行方不明の象を探して。その224。

田舎とかにでっけぇー畑作ってさー、大麻農業やるんだぁーってのがアクチュアル農業過ぎるので、彼は常にそういうことを考えているに違いないと言った。それ以外に彼を際立たせるものはほとんど何もなかった。夢を語る割には現実的ではない割に法律とかもっと言えば物理法則とかを無視すれば夢でもなんでもないということを考えると彼は現実主義者なのか?主義者というより別に夢想しているわけではないんだろう。彼は常日頃から

 


「そんなことばっか考えてるしそういうこと以外、考えられない」

 


と言っていた。彼は生活の中では意外と苦労をしている風だった。時々、演技っぽく咳き込むふりみたいなのをするのはある種のチックなんだろうか?

 

アルミ枠の窓、深遠な視線、彼を探し出すことができた、ラジオ、ドライヤー、電気ポット、炊飯器、インスタントコーヒー、ティーバッグ、角砂糖、ポット、ボウル、それらは彼を悩ませなかった、大麻畑かぁ、俺の母のおじさんもあれだ、田舎に土地いっぱい持ってるっつってたけど使い道がないとかで持ってるだけなんだって、でも大麻栽培っつービジネスがあったら空き地の意味合い変わってくるよね。

 

「で、卒業後はコンビニでバイトをしながら実家暮らしでずーっと続けてたんだけど、最初に書いたように家を出て行ってくれって言われたんで、バイトを続けながらどっかに家を借りるなんつってもバイト代で家賃を払うとかバカバカしいんで「出ていくけどいつか返すから金頂戴」っつってもらった親の金があって、「田舎の築古物件を買ってそこで暮らすから」なんつってある程度まとまった金をもらってそれで家を買って最低限のリフォームして住んでるわけ」

 

野球のバットのカチャカチャという音と、ほとんど盲目の猫の甲高い泣き声が交錯する、思考のもつれた薄明かりの中で、彼女のすねが私にぶつかった。夜と影の物語をささやく不気味で生ぬるい風に感覚を捕らえられ、私はもだえあがった。通りは外国人の意味不明な早口言葉で活気にあふれ、彼らの声は遠くから聞こえるパトカーのサイレンと交錯していた。

 

世界は対照的なキャンバスだった。私の顔の蒼白は未知の恐怖を映し出し、カラスはアスファルトに不吉な黒い影を伸ばしていた。淀んだ川の水の臭いが漂い、千切れた死体の腕は、街の地下から手を伸ばしているようだった。

 

彼は階下へ静かに移動すると、猫の亡霊のような姿に出くわした。その鳴き声は聖なる嘆きで夜を満たしていた。猫の鳴き声は夜のトンネルに響き渡り、未知の精霊や神秘に語りかけるようなけたたましい鳴き声だった。それは夜そのものに語りかける声であり、かつて尻尾を導き、茶碗を満たした精霊に問いかけるものだった。

 

私が座っていた部屋は待合室のようなもので、6畳ほどの空間は時間が流れるたびに伸び縮みするようだった。友人との買い物の思い出が、咳き込む音や布団のガサガサという音と混ざり合っていた。養父のやせ細った手足が私の手足に絡みつき、私を手放そうとしない過去に固定しているようだった。

 

中途半端に記憶された夢と儚い印象の風景の中で、再び生暖かい風が吹き、変化の香りと地平線の向こうにある何かを予感させた。私は白い着物に身を包み、その瞬間のあまりの重さにめまいを感じていた。彼は膝をついて土を掘っており、その動作は猫の遠吠えの絶望感と呼応していた。彼の周りには、猫の夢と墓場の静けさに満ちた溝が広がっていた。彼が動くたびに、避けられない真実、自分の存在の本質との対決に近づいていくようだった。

 

私もまた、記憶と感覚の層をふるいにかけ、見慣れたようでまったく異質な人生の断片をつなぎ合わせようとする、一種の発掘作業に従事していた。太陽は、その光は長い影を落として、私の存在の核心に触れているようだった。生と死、私は理解の綱渡りをしている自分に気づいた。バスタブの冷たい水が、一瞬の休息を与えてくれた。第二の皮膚のようにまとわりついた混乱と恐怖を洗い流すチャンスだった。

 
「ただ親が健在なんで困れば仕送りとかくれると思うけど、何しろミニマムな生活しかしてないし、どこに住もうが基本固定でかかる金の占める割合って家賃が多いわけで、だから出費なんて微々たるものなんだよね」
 
「でもなんか人生ってこんなものなのか・・・とかって思ったりすると虚しくもあったりなんかして、こんな生活が死ぬまで続くのかっつってもまぁ困ることはないし、基本暇だけど工夫すれば楽しくやれないこともないんでそれでいいんだけど、なんかもうすでに人生が終わっているような感じがして、ただこれといって何かをやって人生を変えてみよう!みたいな気にもなれないんで、「これでいいのだろうか?」って思うたびに大体いつもこの「結局なんかやるの面倒だよな」っつー結論に至って今の生活でいいやって感じになるんだけども」
 
