2023-07-01から1ヶ月間の記事一覧

行方不明の象を探して。その127。

そして彼は、あの世での絶対的な意識を想像する。彼は、僕たちが皆そうであるように、自分が死んでいることをどうやって知ることができるのか不思議に思っている。僕たちは流体の右端に気を取られていたのだ。なぜ左端ではないのか?それは驚かせるための絶…

行方不明の象を探して。その126。

「さて、どこかに行きますか?」 「動物園を襲撃しに行こう」 「いいね」 と言った。内容的にはキリンさんと一緒に行く時の話と重複したり、大体園長が同じような態度なので省略する。またレコードを渡されたけど面倒なので省略する。問題は一週間ばかり象の…

行方不明の象を探して。その125。

「象と俺のみ」という意味での我々は店の奥にある薄暗いコーナーでマリファナを吸いながら時間を潰した。 「いい感じにキマったな」 「ああ。俺は上物しか吸わないからな」 我々はカウンターに戻りビールとジム・ビームを飲んだ。すでにラリっていたので殆ど…

行方不明の象を探して。その124。

武術を教わっている師父に 「また時間がズレてしまいました。稽古、お休みします」 とラインをする度に嫌な気持ちになる。まるで武術と虚構の世界を秤にかけているようで、自分は虚構の世界に没入する道を選ぶから武術は二の次だと言わんばかりのプライオリ…

呪術廻戦じゃないんだから。

躁鬱さんのリクエストにもあったようにたまに近状を書くことにするわ。っつーか書けないことが増えてきたんだよね。というのは例の見えない世界にコミット中なのと、それと同時に三次元世界に完全に見切りをつけたというか、どんどん興味が無くなってきて、…

行方不明の象を探して。その123。

僕は今でも、ヒー君のことを。見捨てたのを非常に後悔している。僕は自分からここに来たのではない。前回も来なかったし、その翌日も翌々日も眠ったわけではない。もっと長い間眠っていたのだ、と思うようにしていても、それでも、僕はヒー君のことを思って…

行方不明の象を探して。その122。

話をエレクトロに戻そう。エレクトロはつまりはTR-808を使ったお決まりのビートしか選択肢がないわけだから、結果的にどの曲も似たり寄ったりになって、ジャンル的には短命に終わった。でも俺の中でエレクトロのマイブームが来ている。Rawなものを俺は好むの…

行方不明の象を探して。その121。

「だったらどうなんだ?」と僕は答えた。 「どうってことありゃしませんよ」と通りすがりは答えた。 通りすがっているのに通っていない男だ。こいつは。俺の何を知っているのか、でも妙に的を得ている。そもそも我が国日本では通りすがりと話すということが…

行方不明の象を探して。その120。

「何が気に入らないの!」と女性が大声で言った。金玉を丸々と、むしろスポンっていう感じで口に含んだ後に、俺の股の間でそう叫んだのがこの女。気に入らないというのではなくて、目というよりも目の上の骨に慢性的な鈍痛があって、単純な眼精疲労だとして…

行方不明の象を探して。その119。

エレベーターに乗っているときに乗り合わせた女子高生が 「さっきなんかキモい禿がいたんだけど」 という話をしていて、多分、学生の頃だったのだろう。そのキモい禿は俺の当時の友人だった。でも禿げているわけではなくて坊主にしているだけだった。その友…

行方不明の象を探して。その118。

それは空き部屋が気に入ってちょっと安心しながら寝入ったときのことである。隣の部屋から 「うう・・・」 という呻き声のようなものが聞こえたので、隣の部屋をノックしてみると重病人らしい年齢不詳の男性が寝ていて、ちょうどその時に超ボインのTちゃんも…

行方不明の象を探して。その117。

掃除をすると運気が上がるとか掃除は心の掃除にもなるとかって言うけどヴァイノーのお手入れはどうなんだ?下手な掃除より運気とか自分が磨かれそうな気がしてこないか?ヴァイノーが凄いのはグルーヴにグルーヴそのものが刻まれていることだ。それを針がピ…

行方不明の象を探して。その116。

ヴァイノーはあれだ、前に書いたかもしれないけど日本の80年代のシティポップなんかが海外で人気で海外のバイヤーが大量に買っていって海外でボロい値段で売っていても何しろ海外は賃金が高いから高いレコードも売れるんだろうな。中古のレコードの値段が高…