団塊世代外来用語。

mimisemi2007-03-15

昨日、デイザー忘れたよね。俺。忘れたということは何かをしなきゃってことで、あるしょーもない電子音楽のコンピから俺が選んだ
「俺を悲しくさせる音」をアップしようと思います。これは中古で安かったから買ったコンピなんですが、大失敗でした。
買った理由はゴードンムンマやチュードアやマークレイが入ってたからなんですが、もちろんこの人たちの音は良いです。ただ大半の
他が最悪なのでした。「新しい電子音楽」とかいう名目でニューヨークでフェスティバルだかをやったらしいんですが、89年という
時代を反映させる音が多く、俺を悲しくさせました。個人的に80年代の音は凄まじく苦手なので。もちろん違法アップロードに
相当するんでしょうが、このクズ感を他の人とシェアしたいのと、楽曲自体にたいした価値が無いんで関係ないです。こんなものに
お金を払ってしまったんだから、なんかしらの使い道がほしいわけです。ここでアルバム全体をアップロードしたら、それこそ
ムンマやチュードアに対して悪い感じがしますが、クソ曲だけアップするならなんとなくいいと思うんです。モラル的にもね。

http://members.jcom.home.ne.jp/0512168601/hp_mp3/shelly.mp3

それにしてもクセナキスのエルの伝説という作品は凄い。Modeから出てるやつなんだけど音が良いのもあって、最近作られた音響作品みたいな
響きなんだけど、77-78年製作なんだよね。クセナキスってなんでこうも革新的で進歩的な作曲家なんだろうねー。そりゃ若い人から
リスペクトされますよ。電子音楽以外の作品でもアプローチがあくまで音響的で、メロディやハーモニーに重点をおかないで、
音そのものにこだわってる感じなのね。クセナキス的音響作品を実現するためにオーケストラ編成が必要という感じ。まぁもしくはクセナキス
作品をオーケストラ演奏するとこうなるって感じで、所謂、オーケストラという前提に立った感じじゃなくて、音ありきのオーケストラなんだよね。
まぁーそりゃーノイジーだし凄いんだけど。個人的にクセナキスの電子音響作品は発信音みたいな電子音がメインじゃなくて、どっちかというと
コンクレートがメインで、部分的に電子音があるって感じなので、音フェチな俺としてはたまらんのよね。77-78年っつーとディスコやら
なんやらって時代だと思うんだけど、当時の人はどう思ってたのかね?これを。プログレッシブ過ぎるよね。まぁ聞いてたのはほんの一部の
人だろうけど、レコード化されてなかったっつーのも(恐らく当時は)頷けるね。でも良い時代だよね。こういうのをちゃんと評価して
聞けるような感覚があるんだよ。今は。だからこそ既存の音楽が廃れていってて音楽が進歩してないように感じるんだろうな。感覚や認識だけが
先をいっちゃってる感じで、それについていってるつくり手や聞き手が意外と少ない。さっき言ったことと矛盾があるけど、マイノリティでは
やっぱ感覚は古いままなんだよね。ただこういったエルの伝説みたいなのを聞ける土壌は明らかに昔よりかはあるわけで、そこは楽観的に
考えられるかなと。

ところでリュックフェラーリのSon Memoriseというのが中古であったんで買ったんだけど、なんで新品で買ってなかったかっていうと
ネットの視聴でしょーもないってのが分かってたから。Far East Newsも同じような感じ。凄いよねー。INA-GRMにいた歴史的な音楽家の
はずなのに、特に後期作品はおじいちゃんのお遊びみたいなのばっか。思えばこの人は元々、あんまり才能があるタイプではなかったのかも
しれない。Modeから出てたオペラのやつでも、ありえないようなチープなシンセが時々入ったり、B級映画のサントラ的要素がたっぷり
なんだよね。この人。で、Son Memoriseはっていうともう凄い。フィールド音源はただの旅の記録みたいな感じで、特に意味は無くて、
みっともないフランジャーやらベタベタのエフェクトが直でかかってたりして、情けなくなってくる。Subrosaからの青っぽいジャケのやつで
多様してた妙にデカイ牛の泣き声みたいなのがしつこくループしては、変なフレーズのシンセがループしたり、しょーもないメロディーが
ループしたりして、もういろんな意味でアバンギャルド過ぎ。アバンギャルドというのがもうスポイルされていて、アバンギャルドというスタイル
自体が一個のスタイルとして存在しているとすれば、リュックフェラーリは永遠のアバンギャルドだと思う。ホント、この人はB級映画監督みたいに
初期作品だけでカルト的名声を得てそれでやめればよかったというタイプだね。プレスクリヤンでやめときゃよかった。いや、褒めて言ってるんだけど。
もちろん結果的にはこうやって発表されてなかったっていうか、とてもできなかったようなのがリリースされているのと、亡くなるちょい前ぐらいにも
バリバリ現役で作曲してたというのはもう素晴らしいの一言に過ぎるわけ。で、褒め言葉として、年寄りの冷や水みたいなのがぴったりなんだよね。
もうリュックフェラーリたまらんな。このなしくずしな感じが。Son Memoriseはめっちゃオススメです。恋人と一緒に聞いたら一気に恋愛そのものに
対して冷めることでしょう。だからこそ恋人と共に聞いてほしいような感じなわけですね。

