Carchemishさんへの返信。その5。

mimisemi2009-11-24

では返信を。有意義なやりとりでなにより。

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Carchemish
2009/11/21 21:09
 

まず、私が問題視しているのは「キラー的な精神」であって、耳蝉さんの手法そのものをではないことはご理解頂けるでしょうか。耳蝉さんが(今のところ)採っているアクションにケチを付けるつもりはないのです。「警告しつつ彼らの分析を行う」といったような。そういった行いは、この世の中で耳蝉さんのようなタイプの人間や、私のようなタイプの人間がよりよく生きるための一助となり得ます。しかしながら、その背景にあるものがきちんと律せられていない生の感情、現状が異常事態であり変革が必要だとか、殲滅しなければならないとかいった、これまた「キラー的な精神」であること、またそれが文章の端々に滲んでいるということに対して私はぎょっとしたり、眉を顰めてしまうのです。

 
保守的な人間がどうしてイノベーションを打ち砕こうとするかというと、それが彼ら個人にとっては合理的な選択だからです。ですので、ドリームキラーのナントカさんが耳蝉さんの思いを殺そうとするとして、その選択そのものは彼あるいは彼女にとっては正しいのですが、社会全体から見ると明らかに損失であるため、その(ある種の)殺人が為されないようなシステム構築が必要、というのは同意して頂けると思います。ですが、重要なのは殺人が防がれること、つまり「殺人の意志が挫かれ、それによってより効率的な選択がなされること」なのであって、「意志そのものを抹消したり、変革したりすること」ではありません。後者は起点がどちらかという違いがあるだけで構図としてはドリームキラーと同じもの、つまり「キラー的な精神」です。

 
もちろん構図が同じなのだから、ドリームキラーの精神を処刑することは耳蝉さんにとって合理的な選択です。耳蝉さんがただエージェントとして振舞う、システムの内側にいて「意志を否定する人間の意志を否定する=キラー・キラー」を主張するというのならそれはそれでアリです。しかしながら耳蝉さんはシステムを構築する側、つまり“モデリングを行う側に回ろうとしている(ように私には見える)”し、またそれをこなせるだけの地力がある。そのような人間が用いるキラー的な精神は、モデルの中の恣意的な変数として君臨する可能性がある。これは非常に危険なことだと考えます。システムの目的は「最大効率化」をもって他ならず、それ以外の目的を掲げて構築されたモデルというのは、何処かしらに歪みを来してしまうものだからです。「キラー的な精神」は往々にしてその歪みの大本になり得るものです。

 
私が耳蝉さんの言説のある特定の部分に関して感じている不安感や不快感というのはおそらくこういった可能性に端を発するものなのではないかと推測します。もちろん、システムそのものが腐っているという批判も有り得ますし、それが正しい状況もまた有り得ます。ですがそういった場合に置かれても、あくまでメタ的な視座に立ってそれぞれのシステムを計りにかける、つまりシステムへの裁定もまた、より上位のシステムに従ってなされなければならない。目指すものは同じく最大効率化です。

 
……というのが、まあ私の実感というか、モラルみたいなものなのですが。どうでしょう。

 
虚偽意識については、私はマルクスをいわゆる「解説本」のレベルでしか知らず、ぶっちゃけ語れるだけの資格がないような気が。耳蝉さん視点からすると、当コメントのような私の物言いは丸々虚偽意識的だということになるのでしょうか? そうだとしたら、正直、虚偽意識でいーや、とか考えてしまうのですが(苦笑)


Carchemish
2009/11/22 23:02
 
まあ何ですか、我ながら似合わないことをやっているなという思いがあります。というのも、説明するというのは大なり小なり視界を狭めてしまうものだし、モラルについて語るということそのものがモラルに抵触しているという現実があります。こうやって自分の見方を詳らかにしようと腐心する過程で、私はいくぶん「意識的に」誰かしらの世界を傷つけざるを得ません。


いや、すみません。理解しました。「キラー的な精神」に関しては本当に理解しました。で、ここで質問があるのですが、ペインキラーとかってギョッとしますか?ペインっていうか痛みって普遍的に不快なもので取り除くに超したことはないものですよね?もちろん人間の機能においては痛みって重要ですよね。これが無いと怪我しまくったり体の異常に気がつかなかったりしますからね。まぁそういう意味で痛みって悪いものではないんですが、やっぱただ鎮痛したいですよね?僕はドリームキラーとかって癌とかと同じレベルのものだと思ってるんですね。全く何の得も無くてひたすらただ有害であると。だったらそれを取り除くなんて別にいいじゃないかって感じなんですね。


もちろん「キラー的な精神」への批判は理解していますが、キラーが人を殺している以上、そういうものを捕まえるか殺さないと被害者は出るばかりですよね。まぁこの悪の普遍性の構造は差別主義とかと同じですね。差別主義なんていいことは一切ありませんね。でも差別も一つのオピニオンだとかっていうバカがアメリカにまだ結構いたりするのが驚きなんですが、こういうやつらの意見なんて尊重しなくていいわけですね。とっとと牢獄に入れろって僕は思いますね。生っちょろいことをやっているから悪が蔓延るんであって、悪いものはがん細胞のように根こそぎ取り除かないといけないわけです。なのでまぁ僕は基本的に革命主義者なんですよね。取り除けるなら別に犠牲者が出ようが暴力が伴おうが結果良ければ全て良しって考え方です。少なくとも現状でそういうものに殺されていたり迷惑をしている人達が大勢居るならそれは少々強引でも変革していいと思うんですね。


