行方不明の象を探して。その188。

何枚かのシャツをクリーニング屋に持っていき、何枚かのシャツを持ったまま、銀行に寄って現金を出し、靴屋に寄ってウィンドウショッピングをした。目覚まし時計の電池とUSBメモリを六個買った。必要ないのに。そして冷蔵庫の中の物を全部を全部ひっぱりだした内側を綺麗に拭き、食品をひとつひとつ点検して整理した。ガス・レンジを身が飽き、換気扇の汚れをおとし、床を拭き、窓を磨き、ごみをまとめた。シーツと枕カバーを換えた。掃除機をかけた。雑巾でブラインドを拭いた。

 

ビヤホールのライオン時計に目をやった。時刻が午後4時ちょうどだった。ここに来たのが3時前だったからあれから1時間経ったことになる。でもそれほそ時間が経ったという感覚が自分の中にはなかった。まだほんの5、6分しか経っていないように感じられた。それは言い過ぎだけども。

 

でも少なからず時間の感覚がおかしくなっているのは確実だ。それとも時間の流れがおかしくなっている。そのどちらかだ。デレク・ベイリーのギターがロックギターのように聴こえる。もっとディストーションを激しくしたらノイズギターになりそうで、それを連想したら高柳昌行と阿部薫による幻のフリージャズ盤「解体的交感」を聞きたくなった。

 

しかし襲ってこないただ座っていて微動だにしないやつらはどうなのか?あれこそがまさにニヒリストだ。生きる目的も意味もないのに死ぬこともできない。だからただ座って床を眺めているしかない。そういったことに自覚的でビールを飲んで生カキを食べる人間は、それは床を見ていることと何ら変わりがない。だからそこに感動も何もあるはずがないのだ。もちろんビールや生ガキに期待などしていないのだが。

 

ビヤホールの冷蔵庫の中の物をかきあつめて夕食を作った。野菜サラダとオムレツとみそ汁がちょうど出来た。トイレからあまり大きくないビニールのバッグを出して、そこに洗面用具を入れたバッグと本を替えの下着と靴下を入れた。そして水着とサングラスと日焼けクリームを入れた。Tシャツを二枚とシャツとショート・パンツとスイス・アーミー・ナイフを入れた。マドラス・チェックの夏物の上着をきちんと畳んで一番上に入れた。「誰を信じるか?」とグルーチョ・マルクスは尋ねた。「俺か?それとも自分の目か?」

 

あきらめてっていうか何をあきらめてるかもわからないまま、椅子から降りてビヤホールの明かりを消し、そこを出てドアを閉めた。店員がゲームのNPCのように「ヘーイ!」と言って明かりをつけた。また店内に入って、席に戻った。

 

彼女はどうですか?どういう意味ですか?コマンドの代わりにマウスで。いつまでやるんだ?もうとっくに終わってるよ。よし、見せてくれ。そう単純じゃないだろう?彼女はどっちなんだ?緑のジャージを着た人ですね?入ろうか?すみません、聞き取れませんでした。謝らなくていい。聞いてくれてありがとう。

 

わかったわ。よくわからないんだけど 何がしたいんですか?一日中何をしてるか教えましょうか?今となっては本当に理解できませんが。退屈しのぎに。くだらねえこと言ってんじゃねえよ。あなたは本当に辛辣な人ですね。邪魔をしたり、大声を出したりするのはやめてください・・・。

 

エレベーターを待たずに階段を下りる途中、彼女が彼の後ろから声をかけてきた。

 

「なんで急いでるの?」

 

「電車に乗り遅れたくないんだ」

 

「もうすぐ始まるんでしょ?」

 

「そうだよ」

 

彼は彼女に立ち止まるよう促すと、手を引いて急ぐように前に進んだ。映画館の外に出て新宿駅に向かう。電車の時間が迫っているため、急ぐ彼の足取りに彼女はついていくしかなかった。

 

「せっかく映画観に行ったんだから、もうちょっとゆっくり歩いてもいいじゃない」

 

「そうかもしれないけど、俺はもともと映画が好きじゃないし、今回の映画もつまらなかった」

 

彼は正直に言った。それを聞いた彼女は顔をしかめ、がっかりした表情を見せた。

 

「だって、どうせあんたには興味がないんでしょ?」

 

「興味があるとかないとかじゃなくて、ただ映画館が嫌いなんだ」

 

「でも、わざわざ一緒に来てくれたじゃない。最後まで一緒にいてよ」

 

「別に……」

 

「映画館が嫌いなのは知ってたけど、もうちょっとがんばってくれてもいいじゃない」

 

彼女の言葉に、彼は深くため息をついた。二人は急ぐ足取りを続け、新宿駅に到着した。ホームに急行の電車が待っていた。

 

「もう、お先にどうぞ」

 

