならないものを見なければならない。ははは、俺はそれが好きだ、と彼は言う。賭けろと彼は言った。それぞれの楽しみが険しくなり、不機嫌になり、そしてすべての楽しみがタダではしゃぎ回る。しかし、僕の娯楽が以前のようなものでないことはすぐにわかると彼は言う。僕が不法侵入して、あなたに苦難を犯してもいいですか?
 

彼女は唇にキスをし、タップを止め、そしてまた立ち上がり、僕の体を触った。あれは7つの教会のそばの集会かもしれない。木曜の夜はいつも台所でお祈りをする。なんてかわいらしいんだろう。またそれを思い出させてくれた。1日1円あればいいのに。その昔、彼女が膝を持っていることさえ知らなかった。ああ、彼らの長いキスは.ああ、その彼女の肉体のあちこちにしわが、ああ、天国の終わり!彼女は鼻を鳴らした。
 
淫らなシンナーを吸いながら。バイバイ、チェリーベリー、さよなら。どうしてあたしを喜ばせないの?この年寄りのいじめっ子。年老いた学者達よ、あなたの髪を全部持っていると思わない?牡牛のためなら水差し一杯だって構わない。その葡萄酒瓶が、やがて、大きな膀胱ノスが、木からフーフーを取ってくるまで、各当事者が休戦を放棄することは、まったくもって当然のことだ。しかし彼の真剣な目を見て欲しい。

 

その代わり、彼は眼球のない、あるいは少なくとも緑色の母親の息子であった可能性がある。長靴とイボだらけで、灰色の頬には1週間分の汚れがついている。白髪混じりの頬には1週間分の汚れがつき、目には熱い魚が見え、赤ん坊を産むと言った、ああ、謙虚な父よ!