2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

行方不明の象を探して。その22。

その後、サクラソウはすべて一度に鼻を擦り、酒臭い耳鼻咽喉科の医者に「鼻を弄り過ぎだ」と怒られる。あの頃の僕らは輝くものの床のようだった。日傘を差した白い象が、額に付けたダチョウの羽の花束をこの隅で縫うように金色の網を張っているし、だってそ…

行方不明の象を探して。その21。

雨の音を聴きながら生活をしていると外が晴れているのを異様に感じるようになる。天気が良いと気分がいいなどというのはマジョリティの言葉の暴力だ。でもそんな僕も良いなと思える天気の良い日はあるから、そんなもの気分次第だということになる。で、ここ…

行方不明の象を探して。その20。

もういいよ!こんなくだらない話!って君が言い出したんだろう!という話になるとキリがなくなる。むしろこんなくだらない話でヒートアップできるほど仲が良いなどと俯瞰できるぐらいがちょうどいいのだ。喧嘩するほど仲がいいということの本質的な仲の良さ…

行方不明の象を探して。その19。

埋もれていた経験が完全な存在感によって蘇り、自分の存在を見失うときに、なぜ自分の中に閉じこもっていてはいけないのだろう?なぜ我々は、現実の感覚や精神的な内容を追い求めるのか。それは、僕たちの内なる流動性が客観化を否定しながら爆発的なエネル…

行方不明の象を探して。その18。

Sukoraの「Tower」の最後の音が空中に消えながらCDが終了しようとしていた。しかし「Tower」に音はほとんど入っていないので、音と音の隙間が分からなくなる。一昔前のCDプレイヤーだったら「Tower」の音よりもCDプレイヤーが止まる音のほうが大きく聞こえる…

タクティクスオウガ・リボーンについて。

今日は象っつーか小説の続きじゃなくて普通のエントリーで。 っつーか小説を放り出してハマっていることが色々な進展を見せ始めて面白くなってるんだけど書くようなことではないので書かないんだよね。別に書けないことをやっているわけじゃないんだけど(笑…

行方不明の象を探して。その17。

地獄村で作品を作り売り込みの為に上京する生活はポリリズムを生み出し気分転換にもなって自分の仕事が軌道に乗っていると確信できた。地獄村に帰り梱包した原稿を送るために郵便局に言ったら局員さんが汗を拭きながら奥の部屋から出てきた。 「こんにちは、…

行方不明の象を探して。その16。

その話の最中、彼は大きな池のある井之頭公園で小倉焼きのなかにバニラアイスクリームが入っている熱いんだか冷たいんだかよく分からないお菓子を食べていた。ボートに乗った直後の楽しい余韻と彼があまりにもさりえなくこの話題を口にしたのとで少しも不安…

行方不明の象を探して。その15。

「先生、音声入らないからもっとリラックスした表情でしゃべりながら作業してもらってもいいですよー」 「タイピングするときに喋ったりしないので」 「あー、それもそうか、集中してるんですもんね。カメラ、もっと手元アップして。いいねぇ、さっきまでの…

行方不明の象を探して。その14。

まあ、巡航してたんだけどね、フレンチフライでブログ更新してこい。隣の車のボスの連中と話をした。ちょっとだけ緊張感があるけど、何も気にすることはない。こいつは俺の妹と結婚したがっていたから、何度もすれ違った。一本道でタバコを吸いながら上へ下…

行方不明の象を探して。その13。

「あなたはそれほどまでにこの空虚さから逃れたいのですか?」 「そうしなければならない」 「あなたがいま脱出することはできないわ」 「そうしなければ、そうしなければいけない」 なにかあてがあってこそ時間は経っていくのであって、ただビール一本の為…

行方不明の象を探して。その12。

梶田光君、凄すぎるよね。数学諦めて本当に良かったと思う。俺ってそこまで突き抜けてない割にやっていることに関して「B級が何頑張ってんだ?」っていう冷めた目があるから真剣にやることはS級にしないと気が済まない。でもさすがに努力でなんとかなる世界…

行方不明の象を探して。その11。

「意思を弱めるということが女性化って聞き捨てならない言葉だな。お前も殺されたいのか?ポイントマンさんよぉ」 無口な少年に殺意を感じ震えが止まらなくなった。次は先生にセラピーを与える番だ。おなかを押さえて苦しそうな顔をした。先生は笑っていた。…