現代音楽系雑談。

Jani Christouっつー人の音源を当てはめれば終わりなんすよ。今作ってるやつ。最後のピースですね。んでもCDが届かないんだよね。まぁ別に似たような音を持ってくればいいんだけどJani Christouのやつじゃないとすげー嫌でさ、いやーそのつもりだったんで変えるのが嫌なんすよね。だからまぁ待ってるわけなんだけども。


あ、んでこないだ凡庸な音楽家だなんだっつって批判ばっか書いたような感じに自分的になってるから凡庸じゃない現代音楽とちゃんとした音楽とのバランスが絶妙に取れてる人たちに言及しようかと。ただまぁディスクガイド的になると面倒なんで名前だけ挙げるわっていうかまぁやっぱジョンゾーンっすよね。生コラージュと言えばこの人だろう。で、まぁゾーンに実験音楽的なものに興味を抱かせるきっかけになったのがMauricio KagelのExoticaってレコードなんすよね。ちなみにKagelはまさにそういう凡庸じゃないハイセンスな現代音楽をやっていた人でこの人は世代的にストックハウゼンとかああいう感じの世代なんだけどポストモダン的感覚すらも相対化するようなラディカルな作風だったりしたわけですねっつってもまぁポストモダン的な時代にそういうのを作ってたわけでまぁ時代性ってのはあるんだけどね。いや、やっぱこの1930年代生まれとかっていうこういう世代って電子音楽実験音楽も含めてやっぱ凄い人たちが多いんだよね。こないだ書いた新垣隆の作品が凡庸だっつーのもこういうストックハウゼン世代みたいな連中が面白い現代音楽作ってて、んで今更あんなもん作るんですか?って意味で凡庸ってことなんだよね。質は高いけど何も面白くないって意味でまぁできのよい普通のハウスとかダブステップみたいな感じですね。


アカデミックなフィールドでああいう曲を書くことに意味があるっつってもジョンゾーンとかってアカデミックじゃん?ちゃんとした現代音楽的なコンテキストでも評価されてるわけじゃん?あとはまぁ良いバランス感覚を持っている人だとヤン富田だよね。まぁあれだよね、1950年代生まれとかそれ以降の人たちだよね。今のレジェンドっつーか大御所っつーの?いや、もう凄いじゃん?だから現代音楽なんてやりようがないだろうっていう。まぁあとめちゃめちゃシリアスなのでもヘルムート・ラッヘンマンみたいなのがいるし、まぁこういう人たちを今の頂点だとするとこないだ貼った動画のやつなんて全然普通じゃん?っていうことだよね。あ、何が言いたいのか?っていうと色々と音楽について詳しい俺からすれば面白とは思えない的なことが言いたいんじゃなくて歴史的な意味でもやってることが相当陳腐ってことね。あとまぁ生コラージュって歴史長いじゃん?ベリオとかもっと言えばアイヴスなんかもそうじゃん?


で、やっぱジョンゾーンとかヤン富田的なものが凄いのってアカデミックな方法論とかコンテキストとか意味合いとかっていうシリアスなガチの現代音楽的な手法を踏襲しつつも結果的に音楽性の高い音楽としてアウトプットで出てるってことなんだよね。理詰めになるとわけがわからなくなりがちなんだけどこういう人たちはバランスが凄くいい。っつってもやってることは極端でポップな感覚と混ぜるために現代音楽的な部分を薄めたりしているか?っていうと全然そんなことないっていうね。


だからなんかまぁ音楽性とか娯楽性も全くゼロでなおかつ理詰めで何も面白いこととか革新的なことやってないってほとんど音楽としての価値がないんだよね。そういう意味で質はゴーストのやつと本流のやつって一緒なんだよね。クオリティは高いけどめちゃめちゃ普通っていう。いや、まぁでもたいしたことない人たちなんてみんなこんな感じだよね。まぁそんぐらい現代音楽ってレベル高いんすよ。まぁあとそこであれじゃないっすか?大友さんとか出てくるわけよね。元はフリージャズでんで現代音楽的なものとかも色々と踏襲してああいう色んな音楽やってるってことだよね。いや、だから変な話、凄い新垣隆みたいな感じかなって馬鹿にするわけじゃなくてあまちゃんとかのキャッチーな音楽も作れつつも特に初期はめちゃめちゃとがった音楽やってたし、今もそれは演奏とか作風のバリエーションとして残ってるんだよね。