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それにしてもリュックフェラーリ大先生の新作は遺作と書いてあるけども、実際亡くなったのだろうか。
っつーか亡くなりましたっていう情報が無いんだよね。だから生きてると信じたい。マジで心の師匠だから。
フィールドとかコンクレートとかではなくて、やはりあの顔とお茶目な作曲に尽きるんだよ。
なんつーか自分もこんな捻くれたダメな性格をしているわりに、音になるとシリアスになりすぎるんだよね。
だからユーモアがほしい。軽い気持ちで作っているやつはユーモアが出すぎるんだけど、真剣にやってるやつにも
多少のユーモアは必要だと思われる。社会主義のマーチ。
いやー遺作と信じたくない新作はいいよ。具体音の洪水っつーか、繰り返しすぎ!先生くどいよ!みたいのが
出まくっているのが凄くいいな。音の繰り返しとかもかっこいい感じではなくて、おじいちゃん的なのが凄くいい。
大先生に関しては難しいコメントとか議論は必要ないと思う。顔と音がシンクロしているので、凄くポップ足りえる音だと思うんだよ。
プレスク・リヤンの第一章はミュージックコンクレートにしてもサウンドアートにしてもフィールド作品にしても革命的(言いすぎ?)な
作品だと思うんだけど、2〜3になっていくにつれ、どんどんグダグダになっていくのが凄くいいよ。
ハリウッド映画の続編並に失敗しているのが凄くいい。失敗といっても否定的な意味ではなくて肯定的な意味でね。
なんというか現代音楽とかいう難しい部類のではなくて、マニュエラあたりで書いてありそうな「大先生可愛いー!今回もやってくれました」
的な音なんだよね。1は文句なくいいと思うし、午後のティータイムのBGMとしても寝る前の音楽にしてもベッドイン中の音にしても
全部対応できると思うんだけど、2に関しては、最初の鈴虫というか「ジィー」っていう虫の音と先生の実況はいいんだけど
途中でゴッドファーザーのテーマみたいなフルートが入ってきて感動的になったと思ったら、HGルイスもビックリの「ベヤァオーン!」ってな
シンセの馬鹿でかい音と雷が鳴るんだよ。INA-GRMから出ているプレスクリヤンのアルバムなんだけど、一曲目が音の遊歩道みたいな
タイトルで、昔にしちゃ凄まじく秀逸でユーモアのあるテープコラージュなんだけどね、大先生を超すテープコラージュは聞いたことないよ。
ピエールアンリのユーモアなんて公務員のギャグ程度のものに思えてくる。遊歩道は行進曲風の曲とか過剰な音の移り変わりで
ちょいうるさい感じがあるんだけどね、2曲目のプレスクリヤンで和むわけだよ。文句なしに。
なのに3曲目のプレスクリヤン第二章でいきなり「ベギャオン!」ってなシンセが鳴るもんだからビックリするわけ。
時間的にも寝ながら聞いていてウトウトと寝に入るぐらいの時に文句なしに起こされる感じ。あのくっそーやられた!みたいな気分は
ズリネタにしていた映像でイキそうになったら、司会者とか男優とか関係ないやつが映ったみたいな感じなんだよ。
みのもんたの顔を見ながらイクなんて精子がもったいなさすぎる。まぁ若いうちは玉が膿で腐りそうなぐらい精子が出るから
減るもんじゃないんだけど、さすがに悲しい気分になる。これと似ている。いや、似ていないか。
例のデカイ効果音が反復するわけだけど、微妙に変わるんだよな。そこがまた凄くいい。
プレスクリヤンの第三章はエイリアン3並にダメダメで、リズムマシンが入っちゃってる。しかも冒頭からスペーシーなシンセの音。
原型も何もない感じ。しょぼーいロック風のリフが鳴ったと思ったら、安っぽいリズムマシンの手弾きっぽい音。
「ポッポペポペ・・・ドンドンチャーン」みたいな感じ。これはキツイ。ラテンとも言えない何がしたいのじゃよく分からない音なんだなこれが。
先生のトレードマークである女性の囁きやら話し声は入ってるんだけど、シンセやらリズムマシンの音がインパクト大で
どうでもよくなってる。確か副題が女達の井戸端会議じゃないけど、3人の女性とかそんな感じだったと思ったけど。
どんどん「シューイーン!」みたいなシンセとリズムマシンが過激になってきてうるさいったらありゃしない。
で、フェードアウトして終わり。なんていうか洗練されてたり完璧な説得力がない分、凄く味のある曲になっているんだよね。
それは火の鳥と運命をミックスさせちゃった先生だけあって、センスは半端じゃない。

