躁鬱奇想天外さんへの返信。

躁鬱奇想天外!

 

耳セミさん西村賢太についてなにか書いてないかな?て調べたらやっぱり書いてましたね。亡くなっちゃいましたね・・・

 

僕は基本、小説を読まないというより読めないというか、文章から情景を想像したりするとかっていうことが苦手というより小説を読むということをしてこなかったので、他の読書に比べると読書の質が小説の場合低いんですが、西村賢太さんは特別で、西村さんの作品は最近のものは読んでいませんが読んでいた当時は出ている著書は全部買って読んだほどのファンでした。あと西村さんが発掘した藤澤清造の本も全部読みました。

 

だから今回のことは本当にショックなんですよね。あれだけ破天荒な生活をしていて、かなりの遅咲きだったと思うんですが、まだまだこれからだろうっていうときに亡くなってしまうなんて本当に惜しいとしか言いようがありません。

 

なんというか個人的に小説家とかに限らず西村さんのような昭和とか戦前っぽい感じの雰囲気がある人って凄く好きで、今を生きる!ということに究極の強度を置いていた人だったと思うんですよね。そうじゃないとああいうのは書けないと思うんですよ。

 

ちなみにアメリカの学校に居たときの香港の同級生が日本の小説が大好きで、特に西村賢太さんの大ファンなんですよね。ほかに彼はカフカとかの実存系の小説とかも好きで、僕は文学詳しくないんですがジャンル的に近いので仲が良かったのですが、彼が言っていたことで印象的だったのが、なんで今みたいな日本の究極の貧困みたいなのとは無縁な人たちの中でああいうのを書く人がいて支持されるのかが分からないって言っていたんですが僕がその香港の彼と西村さんについて話しているときに僕はこんなことを言ったと思います。

 

それは経済的貧困というよりかは精神的に追い詰められているとか死ぬわけじゃないが明日のことが分からない実存的な絶望感とかっていう社会に漂う抽象的だけどある種具体的な集合的不安感みたいなものが喚起するものが強いんじゃないかみたいなことですね。

 

貧困系ってある種のサブカルチャー的文化でもあると思うんですが、西村さんのものは確実に文学ですよね。ああいう私小説的なものを文学というレベルにまで昇華させるパワーが凄いんですよね。まぁ表現者として超一流ってことだと思うんですが。

 

死因とかは分かりませんが、昔の作家とかにありがちな不摂生による夭折という感じがするので、死に方まで文学者だったのかなって思います。