で、それが世界的に評価されているっていうかまぁようはあまちゃんによってメジャーでの仕事も評価されたって感じじゃん?だからまぁ面白いんだよね。元々そういうアングラ系っつーか全然ポップじゃないのをやっててんでまぁだんだんとポップなものもやり始めてんであまちゃんみたいな極端なぐらいポップなのやって大ヒットって感じだからね。新垣隆はゴーストのも本流のも普通過ぎるわけよ。だから決して埋もれてるとは言えないよね。確かに注目はされたかもしれないけどそれはこないだ書いたようにスキャンダルによって全く普段はそんなのを見る機会が無い人とかが見るきっかけを得てんでまぁ若干話題になったっていう感じだからね。いや、それよりあまちゃんの音楽の人がギターで凄まじいノイズ出してたりするほうがよっぽど面白いと思うんだけどなぁー。それがまぁようは元々こういう音楽を聴いてた人たちからすると大友さんがいいともに出てタモさんと喋ったとかさ、もう面白すぎるわけよ。しかもノイズ的な話題で盛り上がっているっていう。もう最高でしょ。


あ、んでもちなみにジョンゾーンも大友さんもあれだよねっていうかこういうフィールドの人たちのは評価が定まってるからなんでも評価されるってことじゃなくて作品によっては極端に評価が分かれるからね。大御所だから安泰というわけではないっていう感じか。まぁなんか俺の印象だと本当に面白い現代音楽的なものってのは現在では即興演奏とかノイズとかサウンドアートとかと色々混ざっているものっていう感じだよね。古典的なスタイルの現代音楽ってもう行き詰ってるし実際に面白いの無いからね。日本だと細川俊夫とかいるけどつまらんし普通だもんね。こういう世代の古典的な現代音楽のスタイルでやってる人たちってこういう小粒なのが多いよね。あんま面白いフィールドじゃないんで才能ある人がもっと他の音の分野とかでやるようになるんで才能があるやつが現代音楽をやろうとは思わないっていうのもあると思うけどね。いや、だから結果的に面白いのをやる人ってのは古典的な現代音楽っつー枠組みの中でやってる人たちじゃなくて即興演奏とかジャズとかノイズとかサウンドアートとかと混ざったような一見、現代音楽とは思えないようなものに多いってことなんだよね。でも実際はコンテキスト的には現代音楽に属してるって言えるものも多いんだけどアカデミックには認められないとかまぁそういうくだらん世界だよね。そういう意味で現代音楽業界っつーかクラシック業界自体がクソみたいに保守的じゃん?だから詐欺師をスターにするようなことがまかり通ったりするわけね。


だからアカデミックには評価されないけど実はすげー現代音楽的なコンテキストで音楽やってる人って多いのよ。んでもまぁネットがあるんで埋もれるってことがあんまなくなってるよね。面白いのはすぐリリースされるしすぐ話題になるし。いや、何が言いたいのか?っていうと新垣隆の作品を見ても分かるように古典的な現代音楽の枠組みでやってる現代音楽はオワコンもいいところなんだよねってことね。実際にクソつまらんし良いのが無いからね。別にストックハウゼンとかの世代のものを過大評価するとかではなくてニュートラルに見てもやっぱああいう世代の作品って面白いのよね。まぁあれよ、ケージとかフェルドマンとかも入ってるよ。当然。あと微妙に素人臭いライリーとかヤングとかの作品とかもレジェンド的なコンテキストを外してもやっぱ良いし面白いと言わざるを得ないよね。あとはまぁMorton Subotnickみたいな電子音楽系にしても当時のサイケ的な時代背景でサイケとして評価されたみたいなのもあったけどさ、それで言えばやっぱ日本の世代にしたって武満とか一柳とかやっぱ凄いのよ。電子音楽やコンクレートでも面白いのを作ってるしやっぱ凄いなって思う。ホントに才能ある人たちが現代音楽やってた時代なんだよね。多分。