他もジョンゾーンのレーベルから出ているやつなんかは、特に表題曲なんかはヒドすぎる。これがまた否定的じゃなくて
肯定的にとらえれるダメ加減なんだよ。パーカッションとピアノとかいう最近の東京系の即興音楽を彷彿とさせる編成の曲なんだけど
ピアノのフレーズがMIDIのドラムトラックをピアノの音色で再生してしまったみたいな音なんだよね。パーカッションのグダグダ。
コロンビア大学だか優秀な音楽院を卒業したパーカッショニストだかピアニストだか知らないけど、もはやそんなのはどうでもよくなってる。
どうでもよくなってるって表現が多いけど、一番適切な言葉だと思うよ。途中で明日から自転車とか散歩中に口ずさみたくなるような
お茶目なメロディーが入ってくるんだけど、その入り方がまた唐突でたまらんのだよ。
いや、実際一時期この曲のピアノのフレーズを口ずさんでた時期があったよ。そんぐらいキャッチーなんだな。
小西康陽もビックリなぐらいとってもキャッチー。2曲目は割とマジメなテープ作品で、Petitシンフォニーだかなんだかに激似というか
そのまんまじゃんってな内容なんだけど、おそらくバージョン違いなんだろな。でもライナーの文章はやけに説得力があって
読んだあとに聴くと「なるほど・・・」と先生の芸術性に関心してしまうようになっているから驚きなのだ。
これだからライナーとかの能書きは大好きなんだよな。本当に自分って稀にみるライナーフェチなんだよ。
名門レーベルのなんとかModeってところから出ている女性の体のパーツのテキストとオペラとピアノみたいな曲なんだけど
一聴するとまともなんだけど、曲の後半になると信じられないぐらいショボイシンセが入ってくる。
今までピアノで弾いていたメロディーやらフレーズがそのB級ホラーというか、恐らく吸血の群れのレスバクスターのスコアで
使われているようなシンセの音で弾かれているからおどろきなんです。今までのオペラと女性のエロチックな喋りと囁きのおフランス
上品さはどこにいったのかしら?ってぐらい。さすが先生。期待を裏切るようなことはしない。
次の30分にも及ぶ大作の船のシンフォニーだか、とにかく船のドキュメント風のやつは秀逸。船長との会話とか恐らく船で
メシ食ってるときの音とかが入りつつ、サウンドシネマよろしく例の女性のテキストが入る。内容はどんなだったか忘れた。とにかく長いから。
途中で先生のスコアによるオーケストラが入るんだけど、微妙に操作されていて、例えばストリングスの鳴りはじめのときに
CDJをストップしたような「ダララララ」ってのが入るんだけど、これがなぜかストリングスにかけられていてよく分からないけど
かっこいい。例を出すとフェネスのヴィブラフォンの反復の曲みたいなやつ。あれがストリングスに短い区間でかかっている。
でもこれはなんだかかっこいいな。音がDJ的。さすがテープDJだ。
でもさすが先生。油断ならない。これには凄まじいエピソードがある。この船の曲はスタッフやら知り合いだからにこの船に乗り込ませて
例の飯の音とか船長の喋りとかを録音させている間、自分はパリで優雅に船を想像しつつ、「ダラララ」ってなるオーケストラのスコアを
書いていたという。自分が乗れ。人に任すなってな野次が聞こえてきそうだけど、おそらくこの想像っていう部分にキーがあると俺は思う。
直接乗ったら船長の嫌な部分とか、同席していた女性のファジーな部分なんかが見えてきて、シンフォニーにならなくなるからなんだろう。
自分の想像の中での船であることに意義がある。実は船長は大食いでルーズな性格とかだったら、大先生は困り果てるに違いない。
完成のプロセスにおける重要な部分を占めていると思われる船の想像。おそらくワインとパンで優雅にキメつつスコアを書いていたに違いない。
もう最高だ。先生。