「あんたが急かすから……」

 

電車に乗り込む前、彼女は彼に向かって微笑んだ。彼は軽く頭を下げ、電車に乗り込んだ。彼女は改札口で切符を買っている最中に、急行が発車してしまった。

 

「あー、待ってくれよ」

 

「しょうがないじゃない。次の電車まで時間あるし」

 

彼女はそう言いながら笑って、彼に手を振った。彼も微笑み返し、そのままホームを歩いてエスカレーターで地上に上がった。

 

「それは、電車がないってことは、新宿がその場所に辿り着けないから。だから手紙は届かないんじゃないかな」

 

と彼女が答えた。

 

彼は舌打ちをしながら

 

「なるほど、なるほど。ちょっとややこしい話になってきたな。でも、本当に電車はもとより新宿すらも存在しているのだろうか?」

 

と疑問そうに言った。

 

「でも、私たちが電車に乗る度に、何かしらの駅に着くようになってる。だから、存在していると思うけど」

 

と彼女が言うと、彼は考え込んだ表情でうなずいた。

 

「まあ、どうでもええ話やな。気にせんでもええやん。ただのなんちゃってペンフレンドや。ペンネーム同士のペンフレンド。ペンさえあるかわからんやん?オントロジーやんか?それって?ぶっちゃけその内、飽きるし、手紙もこなくなるさかい、おおらかな気持ちでいいんちゃうか?」

 

と彼が提案した。

 

彼女も大便を済ませた後、そうだと思い

 

「そうだね。気にせず、楽しんでやろう」

 

と笑顔で答えた。なぜ小説には例えば大便をしなさそうなヒロインが大便をするシーンが描かれないのか?誰でも平等に大便をするのである。どんな美人でも大便をする。だから俺は美人に会うと

 

「この人も大便をするのだな」

 

と思っていたりする。相手がサイキックだったら考えている内容がバレバレなのだが、サイキックに出会う確率は本当に少ない。

 

彼は一杯飲もうと誘ったが、もう俺は堂々と断った。出口、レンガの破片、機関車の汽笛、鉄橋、敷石を隔てる線上に置かれた足、もうひとつのレンガの破片、二人の馬車、足の疲れ。重い霧が地面にこびりついたまま、空気は泥臭く、労働者たちは通称、ガテン通りから現れ、市場の園芸家たちは大通りに店を構えた。すべてが虚しかった。まばたきをするたびに、まぶたの下の砂粒をかき混ぜているようだった。

 

左のボタンでクリックしてください。右のボタンで回転させる。一緒になると色が変わるんです。そうなんですよ。ほら、マウスを貸してください。装着するとコンピュータの中を3次元で動き回れるようになります。遊び方知ってる?多少はね?何のためにプレイしてるんだ?別に・・・。

 

我々は四六時中一緒にいたように思う。午前中にどこかの駅前で待ち合わせると、あとは一日が終わり世界が揺らぐ瞬間まで一緒にいた。お別れの時刻になると、我々はお互いの顔を確認して、おやすみなさい、と言う。おやすみなさい。今日は楽しかった。また明日。


今の子供たちは馬鹿げた育てられ方をしている。幼少期からポルノを見せて教育するべきだ。中途半端だと例えばモノ凄くエロいギャルに溜まりに溜まった精液を思いっきり中出ししているAVなんかを見ると

 

「俺も中出ししてー」

 

とか思いながら亀頭が火を噴くまでテンガでちんこを摩擦し続けるのだ。でも中出しした先に何がある?という想像力を育まなければいけない。厄介な子育てだ。一時の快楽のために一生を棒に振るかもわからんのだ。独り身だったらなんとかやっていける率が高いだろう?でも子供なんて作っちゃったら終わりさ。

 

あなたはいつでも好きなときにニーマーダと言いながら大便をしに行くことができます。しかしね、自宅に糞を洗うウォシュレットが無いのだよ。私は不幸にもそんな家に住んでいるのだが、その結果、外で糞をしなければならないという悲しみを味わうことになる。次第にそれが快楽になるのは時間の問題だったんだけどね。見せうんこ?っていうの?スカトロAVを見ながら馬のペニス並に真っ赤かにパンパンになったペニスをしごいているときに俺は終わったと思ったね。完全に糞が好きになっていたのだと。言わば糞回りのことだね。大便をする女性を見て興奮し、大便をする自分を見せつけて興奮し。

 

先ほども申し上げたようにね、どんな大女優でもね、大男優でもね、大男優?大便。いや、アニメのキャラクターですらアニメ内でウンコをするでしょう。スカトロアニメというのを見たことが無いというのは腹立たしい。考えただけで気が狂いそうになるぐらい悔しい気持ちになる。またアナルを刺激してオナニーしたくなる。

 

古いけどけいおんとかぼっちざロックでもいいや。女の子がうんこするシーンがなぜない?脚フェチ需要があるのか靴を脱ぐシーンがアップになったりすることが近年のアニメでは多くなっている気がするのだが、うんこをするシーンがないのはいただけない。俺はうんこすらも頂くのだから。ペロンと一口さ。基本は何でもうんことして出てくるわけで、そんなの常識だろ?なんで逆にそんな当たり前のことを恥じる必要があるんだね?

