2023-01-01から1年間の記事一覧

久々のウォール伝。その3。

はい、続きです。 あとまぁまたベケットだけど(笑)ベケットの話を映像化したらつまんないわけですよ。あれは文字だから面白いんであってね、そこなんだよね。やっぱ。文字の芸術。文字だから面白い!というものだよね。だからまぁ映像化すれば原作の80パー…

久々のウォール伝。その2。

続きねっていうか思ったほど続きなかったかもな。いや、そのもうあれだよ、クソ仕事がAIのおかげでなくなるやったー!っていう感じにしておきましょうね。AIで置き換わる仕事の一覧表とかエゲつないじゃん?それは無くなるというより解放されるって考えた方…

久々のウォール伝。

いやー年末だねーってことでブログ的なことを書こうと思うんだけど、あれだね、ブログって自分が何をやっていたのか?ってことのメモとかになったりするから結構良いんだけど象シリーズしかアップしてなかったから何をやってたかなぁー?とかって思ったりし…

行方不明の象を探して。その195。

「だからといってボワーンから解放されるわけではないんだけどね」 「だからまぁ終わるまでそれは無限なんじゃないかしら。終わってもそれは続くような気がするけど」 「色々と書いてて思うんだ。いや、何も書けていないんだけどさ、創造ってそういうことな…

行方不明の象を探して。その194。

「前にどこかでお会いしたことがありましたか?」 それは可愛らしい色白の少年だった。中性的な顔つきで、どこか儚さを感じるような哀愁を帯びた美しさがあった。会ったことはないとすぐ答えた。その少年の存在感が考える間も与えないような感じだった。彼は…

行方不明の象を探して。その193。

「まだ出たいって思ってるんでしょ」 と優菜は言った。 「母ちゃんが帰ってきたら、母ちゃん怒るぞ」 憔悴していながらも、優菜へのリベンジが母によってもたらされることを確信していた。 「こんな長い時間、クローゼットに閉じ込めて何が楽しいの?」 と僕…

行方不明の象を探して。その192。

「どうです?、これで一つ奇抜なカクテルでも作ってみたら?僕はさっきちょっとそんな文句をここで口ずさんでみたんです。なぜって、もうこれでたっぷり一時間経ってるんですからね。そうたっぷり一時間です。僕は僕なりに自分に課せられた仕事を早くこなし…

行方不明の象を探して。その191。

ただこう言いたい。純文学がつまらないのではなくて、純文学の括りにされている作品につまらないものが多いというだけだということを。純文学かはともかく飯食って多目的トイレでファックして飯食って酒飲んで寝るというようなものは文学ではないだろう。そ…

行方不明の象を探して。その190。

「なんかでもさ、全く期待もしないでコミットもしないでも思いもよらないときに何かが来るってことはあるよね」 「あるけどそれは現象なんじゃないかしら?もちろんそれはあたしたちが持っているような問題意識、っていうと大げさかもしれないけどね、虚空と…

行方不明の象を探して。その189。

「いいでしょう?サイコーでしょう?」 彼女の声が矢のように飛び込んできて頭の中で響き渡る。 「で、なんだったかしら」 「今日はやめとく?」 その流れで。その動きと同じ。 「あたしもボワーンとしているから。でも今日やめたところで別の日にボワーンと…

行方不明の象を探して。その188。

何枚かのシャツをクリーニング屋に持っていき、何枚かのシャツを持ったまま、銀行に寄って現金を出し、靴屋に寄ってウィンドウショッピングをした。目覚まし時計の電池とUSBメモリを六個買った。必要ないのに。そして冷蔵庫の中の物を全部を全部ひっぱりだし…

長男坊さんへの返信。

長男坊 はじめまして、いつも読んでます! ほんとに最高の小説です。こういうものを評価するための語彙が私の中に存在していない(あるいはこの小説自体がそういうロゴスをあてがう評価から逃れようとしている?←的外れな感想だったらすみません(;∀;))ので…

行方不明の象を探して。その187。

扉は高くて広く、敷居も厚くて重く、縦に4畳ほど敷いてあった。縁のない畳は緑色で新鮮であった。部屋には何もなく、上に小さな机が置いてあるだけであった。ビヤホールの巨大な掛け時計の針はあと五分で三時を指そうとしていた。文字盤の下には二匹のライオ…

行方不明の象を探して。その186。

絶望というのは闇属性だし、ネガティヴな属性のものだろう。良いものだとは思わないが、心の闇から収穫できるものはたくさんある。変な話、そこから養分を得て表現活動に活かしたり何かを書いたり何かを表現できたりするのだろう。ただ観念的にはライト・ワ…

行方不明の象を探して。その185。

「一億年前には」と神奈川新聞に書いてあった。「ここに象がいた」まだ象は現れない。そういえば実家にいるんだった。野暮用で実家に帰ってきていた。でもアパートから遠くないので面倒じゃないのが救いなんだけど、問題はこれなんだよな。何かを書こうと思…