あとINA-GRM系なんかでもピエールアンリとかやっぱぶっ飛んでるじゃん?シェフェールの直結の堅気の人なんだけどでもやくざな仕事もやっててそっちはサイケとかモンドとして評価されてるみたいな。で、堅気なコンクレート系でも当然良い仕事してるんだよね。それで言うとフランソワ・ベイルとかパルメジャーニなんかも堅気のコンクレートや電子音楽もやってるけどサイケとかモンドとしても評価できるみたいな面白い作品いっぱい作ってるし、あとまぁこのあたりで言うとようはインダストリアル系の人たちに評価されてたっつーある種のノイズのオリジン的な感じもあるよね。実際にすげーノイズっぽいやつとかINA-GRM系のコンクレート音源には満載だし、あとまぁやっぱストックハウゼンはそういう意味でキチガイだからやっぱ凄いよね。ただの音響ノイズとしても評価できちゃうみたいなのを作ってるんだもん。大御所だからってことじゃなくてアウトプットとして成立してるってのが面白いんだよね。本人の意図とは別にそれがノイズ的な評価をされたりもするんだけどそれも含めた音楽じゃないっすか?そういう意味でクセナキスってノイズゴッドみたいな感じだよね。あの世代ですでにもう作り方がノイズ的だったり音響的なんだよね。それをもっと情緒的に表現主義的なものも含めた上でやってたのが最初に書いたJani Christouなんすよ。ハードコアクセナキスみたいな音なんだけどめっちゃ良いんだよね。ガチの軋み系ノイズをやっているTNB(The New Blockaders)とかOrganumよりも煩いんだもん。現代音楽なのに(笑)そこがパンキッシュで最高に好きだね。あんま評価されてないところもまた良いよね。まぁああいう音楽をあえて聴こうと思う人はいないだろうからまぁしょうがないんだけど。


あとまぁ現役世代に話を戻すとJakob Ullmannはやっぱ良いよねっていうか基本的にEdition RZから出てるようなのは外れがない。でも見れば分かるように本当によいものってめっちゃ少ないんだよね。そんな中でEdition RZみたいなのは本当に良い音源だけリリースしてる感じだよね。あ、現役世代のと過去のアーカイヴのとかも混ざってるから現役世代専門レーベルってわけじゃないんだけどね。


まぁそういう意味で現代音楽をマジでやるなんてどんだけ頭が良くても相当難しいんすよ。レベルが高すぎる人たちばっかなんだよね。元々マイナーだからそういう人たちしか残らないってのもあるし。ガチでやるかフレーバーを吸収してポップ的なフィールドでそれを展開させるのかさ、でも方法論の展開っつってもそれもすでにやってて成功してる人たちが大勢いるし、もうそれもすげー昔の話なんだよね。80年代とかの話だから。だから今現代音楽をやろうにもやりようがないって感じはあると思うよね。でも現代音楽的なものを活かして音楽をやることはできるよね。まぁそんな感じの方法論っすよ。俺のやつはね。まぁでもホント、ジョンゾーンがジャズでやったのを現代音楽でやってるようなもんで何の新しさも無いし、実際に出てる音っつーのも結局は全部既存の枠組み内に入るものばっかなんだよね。まぁでも別にそれでいいと思ってるんだけど。新しいことをやろう!じゃなくて俺なりの現代音楽をやろう!っつーのがコンセプトだから。