Cycle des Souvenirsだかなんだかのドラッグシティーの傘下から出ているやつは普通に幻想的でいい。なんつーかプレスクリヤンが極まったなっていう。
でもさすが先生、抜け目がない。途中に懐かしいぐらいに思えるリズムマシンのタムの音がサイケに左右にパンニングされた音が入ってきて
妙なシンセフレーズが入る。なんかHGルイスの効果音を彷彿とさせるんだよな。いや、もっと近いのは悪魔のしたたりだな。すごく近い。
分かる人はこれを想像しれればいい。でも循環ってだけあって、イメージで言うとアニメかなんかの回想シーンでの「ホワァンホワァンワァーン」に似たような
シンセの音が入るんだけどね、これはタムと一緒に鳴る妙なシンセフレーズとはまた違うんだけど、曲の重要な部分を担っている、ようは音のワープみたいな感じだね。
はぁーまた場面は変わるのかぁーとか幻想的になりつつ今晩のメシの事と同格なぐらいに考えていたら、また例のみょうちきりんなサイケタムとシンセが来るんだよ。
ドラマチックに演出しているのだろうけど、かなり間が抜けている。ホント、昔の恐怖映画のSEに通ずるものがあるな。で、これも例によって女性のテキストが入る。
同じレーベルから出ているTautologos3ともう一個綴りがめんどくさい曲は、苦痛としか言いようのない現代曲なんだこりゃ。
でも確実にミスター・プレスク・リヤンことリュックフェラーリの息吹を感じることが出来るから素晴らしい。
間と間を適当なフレーズで埋めるような曲で、西洋音楽チックなフルートとかヴァイオリンに混ざってなぜかエレキギターが入ってくるのが
アンバランスで最高なんだよな。何より極めつけは裏ジャケの先生の酔っ払った顔に尽きる。なぜこの写真をチョイスしたのかが不思議なぐらいナイスな写真で
酔っ払いすぎてイッっちゃったような顔つきの先生がカラフルな電話を持って話しているのか話そうとしている感じなんだけど、加茂氏に言わせれば
「うん。俺、リュック」みたいなニュアンスなんだよ。もうこれに尽きる。CDの内容にがっかりしてもリュックフェラーリの電話越しの笑顔だけで200点といった感じ。
書き忘れたけど、ジョンゾーンのレーベルから出ているジャケも、女性の下着の広告だかポスターの前で、あまりにも変態チックな笑顔で立っているリュックフェラーリ先生。
もう最高。また写真の画素数が微妙なところがいい。どうしても聞きたがっていた友人に貸して、感想を聞いたんだけど苦笑いが帰ってきた。たぶんこれが普通のリアクションだと思う。
自分がレスバクスターを尊敬するのは、金のためにムード音楽を大量生産して、中原氏に言わせると後期のしょうもない恐怖映画のサントラをやっちゃって
仕事が亡くなって、ひっそりと死んだってところにある。自分もこうありたい。DJファンク並にハウスで儲けて、儲けた金でレーベルを設立して難解な音楽ばかりリリースして
半ば伝説と化したところで勢いが衰えて、カタログがすべて廃盤になってエロ本の山の中で腹上死ならぬ本上死。これが出来れば思い残すことはないと思う。
ちなみに先生の有名なElectronic Worksはストラーヴェンやらプレスクリヤン第三章やら伝説の序章となった長いタイトルのやつとかが入ってるんで
買わない手はないと思う。お茶目心と伝説と笑顔が混ざった最高のディスクです。ただAcousmatrixっていうエレアコ系だかにシリーズもので
ジャケがどうしようもない火星の荒れた大地みたいなジャケなので、是非マスタリングをしなおして、例のイイ顔のジャケで再販してほしい。出たら絶対買う。
っつーかお金があればそれを出すためだけに自分のレーベルを設立したいぐらい。あーなんかリュックフェラーリ聞きたくなってきたな。

    • -

ここで予期してたAcousmatrixはめでたく良い感じのジャケで再発されてなによりですね。絶対的に録音が良くなってるので、
もう持ってる人ももう一枚再発盤を買ってほしい感じなぐらい素晴らしいっすよ。どうでもいいけど、ゴードン・マンマと言ったり、
ミュージック・コンクリートと言ったり、ジョージ・ワシントングとか言ったりするのやめて欲しい。

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