行方不明の象を探して。その184。

平坦な道が待っているわけではないし、かといってもいばらの道を歩んでいるという感覚もない。全ては自発的にやっていることで報酬はそれを掴むこと。それに尽きる。彼の父はよくこう言ったものだ。「お前には根気が無い」でもそれは間違いだ。根気が無いの…

行方不明の象を探して。その183。

じっと映画を観ていると、どうしても自然にその上に置いた鬼滅の刃のフィギュアに目がいってしまい、映画に集中できなくなっていた。でも思えば鬼滅の刃も人間とは何か?を問うような実存的要素がある作品であるし、神という題材はないものの、神なき世界の…

行方不明の象を探して。その182。

もういつの頃か忘れてしまったが、まだこの世で何かを成そうとしていた時に街を歩いていたらScelsiのMichiko HirayamaによるCanti del Capricornoが頭の中で鳴ったのである。その時何を考えていたかは忘れてしまったが、いずれにせよそれは何の実りももたら…

行方不明の象を探して。その181。

いつ買ったんだっけ、これは?こんな面倒な機構がついているものを好むわけがないので、学生時代に家族が持っていたものをそのまま使ったんだと思う。学生時代なんて言ってもほどんと授業には出ずに、今とほぼ同じような生活をしていたわけであるが。 視野が…

行方不明の象を探して。その180。

相変わらずの薄暗い部屋で僕が執筆のために腰を下ろしたとき、期待に満ちた空気に包まれたのもつかの間、ペンは手の中で震え、ためらいがちに、まるでその言葉が背負おうとしている重みを自覚しているかのように、影のベールに包まれた計画が目の前に立ちは…

行方不明の象を探して。その179。

「またマジックを披露してみて。飽き飽きしているが、聊かね。その後、また一緒に食事をしよう。ようやく準備ができたようだ」 「今日は何かに縛られているようでマジックなんてできなかったよ。見ての通りさ。ショーの時間は終わりだ。君は僕の横に座ってき…

行方不明の象を探して。その178。

主のいなくなった寝室はそのままにしてある。彼は彼女がどこか旅行にいったのだと思っているようだ。 「ホドロフスキーのタロットの本どうだったの?」 「カモワン主義者って感じだね。これ以外認めん!とかってなった時点でイデオロギー的というか、そもそ…

行方不明の象を探して。その177。

それを居酒屋でブーツにタイツを履いている女性を見つけて小さくなってブーツの中で匂いに囲まれながらオナニーしたらどうなるのか?どうなるもこうなるもオナニーだろう。あと消えたりね。透明人間になった場合、大体人が考えるのは二つだと思う。一つはお…

行方不明の象を探して。その176。

歩道も車道も閑散としている。日中、あんなにもたくさんの人間が右往左往していた同じ通りとは思えない。おまけに人間の数が多い。それにしても一番異様だったのは、同じ幻影たちのもとへと無理にでも連れ戻そうとするあの強迫観念的な執拗さで、数か月おき…

行方不明の象を探して。その175。

暗い庭に落ちている梯子から目をそらし視線は畑と低くよろめく壁、小川を渡ってさらに斜面を登り、すでに影になっている断崖と夏の空へと下りて行った。小さな陽のあたる畑とともに滑り落ち、暗い断崖に向かう山裾を苦労して登り、そこでは遠くから金槌の音…

行方不明の象を探して。その174。

リビングルーム横の和室に入り、押し入れを開けた。何もない。俺は、シャツとスラックスを脱ぎ、ジャージとトレーナーに着替えた。そして、脱いだ物を押し入れに吊す。二階に上がり、和室の電灯をつける。気がつくと、部屋中の明かりという明かりを全て灯し…

行方不明の象を探して。その173。

象はこれは分かっているのか。つまりは作品は作者の属性ではなくて、作者こそむしろ属性であって、作品という関数を決定する一つの変数以上のものではないということを。象が自分とか恐らく他の作家志望に対して「破滅するな」と警告しているのは、やりがち…

行方不明の象を探して。その172。

龍神様からのメッセージで、もちろんガチの方と師匠を介して教えてくださったのだけども、俺が「霊力開眼!」とかっつって色々やり過ぎてるんで「ちょっとボチボチ休めや。宇宙由来なのは分かるけど地球人として生まれて来てるんだから地球ペースでやったほ…

行方不明の象を探して。その171。

願わくはわれ永久に神より離れざらんことを。永遠の生命は、唯一のまことの神にいます汝と、汝のつかわしたまえるミューズとを知るにあり。われ母より離れおりぬ、われ母を避け、捨て、十字架につけぬ。願わくはわれ決して母より離れざらんことを。福音に示…

行方不明の象を探して。その170。

輝く口元のちんぽの影と海。体は後ろに倒れ、焦げたフィルムからは精液の匂い。脚が走る、黄色いシミ、黒い茂みの木々の中で少女が走る影がクローズアップされて、窓からちんぽをしゃぶる少女とハンドフィンガーファック。 カモメの手と漂白された動きの腕、…