Russell Haswell - Second Live Salvage。

mimisemi2008-09-16

一曲目は前のやつの京都と同じようなサウンドソースを別にいじくった感じ。やつは俺の好きな音のほぼ全てを奏でると言っても過言ではない。次はWarpだかのコンピに入ってたやつと同じやつのロングバージョンで、暴走族が集まってエンジンを鳴らし合ってる感じ。茅ヶ崎の夜を彷彿とさせる音。三曲目が白眉で、リズムだかなんだかのサウンドファイルのピッチを下げて無理矢理再生したような音が断片的に続くだけっつーチョーパンクなトラック。ずーっと客はダベっててあんま演奏を聴いてない感じ。たまに「フォーウ!」みたいな歓声が入る。ハイ、Side threeはこれまたディストーションをかけたようなパルスが永遠と続く感じで、なんつーか歪み方とか音の質感がもう完璧な感じ。途中で演奏が止まって誰かが喋ってる音が入ってるっつーか、まぁホント、アルバム全体がハズェル本人じゃない誰かのエアー録音なのね。これをレコードにするってセンスはさすがだなっつーかなんつーか、やっぱりこのイージーさがたまらん。やってることは高度じゃないんだけど、これでライブやっちゃうっていうのがもう凄いわけ。誰でもやれるっつーのがポイントね。誰でもやれるんだけど、音の質感とかが見事なんだけど、やっぱノイズの醍醐味ってここにあるよね。単純なんだけど良いっつーのが最高ね。インキャパにしてもさ、適当に電子機材とかマイク繋げてノイズ出してるだけだし、ハズェルとかカルちゃんにしてもマックスとかリアクターみたいなんでなんかの音をトリガーして、んでリアルタイムにいじってるだけだからね。プロセスは相当単純なんだけど、やっぱああいう音を出すっていうそこがポイントなんだよね。それで言ったらヒップホップだってイージーじゃない?でもあのトラックの質感とかさ、ラップにしても高度なことじゃないんだけどあの質感が凄いわけじゃない?ノイズもまた然りね。俺がラップトップになって音楽的になったメルツが全然好きじゃないのは、こういうイージーさが失われたからね。昔はPain JerkみたいなフィルターバンクとかEMSとかメタルジャンクなんかをかき鳴らしてたわけだけど、今って普通に電子音楽になってるからね。それこそクセナキスの初期から後期を見ているような感じで、Concrete PHみたいな純粋コンクレートから、ペルセポリスだとかエルの伝説になってるような感じね。メルツ。悪くはないけど個人的にはメタル期が一番いい。あとアニマルライツとか糞食らえっつーのもあるけどね。動物シリーズとか駄洒落シリーズとかもうついていけない感じだもん。ラップトップはアルケミーからのTentacleってやつがベストね。すんげーシンプルなの。「わー!マック買っちゃったー!」っていうようなノリでアルバム作ってる感じ。適当にホワイトノイズ持ってきて、んでVSTプラグインとかを適当にかましている感じで、まぁある意味ですんげー純ノイズなんだよね。俺がノイズでやりたいのってメルツのTentacleみたいな単純なやつなんだよね。


あ、何のことを言ってるのか分からなかったかもしれないけど、ハズウェルのSecond Live Salvageね。エッセイの書き方とか授業でやってると本当に真逆のことがしたくなる。あとイージーさで言うとPopのAlbumっつーのも最高ね。これもハズェルみたいなもんで全部フィールド録音で音質悪いんだけど、それがまたいいのね。ハズウェルとピタとカルちゃんがトリオで音を出したらもう完璧だね。ピタもやってることはちょー単純。メゴの連中って大友さんが言っていたように、電子機材でパンクやってる感じなんだよ。彼ら自体がアカデミック糞食らえだし、使えない電子機材を使うんだぜ!みたいなアティチュードは一貫してるね。ピタもなんか「あ、こんな音出ました」みたいなのをそのまま作品にしてる感じだからね。だから音がすんげージャンキーなんだよ。アートリンゼイの初期の弾けないギターをラップトップでやってる感じだもん。だから好きなんだよなー。ピタ・カルちゃん・そしてハズェル。この3人は死ぬほど好きだ。それに比べるとヘッカーは割とアカデミックだね。アカデミックというかコンテンポラリーな電子音楽という位置づけでも全然イケる感じだから。まぁでも「こんなのアルバムにするなよ」って音をCD化しちゃってるって意味だとやはりパンクだな。