あ、ちなみに元が電子音楽だったりするのを人力でやっちゃうZeitkratzerっつー集団がいてこいつらは面白いよね。まぁこれまた何の驚きもないんだけど面白いよね。質高いし、去年亡くなったルーリードのメタルマシーンミュージックなんかも人力でやってたりするからね。ちなみにブレーンっつーかボス的な人のソロがあってReinhold Friedlっつー人のInside Pianoっつーアルバムなんだけど最高なんだよなー。ジャケがクラシックのピアノアルバムみたいな感じなんだけど聴いてみるとピアノの弦をギーギー鳴らしてるアコースティックノイズアルバムでしかもめっちゃ高いピアノと良い録音でやっててハイファイTNBもしくはOrganumって感じなんだよね。軋み系のノイズが大好きな人にはたまらないと思うんだけどあくまでクラシック系として出てるのがいいんだよね。実際にやってることはノイズなんだけど。まぁこれは本当に現代音楽の良い例だよね。ちなみに大所帯のZeitkratzerは当然食えないどころか恐らく赤字なんでどうやらパトロンがいるらしいんだよね。まぁでも素敵だよねぇー。ああいう面白いプロジェクトに金を出す人がいるってのが良いよね。で、ちゃんと面白いアルバム出してるから偉い!!作品が多くて貼るのが面倒なんで貼らないけど興味あったら調べてみてくださいよ。


あと大友さんのベストをあげろって言われたら間違いなくファーストっすね。っつーか貼っとくか。



あとさっき書いたピアノのやつね。



あとジョンゾーンの生コラージュ系のを。





基本的にどれもコンセプト以前に音楽として楽しいってことなんだよね。そういう意味で評価できるわけだ。生コラージュとかCD自体がコラージュでできているとかこれ自体に面白みはないわけじゃん?作品として面白いかどうか?ってことなんだよね。ようは。「ピアノの弦を擦りまくった」っつーのもコンセプト以前に即物的なノイズ音響としての価値があるわけでだから鑑賞に値するものになるわけだよね。だからそういう意味で「ただの風変わりなもの」ってのには何の価値も無いと思うわけだ。色々と出尽くしている今では方法論的に凝ってるだとか音をストイックに突き詰めているだとかっていうことと音楽性が両立してないと何の価値も無いと思うね。前者だけだとまず目新しいものなんて無いだろうからやってる時点でもう駄目なんだよね。もうやってる人いるからただの繰り返しになりますよっていうまぁようはもっとやるなら勉強して来いって話になっちゃう。んでも同じことでも音楽的に昇華させたら別だよね。そこで生まれるのが音楽的な価値なわけだから。


まぁそんな感じで今日はこの辺で。


あとあれだ、娯楽性と芸術性ってまさしく初期のゴダールなんですよねっていうかジョンゾーンってそのままゴダールなんだよな。ゴダールの場合、お堅い芸術映画の手法をインディーズの娯楽映画に持ってきたわけじゃん?で、それが上手いことミックスアップされて大成功したんだよね。で、その後に政治性とか思想性を高めていく中でコラージュ的な手法とか娯楽性が無くなって来て作家主義っぽくなってきてクソになったわけだよね。で、まぁ80年代ぐらいに一応リターンはするんだけど戻されたのは手法のみで肝心の娯楽性は無かったんだよね。コラージュとかモンタージュみたいな手法を何気ない娯楽映画っつーかただ若いやつが出てきて喋ってるだけみたいな映画でやっていたのが凄かったわけで、んで思想とかに傾倒していく中では別に思想自体が深かったわけでもなんでもないんで芸大生とか哲学青年とかにはウケるみたいな最低の映画を連発したわけだよね。で、まぁ戻ってこないまま終わった感じなんでピークが初期なんだよね。


まぁそれで言うとジョンゾーンも違った意味で初期がピークだよね。二人とも才能があるのは間違いないんだけど。ゴダールは既存の思想をもコラージュしてた!とかなら良かったと思うんだけどそこまでの力量は無かったわけだよね。で、まぁただの思想かぶれな映画しか作れなかったわけだよね。で、皮肉なことに色んなもののコラージュ+哲学のコラージュと娯楽性を両立させたのがマトリックスじゃん?で、これは哲学やってるみたいなやつにしたら「あんなのいんちきだよ」って認めたくないみたいなポップ映画なんだよね。でも実際は思想のコラージュとか哲学の歴史のパノラマみたいなのをSFでやってるわけだからめちゃめちゃレベルが高いしそれで面白いっつーか娯楽映画として一流じゃないですか?だからもう認めざるを得ない感じなんだよね。でも「マトリックスは凄い!」っていうよりかは「ゴダールは偉大だ」って言ってるほうがかっこいいんだよねってまぁもうそういう時代じゃないかもしれないけどね。