行方不明の象を探して。その32。

いや、もういい。もうお腹いっぱいです。ハム?コーヒーはどうだ? と言うと、いや、結構ですと言う。一杯やろうかな。そうすれば、あたしの心は曇り、外から監視している男もいなくなる。それに普通のセックスは本当につまらない。すぐに飽きる。そういうものに飽きたら同性にチャレンジしてみるとかいろいろと方法はありそうなのに、セックスはあまり面白くないという認識のままセックスの認識でそこで止まってしまっていることが問題だ。実際は先に色々な広がりがあるのに。

 

次には不死通りを横切って谷中へと降りていくのがいい。不死通りは「うあああ」とか言いながら歩いているゾンビを倒せばソウルが若干溜まるので、谷中というより谷底に落ちていったところにあるカフェではソウルで対価を支払うことができるので、汚れてもかまわない威力もそこまでないその辺で売っているようなハンマーで倒せばコスパもばっちりだ。筋力補正や技量補正のことを考える必要は全くない。不死通りのゾンビ達はほとんど攻撃をしてこないので、微かな量ではあるものの、ソウルは稼ぎたい放題である。

 

たまには大衆食堂へ行って見るのもいい。六本木食堂は夕方出かけてみるといい。防衛庁から退庁してきたばかりのオジさんが冷蔵庫からコーラを飲むのもいいし、これから仕事に入るクリエイターの方々が黙々とベルモットの悪瓶にあったコスモスを記念に尿道に差し込むのもいい。マカロニ・サラダ、さば味噌煮、メンチカツ、冷ややっこと、各種並んだカウンターカルチャーはサンタクロースからのクリスマスプレゼントじゃないだろうな?と疑ってみるのもいい。

 

人間疑うことを忘れたら終わりだ。そんなもの猿以下だ。学校のカフェテリアでどれにしようかと選ぶ時とはまた違ったスルメ臭さがある。

 

「スメルでイキなさい!」

 

などと書いてある官能小説を見ると萎える。スメルでイキなさいって言う女は世界を探しても一人もいない。顔見知りのクリエイターの子にばったり会ってしまって、昔、ブーツが流行っていた頃の超エロいムチムチのピンヒール型ではなく、リバイバル型のエンジニアブーツっぽいブーツを履いていたのだが、それでもムラムラきたので、お互いにニガ笑いしつつ、いかにも六本木らしいラブホテルに行かなくても、ブーツを嗅がせてもらいながら足コキをしてもらうぐらい、トイレで済みそうなので、純一郎やヨット部の子たちと一緒でないとちょっと入りにくいということもないので安心だ。

 

彼女は変なことを言っても

 

「おいおい。バカなことを言うんじゃないよ」

 

とシリアスさを回避するような、おちゃらけた雰囲気でやんわりと脚コキやブーツの臭いを嗅がせてもらうことを否定してくるので、本当に心から優しい人だと思います。

 

「了解。サヨナラだ。グッドラック」

 

と彼女に言って、久々に再開を楽しむ間もなくすぐに別れた。僕らは僕らが思う以上にお互いを知っていたのかもしれない。僕らは海の方を向いて適当に時間を潰した。そしてスカイラークに入るために同じ谷に下りた。

 

いざという時のお別れもあるかもしれない。スカイラーク周辺の起伏のある土地は、東側から見た場合は特に問題なさそうに見えた。それよりチンポジが気になっていた。チンポの右先が明らかにトランクスからはみ出していてジーンズと擦れている。でも激痛というほどの擦られ方ではなくて、適当なぐらい耐えられるぐらいだったから、あえてトイレに行って直すというほどでもないのが余計に厄介だった。

 

スカイラークまでの道のりをマンコ系で測ったらGスポットに到着した。蟻の戸渡を歩きながら会陰に至る。田舎で牛が宇宙を噛んでいたからそれを見た自分は落胆したのを思い出した。夕方の光というより変な光というかボワーンとした手抜きの照明のような光の中でって思っていたら薄暗くなってきた。あと寒くなった。太陽が手抜きをした。気になる急斜面があったものの、所謂、昔ほどではない。どれだけ税金がかかっているのか、道路の舗装のされ方は尋常じゃない。

 

昔は妙なところに「穴かこれは?」というぐらいの段差でもない、「穴かこれは?」があって自転車でその穴に吸い込まれると倒れたりした。自転車で倒れたときは打ちどころが悪いと痛いのだが、大したことない場合、音が凄いから大したコケ方をしたかのような、凄く大げさな「ガッシャーン!」という音がする。穴め!直しとけ。なんのための税金だ。

 

でも今はそんなことはない。ちょっと気になってもコケるほどのものはないから無事にスカイラークに向かうことができました。「でもあたし気まぐれだから」といってスカイラークの目の前で彼女はいなくなった。何のためにここまで徒歩で来たのか。結局、それぞれが他の道を行くことになったが、舗装されているから転ぶことはない。時間は何時ぐらいだったのか。太陽が手抜きする時間だから18時前とか?

 

エレクトロのミックスが終わってしまった。ピュアなエレクトロのミックスは本当に絶対数が少ない。EDMとかなら何千時間とミックスがあるだろうに、エレクトロはニッチ過ぎる。探すのが大変だ。テクノと混ざっているやつは少なくない。テクノは好きだが、今の俺が求めているのはエレクトロのみで構成されたミックスだ。良いのが見つかるとずーっと聞いてしまうからすぐに飽きてしまうし、だったら何個かミックスを並べておけばいいと思って集めても丸一日聞いていると終わりが来る。

 

他のジャンルのミックスだったらこんなことはないだろう。エレクトロはニッチだ。ニッチって言葉自体がドイツ語っぽい。クラフトワークミーツファンク。エレクトロ・ブギなどとも言われる。

 

ストリーミングのような生易しいメジャーなサービスでマイナーなジャンルを聴こうとしているから悪いのだと思って、数年前に20年前ぐらいにやっていたDJをもう一回本格的にやろうと思った時に使っていたのがBeatportというサービスで、超マイナーでヴァイナルで探そうとしたら大変なものが普通にmp3でダウンロードできる。

 

今はもうDJはやっていない。半年ぐらいやって気が済んで飽きてしまった。でもとりあえずBeatportのことを思い出してエレクトロを検索してみたら今でも恐ろしい数の現代エレクトロが量産されていることに驚いた。しかもスタッフピックアップなどといってお勧めのパッケージがまとめ売りされたりしていて、こんなものがあればセンスのないやつでもスタッフピックアップから適当に曲を選んで回していればDJの真似事ができるではないか。

 

DJも民主化したんだね。90年代にミックスCDとして出ていた全部がエレクトロのやつ少ない!って思っていた時は探すのに必死だったのに、現代エレクトロが大量にあると分かると途端に冷めるのはなぜだろうか?なんでもリミテッドエディションとかに惹かれる人間がいる。俺もそうだ。少ないから独占しようとするのか?でもデータではないか。

 

ただ80年代や90年代のエレクトロにフォーカスすれば数は少ないだろう。テクノはその年代ぐらいのものに限る。でもエレクトロは恐ろしいことに現代エレクトロをちょっとbeatportで視聴しただけでかっこいいものがゴロゴロしている。エレクトロだけのミックスを作りたくなったのだが、DJセットやターンテーブルをしまってしまったので、出すのが面倒臭い。繋ぐのもセッティングも相当面倒だ。