続きです。
俺 僕みたいな何のスキルも持っていない人間が、イリーガルでアメリカで出来る仕事なんて限られています。ましてや僕は単純作業にケイパブルでないのをアルバイトの経験から知っています。
男 出来るか出来ないかなんて問題じゃないんだ。それをやることでお金を稼ぐということが重要なんだよ。
俺 何が重要なんですか?レジに突っ立って一時間、ロボットのように働いて800円を得ることの何が重要なんですか?
男 みんなそうやって働いているんだろうが!
俺 その労働に関する盲目的な過信がいけないんです。いいですか?スーパーのレジに突っ立って一時間で800円稼いだところでそれは何にもなりません。むしろそんなものは有害ですらあるでしょう。なぜなら僕が本来、その仕事で稼いでいるお金の半分以上は資本家に行っているからです。
男 マルクスはもう飽きたよ!そんな話はどうでもいい。
俺 そう言われると思っていました。ですけどね、貴方みたいなことを言う人が多いから、慢性的なサバルタンが生まれるんです。
男 またマルクス風の分析かね?もういいと言っているだろうが!
俺 その背後にある構造も知らずに搾取されることが「良い」ことだ、などという間違えた価値観を植え付けてしまうので、どんどんロボットが大量生産されるんです。
男 ロボット?何のことだね?それは。
俺 ちょっと話が無くなりますけど、よろしいですか?
男 何を改まっているんだ。気味の悪い。とっとと話したまえ。
俺 僕が今、学校に行っていて思うのは、学校という名の構造的システムが、受動的で従順なロボットを生み出すような傾向を持っているということなんです。つまりですね、簡単に言うと、グレードを気にしないといけないという動機付けから学校に行くわけですし、先生のご機嫌を伺うのも、クラスがどんなにつまらなかろうが、参加しているように振る舞うのは
全てグレードのためですね。
男 何が言いたいんだ?
俺 つまりですね、グレードというのは元を辿ると学歴というものに行き着きます。ではなぜ学歴を得ようとするのかというとお金を稼ぐためですね。ようは貴方の言うような「労働」をしなくて済むような、スーパーのレジで働かなくてもいいようにするために高い授業料を払って学校に行くわけです。
男 社会というのはそういうものだろうが。
俺 なぜですか?単純労働から逃れるのが人生の目的なんですか?
男 だってそれはだな、誰だってキツくて賃金が安い仕事なんてしたいと思わないだろうが。
俺 それは貴方のさっき言っていたことと矛盾しますね。さっき、あなたは散々、僕に向かって労働をしろ!と言っていたくせに、あなたの言っている労働それ自体が人々から忌み嫌われるものなんですね?
男 どういうことだ?
俺 つまりですね、貴方はさっきは僕に寝ていないでロボットになれ!と僕に怒鳴りつけていたわけです。
男 ロボットになれなんて一言も言っていない。労働をしろと言ったまでだ。
俺 その労働というのがイコールロボットになれということと同意義なんですよ。僕はそのロボットにならないためにアメリカに亡命しているわけです。
男 それを現実逃避と言うんだよ。
俺 なぜですか?ではウェイトレスにならないために学校に行く人というのはみんな現実逃避をしているのですか?
男 話をそらすんじゃない。私はお前のそのグータラ根性が気に食わないと言っているんだ!
俺 あなたこそ話をそらしていますね。
男 相変わらず呆れたものだ。口先だけは達者だな。そうやってダラダラ生活していて恥ずかしくないのか?と聞いているんだ。
俺 恥ずかしくありませんよ。
男 なぜだね?
俺 僕は僕の意志で今の生活をしているわけですから。
男 今の生活と言っても両親の経済的な支援があってのものだろうが。
俺 そうですよ。
男 それが恥ずかしくないのか?と聞いているんだ。
俺 まぁ後ろめたさが無いと言えば嘘になりますね。こんないい歳して親の金で暮らしているなんて世間体で言えばみっともないでしょう。
男 分かっているじゃないか。
俺 いや、しかしですね、自立しろと言われても、さっきも書いたように、仮にこっちで仕事をするにしてもイリーガルな仕事しかないし、日本に帰ったところでまたスーパーのレジぐらしか仕事が無いわけです。
男 それはお前の能力不足によるものだろう?