僕の奥歯はカタカタ鳴り始めた。膝頭が自然に小刻みに動き始めた。まだ自分が誰なのか思い出せない。その息苦しさ。いつの間にか、僕は喘ぎ声を上げていた。悲鳴を上げることも、外に出ることもできない恐怖に喘ぎながら、棒立ちで。僕は部屋の真ん中に立ち、喘ぎ、恐怖に包まれ、叫ぶことも部屋から出ることもできなかった。

 

「でも金で幸せは買えないとか思いつつ、仮に使いきれないほどの金があったら何をしようか?とかって考えたりするんだけど、やっぱまぁ別に自分は隠居しているわけじゃないんで、今の築古物件を売り払って都内の高級マンションにでも住んで、都会なら今よりだいぶマシな金でやれそうなことをやってみようか?とか思ったり、恋愛に興味はないけどお金があったら風俗とか行ったりして肉欲を満たすってのもアリだよなーとかって思ったりね」
 

「でも今ってVRとか凄いからね。性処理はもっぱらVR装置をつけてオナホールをつけてやってるんだけど、臨場感が凄すぎて逆にさっき言ったような、もし金あったら風俗行きまくるだろうなーなんつーのもわざわざ風俗行くのが面倒になりそうなぐらいある意味、どうでもいいっていうか執着もないんだよな」
 
「でも執着がないとか言いながらも色々と「金あったらこうするかなー」なんてのを考えてるってことを思うと執着ゼロではないよなって自分でも思うわけ。例えばこんな感じで最低限の家事をやったり商店街に買い出しに行くときとかに結局、無意識のうちに、色々と脳内議論しちゃうわけなんだよね」
 
「いや、なんだかんだで孤独で寂しくない?とか毎日暇だなとか夢も何もあったもんじゃないとかキリないっすわ。そんなことを考えてたりすると、さらに妄想が膨らんで、あいつに彼女が出来たという夢を見て俺も同じことをしたいと願ったり、んで挙句の果てに金持ちにあこがれを抱いたり。彼女が彼氏の家に訪れたことを想像して、結局、セロリを食べた後にセックスしたんだろうなとかって思ったり。かと思ったらセロリを彼女の女性器に突っ込んでみたり、また金持ちへのあこがれを思い出したりして、結局、セックスに集中できなかったり」
 
「でも金で幸せは買えないとか思いつつ、仮に使いきれないほどの金があったら何をしようか?とかって考えたりするんだけど、やっぱまぁ別に自分は隠居しているわけじゃないんで、今の築古物件を売り払って都内の高級マンションにでも住んで、都会なら今よりだいぶマシな金でやれそうなことをやってみようか?とか思ったり、恋愛に興味はないけどお金があったら風俗とか行ったりして肉欲を満たすってのもアリだよなーとかって思ったりね」
 
「でも今ってVRとか凄いからね。性処理はもっぱらVR装置をつけてオナホールをつけてやってるんだけど、臨場感が凄すぎて逆にさっき言ったような、もし金あったら風俗行きまくるだろうなーなんつーのもわざわざ風俗行くのが面倒になりそうなぐらいある意味、どうでもいいっていうか執着もないんだよな」

 
そこでまた「いやーあんだけの金があればなー」とかって妄想したりする。そこではっと我に返って彼女の女性器に突き刺さったままのセロリを見ながら彼女のことを思い出しても、結局、金があってそれを貪ったとしても、目の前のセロリに齧りついたとしても、結局どうにもならないということに気が付くわけで。
 
こんな堕落した自分をどうすればいいのか?とか思いながら目の前に刺さっているセロリと自分を重ねて考えてみると、意外にも大した違いがないことに気が付く。自分はそのセロリを揺さぶってみるものの、彼女は完全に冷めきっていて、その冷めきった彼女とセロリが宇宙の真理を表しているって妄想してみた。
 
壁を観察していると、突然謎めいた女性が現れた。そこには周辺にいる者だけが知っている隠された思惑が働いていた。僕はとらえどころのない人物を探し求めていたため、イエゴールが会計士と一流の泥棒という二重人格であることを突き止めた。
 
疑うことを知らないピョートルは女中たちの注目の的となり、その後の女中との旅は女中たちの嫉妬をかきたてた。ピョートルが戻ってくると、壁の中の男たちは彼の逃避行の詳細を探ったが、ピョートルは口を閉ざしたままだった。
 
並行して、イリヤ・ジンジレラとオリナが、テクノロジーと欲望が衝突する世界で直面する試練というのもね、かつては幸せだった結婚生活も、オリナがスイッチからレンガ造りの塔に移ったことでひずみが生じ、2人の関係に複雑な層が加わったわけで、神秘的な存在であるウルフ・リバーは慰めと栄養を与えた。