なので僕はモロにキラーですね。結果が完全に見えていて共通善にコントリビュートするなら戦争だっていいと考えています。アメリカのイラク戦争はまぁ最悪ですが、まぁ僕はプラクティカルな政治に関しては疎いんですが、あの辺の地帯の民主化っていうアイデアにはかなり賛成なんですよね。ただまぁとにかく侵略されたら何が何でも抗うっていうテロリストと呼ばれるレジスタンスがいたり、あとはまぁ作戦が杜撰だったためにまぁ全然ダメだったんですが、まぁ民主化というとアメリカ主義の押し売りみたいな感じになるので平和化といったほうがいいですね。で、この平和化が行われる戦争ならそれはいいんです。それはもろにキラー的な発想ですが、そのぐらいやらないとダメなこともあるので、そういうときはやらないとダメなんです。まぁ決断主義といいますか。


それを国家がやると戦争になって人々がやると革命になるわけですね。呼び名が違うだけでやってることは同じですね。基本的に武力で制圧しようとするわけですから。アメリカとかフランスもまぁ革命があった国ですけどまぁなんとなくまぁ歴史的には良かったこととされてますよね。ようは結果が良ければいいんですね。実際のフランス革命なんてディティールは凄惨なものらしいですからね。それこそ人間を八つ裂きとかそういうレベルです。でもまぁ武力が伴えば大体まぁ一緒になりますね。


で、僕は良くないものを自分たちに合理的だという理由で保守しようとする連中達はいつでも人々が潰しにかかっていいと思っています。そんな保守にはクソ食らえで政治で言えば売国奴ですね。ドリームキラーも同じレベルの明らかな害悪です。なので取り除いて何が悪い?ってことなんですね。彼らも彼らの人生があるっていうことを言うとまるでいじめっこのいじめを正当化するような話になりますからね。で、僕は意志が蔓延る限りシステムがどう構築されようがそれは変わらないと思っています。アメリカの差別が典型で一応ダメとされているはずなんですが、結局、まぁ白人至上主義みたいなのがバリバリあったり、そういう意識を抱えてる連中がまだ生きてたりするんで、なかなか根絶できないんですね。ただ良く言われるようにヒッピー世代以降とかは特に元々差別がダメだとされている環境で生まれて育ったので、それがデフォルトということで過去の差別主義が普通だった時代よりかはマシだろうって話なんですよね。で、その象徴がオバマ当選とかってのもよく言われますね。


で、凄く気に入った指摘が「モデルの中の恣意的な変数として君臨する可能性がある」ということですね。僕がそれだけの地力があると言われると凄く嬉しいですが、まぁ僕は体力が無かったりするので実務とかはダメだと思うんですが、まぁそれはともかくとして、それを危険だと感じるのは凄く普通なことですね。健全です。ただ僕はシステムにより恣意的な変数を固定的な変数にしてしまうということを目指したいというかまぁなんとなく思っているんですね。ステイツマンというある種の条件を満たした集合の中から恣意的にアサインされる変数が常に君臨し続けるシステムは全然民主的ではありませんが、恒常性といいますか、安定性はバッチリだと思うんですね。もちろんそれが一歩間違えば独裁になるので危険ではあるのですが、だからこそ必要なシステム設計ですね。そういうやつに乗っ取られないエリート統治のシステムですね。統治している側もシステム的に私利私欲で動けなくなるという、まぁある意味で国民の下僕になるということは、なんといいますか、憲法という本から出ている鎖に繋がれているリヴァイアサンのイメージですね。リヴァイアサンが統治しているように見えるんですが、実際は鎖で繋がれていて暴走ができないという、その鎖の所有者が国民というわけです。


で、まぁあれですね、暴走したら国民側もそれに立ち向かうみたいな勇敢さが必要ですね。まぁ下手なことを政治家がやったら暴動とかデモが起きまくって大変なことになるのでやらないというようなことと同じですね。日本はそれが無いんでダメなんですね。異常なぐらい国民が何もしないですよね。最近は少々状況もあって変わってきているとは思うんですが。


なんというか僕はシステムの上に君臨するというイメージよりかは、システムの一部を担う下僕というイメージですね。そういう意味でのエリート統治です。統治というと上から治めているイメージがありますが、実際はシステムの一部を担うということです。そういう意味で攻殻機動隊のSolid State Societyが大好きなんですね。久世に関しては前に色々書いたんで書きませんが、僕が久世に惚れ込んでいるというのは大体僕が考えていることが彼と同じだからです。


ただなんといいますか、Carchemishさんのご指摘の数々は全部言えていて全く反論できる余地がありません。僕がまぁそれも虚偽意識だ!って批判することはできますが、なんというかまぁただの意見の違いですよね。ただのって言い方はあれですが、どちらの言い分もまぁそこそこ合っているというような、割の良い意見の相違だと思います。単純に言ってしまえばCarchemishさんはハト派で僕がタカ派みたいな感じですね。ただ根本的にドリームキラーの存在をよく思っていないとか日本の社会のシステムが良くないってことは合致しているので全然問題ないといいますか、まぁその変え方の方法論に相違があるって感じですよね。で、Carchemishさんは僕にまぁ過激過ぎだとかまぁ危険な考え方だって言っているわけですよね。それは言えてますし危険なのは百も承知です。しかしながら佐藤優が国家論だったかで書いてたように思想ってのは殺すもんなんです。政治ってのはそのぐらい過激じゃないと何も変わりません。ただグダグダな構造が永遠と続くだけになっちゃうわけですね。


・・・とまぁこんな感じで。