俺 そうです。だからこそ能力不足を解消しようとこっちで勉強しているわけです。
男 それは言い訳だな。逃げというのだよ。そういうのを。
俺 いや、確かに逃げかもしれません。ただですよ、スーパーのレジに戻るか、アメリカに残って勉強を続けるか、という二者択一の中では僕はアメリカを選ぶわけです。
男 それを甘えと言うんだ。お前は両親に甘えているし、両親もそんなお前を甘やかしている。
俺 そうかもしれませんが、両親だって僕がフリーターに戻るよりかは、ごく一部の可能性でもアメリカでちゃんとした職を得られたほうがいいと考えているわけです。
男 しかしだな、世の中にはワーキングプアと呼ばれる人達が大勢いるのをお前も知っているだろう?
俺 知っています。
男 彼らにそんな選択肢は無いんだよ。彼らは君の言うところで言う「ロボット」になるしかないわけだ。
俺 まさしくその通りです。
男 何を開き直っているんだ?
俺 いや、開き直りでもなんでもないですよ。
男 お前は私を馬鹿にしているのか?
俺 馬鹿にしていません。彼らの選択肢の無さと僕の選択肢と、どういう関係があるのですか?
男 それがだな!私がさっきから散々お前に言っていることなんだ!世の中にはな、お前がそうやってソファーで寝てオナニーしてる間にも日銭を稼ぐだけでヒィヒィ言っている若者がいっぱいいるんだぞ!
続く。
- 作者: 内田樹
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911がアメリカ政府の仕事だったっつーかロックフェラーの仕事だったにしてもさ、まぁアメリカ政府なんて色んなあくどいことをしてきたからね、何を今更って感じはするんだけど、でもやっぱり引っかかるのがね、例えばさ、他国への空爆にしても何にしても、それは外交上の問題とか利益のためにやっていたんだろうけど、まぁあくまで「敵」だったわけじゃない?あんま関係ない他国の連中を大虐殺してきただけだったかもしれない。JFKにしてもマルコムにしてもキングにしても、邪魔者を取り除いただけかもしれない。ただね、911に関してはさ、ちょっとそれは人間的にさすがにありえないんじゃない?って言うなんつーか、人間としての最低限の倫理とか道徳を考えたときに起こりえないことなんだよね。内部犯行というのは。ナチスですらやらないことだよね。これは。それをさ、石油だのなんだのっつー理由で自分の国の人達を虐殺するかね?
俺にはどうも内部犯行説が信じられないんだよね。もちろん、様々な証拠が科学的に相当怪しいってのはJFKだとかさ、あと冤罪だとかって言われている植草教授とかね、あとソフトバンクの野口さんとかさ、いかにも怪しそうな政府が絡んでそうなやつってあるよ。あとあのあれ、相撲協会だかを告発した元力士だかの人達とかね。でも仮にだね、911が内部犯行だったとしたらさ、もう終わりだよね。チョムスキーですら口を噤んでたからね。「JFKが政府によるものだろうが、911がinside jobだろうが、仮にそうだったとして誰が気にするんだ?」ってね。いや、確かにそうだよね。住んでいる国の政府が自国民を大虐殺したわけだからね。それを認めちゃったらもう全てが終わっちゃう。だからタブーみたいになるんだよね。ごまかさないとやってらんない。いや、でも俺個人としてはちょっとさすがに信じられないな。JFKとかマルコムってレベルじゃないからね。マジで。「そりゃーないだろう」って信じたいし思いたくもなるよね。だってあまりにも無い話なんだもん。映画でもないよね。そんなの。どうなんでしょうね?まぁでも今ってネットとか色々あるからさ、日本の怪しい事件にしてもアメリカの怪しい事件にしても、風化させないで追い続ければいいんだよね。それが大事。
で、確証が得られたら・・・って得られたら消されそうだな。とにかくJFKにしても911とかにしても、仮に嘘でも科学的というか物理的に説明がつくようなプロットを作ってほしいよね。全部、ズボズボなんだもん。だから疑われるんだよ。俺はそのごまかしの稚拙さも相当怪しいと思ってるんだよね。仮に内部犯行だったとしたら、もっとちゃんとした処置を取るだろうにって思っちゃう。こんな疑われるような酷い説明はしないと思うんだよね。あんだけ緻密に犯行をしたのに後片付けがお粗末っつーのもどうなんだろう?っていう意味でもイマイチ信じられない。だって調べれば調べるほど怪しいんだもん。まぁとりあえずちゃんとしたアレが出るまで風化させないっていうことが重要ですね。得に911に関しては大勢の人が死んだわけだから。俺は陰謀説は信じないけど、まぁやっぱちゃんとした説明は欲しいって思うよね。犯行とアルカイダの確実な繋がりとかさ、その証拠とかね。