 

豚がうんこを食べるということはご存じか?結局、とんかつとかで豚肉を食うわけで、結局はうんこを食ってうんこを出すということになっているわけで、あ、でもね、うんこ風のうんこを塗りたくっているだけのスカトロAVなんて論外だよ。うんこを侮辱してはならぬ。それだったらまだザーメンが卵の白身とかローションで作られた偽ザーメンってほうがマシなわけでね、うんこのことを語り出したからムラムラきちゃったよ。オナニーしようか。

 

そもそもソーセージってのがあるだろう?腸詰。つまりは糞袋詰めだ。メニューに「糞袋詰め」って書いてあったら誰もオーダーしないだろう?でもソーセージって同じことなんだよ。それなのに・・・クソっ!英語でもShit!って言うわけだし、世の中クソ塗れだろ?なんでそれを認めない?うんこについて書き出したら止まらなくなってタイピングの力も強くなって指が打撲みたいになっているよ。でもそのくらい俺はうんこについて真剣に考えているし、誰よりも深く考えているという自負がある。

 

子供の頃に何回か尻の中に蟯虫を飼っていたことがある。夜中になるとムズムズして寝れなくなってあまりの痒さにえんぴつをかなり深くアナルに突き刺してグリグリしたときに、まだね、その時は蟯虫がいるなんて分かってなかったから、ただひたすら気持ち良かったんだよ。痛くもあったけど痒くなくなるから尻の穴に鉛筆を立てたまま寝ようと思ったこともあった。

 

感染源はなんだったのかって?母曰く学校の給食なのでは?と。ようは人糞を肥料に使った野菜ってのがまだ使われててそれ経由で腹に卵が入ったんじゃないかって。家の料理が原因だったらみんな蟯虫塗れになっているはずだからね。

 

でも結局、病院に行ってっていうか、母親にアナルを見せて母親は

 

「もっと!んー!って力を入れて!」

 

とかって言うもんだから

 

「んー!」

 

って力を入れたらアナルをライトを照らして覗いていた母親が

 

「ギャー!」

 

って叫んだ。

 

「今、なんか白いのが出てきたー!虫だぁー!」

 

現代的に言えばバイオハザードのあの寄生獣のシュルシュルする触手のゾンビみたいなのを見たとき、みたいな気分だったのだろうね、でもまぁレオンも「Shit! Not Again!」とかって言ってたと思うからつまりは母親が俺のアナルの蟯虫を見て「ぎゃあ!」って言ったのとレオンの「クソ!」はリンクしているわけで、ようは糞回りのことでユニバーサルにリンクしているってことなんだ。

 

火星とか金星にチャネリングするチャネラーは多いけど、なんで糞のことを聞かないのか全く分からない。異星人に出会ったら俺はまず「お前は糞をするのか?」と聞きたい。いや、マジで。何もかもがクソを作っているし、それは言葉の世界でも、クソみたいな世界でもようはロゴスも物質世界も糞まみれなわけで、あんたらの異世界でもクソ塗れなのか?って聞きたいんだよ。

 

イタチだかジャコウネコだかマニアックな職種じゃないや、種族?種類のクソからとれるコーヒーがあるらしいけど、こういうのがメイクセンスだ。大本がクソだから合っているんだそれは。ジェイソンの命日でもそうだろう?もう昔から書いていることだけど、デビーの騎乗位ファックは本当に気持ちよさそうで、受精の瞬間はサケの受精の瞬間みたいで神秘的だろう?でも変なSEがかかってデビーは真っ二つになるだろ?その時に精液をデビーに流し込み中だった男は「クソッ!デビー!うわあああ!」って死に際に言ってるでしょう?

 

ほら?糞だろ?クソなんだ。そらみたことか。そらたみとか。たみそとかそら。クソをアレンジしていけば祝詞のような響きにもなる。神様はそんなことはご存じだから人間的な感覚で「神聖な場所でクソ!なんて言っちゃいけません!」なんて思っちゃいけないんだ。神様はご存じだからね。トイレの神様なんてのもいるぐらいなわけで、神様のお墨付き、それがクソだ。ニーマーダ!ダービェン!