あ、ハズウェルに戻るとするか。Side Fourは純粋ノイズ。まぁ全部純粋ノイズだけど、特に純ノイズっつーか、ずーっと「ガガガガドドドドドドド」って鳴ってるって意味で。終わりのほうの高周波ノイズが凄い。あれかな?これってUPICなのかしらん?Blackest Ever Black系の音してるもんな。それにしてもことえり馬鹿過ぎる。「講習は」っつって高周波ってのが変換で出なかったり、他にも酷い。で、ボーナストラックの北九州での我らが美川師匠とのデュオは凄まじく煩いノイズ。師匠の相変わらずの叫び声が聞こえたりしつつ、俺には聞き慣れた普段俺が出しているような音が永遠と続く感じ。なんかの音をグライコのEQでアンプリファイしまくるっつーラップトップノイズの定番型ね。やはり単純が一番。これも高周波がすんげー煩い。ヘッドフォンで最大ボリュームで聞いてるとリテラルに「イク」感じ。特に北九州のやつとかがそうなんだけど、全体的に客が少ないっつーか、拍手とかがパラパラなのがいいね。これを高い金を出して買った人は今すぐ病院で診てもらいましょう。


それにしてもノイズって鳥取のELMAとかにしてもカルちゃんとかハズェルとかにしてもそうなんだけど、俺の好きな音を彼らはほぼ出し切っちゃってる感じだから、なんか俺の出る幕ないっつーか、俺はあそこまで凄くないっつーかさ、まぁ俺は俺で好きな音を出せばいいんだけど、彼らのノイズのほうが自分のより全然良いんだもんね。だからあんまSMKとか続ける意味無いんだよね。一応やりたくなったらノイズはまたやるけど、あんま真剣にコミットしなくなったのはまぁ前にも書いたように鳥取のELMAがメルツ以上のおそらく世界で一番完璧なノイズを作ってしまっているからで、もう俺がどんだけノイズを出そうが無駄だなっつーのが分かっちゃったからなんだけどね。前にも書いたけどELMAってなんでもっとデカイレーベルからオファーが来ないんだろう?あんな完璧なノイズ作ってる人他にいないのにな。メゴでもいいし、イギリスのTouchとかSub RosaとかでもいいからELMAのフルアルバムを出したらどうなんだろうか?ELMAがちゃんとしたレーベルから出せないってことはSMKなんて絶望的だからね。マジで。ELMAが放置されてるのってノイズレーベルっつーか実験音楽レーベル全般の怠慢だよね。お世辞抜きにメルツより凄いから。ELMA。ELMAが凄いのってハズェルとかカルちゃんみたいな一発出しの音で勝負してるんじゃなくて、一発出しの音からコンクレートからサンプルまで異常なほど緻密に作り込まれてシンフォニーを作ってるからなんだよね。あれはただ音を出せるだけじゃ成り立たない音楽なんだよ。構成力が無いとあれは作れないってことで、だからまぁクオリティがメルツ級っつーか、下手なメルツの手抜きっぽいやつよりよっぽど凄いよ。容赦ない感じだしね。ってことでELMAのマイスペースのアドレスを書いておきます。音凄いけど気になる人は聞いてみて。俺がお世辞で言ってるんじゃないってのが分かるから。


http://www.myspace.com/elmanoise


ってことで今日はこの辺で。