 

秋の夜風の中、透明な毛布が僕を包む。夢からまた別の夢へ。我々はそれぞれの朝のはじまりに飛ぶ。つきあたりの壁に大きなアルミ枠の窓がついている。家具は極端なくらい簡潔でがっつりとしたものだった。机と椅子が二つずつ、二段ベッド、ロッカーが二つ、それから作りつけの棚がある。大抵の部屋の棚には大量の本がぎっしりつまっていて、合間合間にヘア・ドライヤーと電気ポットとインスタント・コーヒーと砂糖とインスタント・ラーメンを作るための鍋と食器がいくつか並んでいる。机の上の本立てには充電の切れた電子書籍リーダーとベストセラー小説が何冊か並んでいる。

 

床にはちりひとつなく、灰皿はいつも洗ってあった。布団は週に一度は干されたし、テンガは殺菌され、現代アートのオブジェのように飾られている。壁にはピンナップのかわりにアムステルダムのマリファナ祭りの写真が貼ってあった。マリファナ・カップというマリファナの質を競う賞レースだ。

 

そろそろ店出ようか。でも帰ってもやることないし、どうせ書けないだろうし。でもビール飲んでおしっこしても意味ないし、適当にブラブラ歩くかってほど行く場所ないし、街に飽きてるし、誰よりも自分に飽きているのは自分だよね。クソでもするか。クソしながらピザ食うとか?

 

数年ぶりぐらいに酷い風邪を引いた。俺の場合、アニマル浜口のように風邪を引いたら「嫌いだ!嫌いだ!嫌いだー!」って風邪をディスるようにしている。気が狂ったのか?と思うぐらいに、儀式ではなく本当にそれをやるのだ。そうすると風邪が治る。今回はやらなかったからというわけではないのだが、一週間以上風邪が治らず、所謂、こじらせたというやつなのだろう、でもコヴィッドではない。俺は信じてないからコヴィッドにはならない。風邪など舐めればいいのだ。「あのクソ雑魚が!」みたいな感じで。

 

でも今回の風邪は酷い。サレンダーだ。身体が体力を温存しようとするのか何もやる気がなくなる。海外小説を膨大に買ってきた話はしたな?その後なんだ。風邪を引いたのは。ってことは小説でも読んで休養しろってことなんだろうと思って死ぬほど痛む喉やら全身の倦怠感と戦いながら、というよりエクリチュールとの格闘のほうが大変な本ばかりを読んでいた。

 

ソローキンのロマンがソローキン祭りとかいって絶版になったやつが売られていた。ソローキン祭りなんつったら書店員が客から書店員まで殺し合いをして腸でも引きずり出すのかと思ったのだが、「祭り」は3月に始まっていたのにあんまり売れていなさそうだった。もう12月だ。ロマンは書き始めの頃の膨大なインプットの時期に絶版でプレ値過ぎて買えなかったから図書館で借りて読んだ。いや、読んでなかったんだろう、愛っていう短編は最後にうんこを食うとか木こりが「このチェーンソーよく切れるんだよー」「へぇーそうなんだぁー」なんつー会話をしていて木を切り倒すのではなくて木こりが木こりの首元にチェーンソーを持っていく、つまりはスプラッター。

 

まだ肺が痛い。頼れるローンコヴィッド。金利は19パーセントです。クソが。借りるかってんだ。ロマンは600ページぐらいが読む気が起こらないロシアっていうかソ連っていうか19世紀的なチェーホフとか俺は外野だから分からないけどプーシュキンだとか、あの辺の田園のつまらないロシア文学の模倣らしく、何も起こらないってのが600ページ続く。風邪より辛かった。

 

ネタバレとかは関係ないだろう。スプラッターノベルって書いてあるんだから。で、最後のほうでスプラッターが始まって終わる。永遠とつまらない田園小説を読まされてその後スプラッターというのを計算ずくで読者に不快感を与えようとしているならまぁ大したもんだ。それにしてもよく出版できたな、と思う。田園風景のどうでもいい話は100ページぐらいに短くできるだろうし、その後スプラッターだったら250ページぐらいで話が済むのに田園風景のおかげで800ページになっている。

 

ベケットとかとはまた違う不条理だ。やらされ尽くされている系の話。音楽然り映画然り。でも音楽にも映画にも需要はあるだろう。昔の音楽だとかAIを使った音楽でもしばらくは人間のディレクションが必要になるだろうからね、じゃあ文学は?尽きていてなおかつそれを文字で読もうなんて思わないわけだし、それでもあれだ、映画化されるようなエンタメ小説はすげーなって思うしああいうのは尽くされようが関係ないだろう。必ずというわけではないがやはり小説家が書いた物語ってのは物凄いもんがある。

 

ジャコウネコのクソのコーヒーを飲める店はないだろうか?里芋のイメージが浮かんだ。どういうことだ?風邪が治りかけていてサイキック能力が少しは戻ってきたのかもしれない。風邪が治ったらどうしようか?またどうせ同じだろう。