現実はオワコンという認識からはじめませう。その14。

VR論って凄く陳腐だっていうか、古臭い未来の予想図っていう感じがあるけどさ、オントロジーに関して言えば古いもクソもないよね。バーチャルリアリティ論とかメディア論とかになってくるとネットが集合知みたいになって個々が創造性を発揮するとかさ、ユートピア的な楽観的なビジョンが出てきたりするんだけど、どうやらそういうわけでもなさそうだってのはもうみんななんとなく感じてるよね。こういう話の問題って何でもネットとか仮想現実ってことに色々なものを託しすぎるからなんだよね。それが万能薬みたいに何にでも使えるし全ての処方箋になるみたいなさ、こういうのをやると駄目だよねっつーか俺はそんな楽観主義者じゃないし、まぁネットが世の中を変えるって10年前ぐらいは真剣に思ってたしはてな以前のウォール伝でも色々書いてたけどそういう話じゃないよね。時代遅れとかは関係なくて、俺がなんでこんなに騒いでるのか?っていうとあくまでオントロジーなんだよねっつーか実存ね。


ただこれって自然にビルトインされた感もあるんだよね。そもそもオタクは自分の世界に生きているし大好きなことのために生きられるわけだから実存的に最強じゃん?オタク最強説は前から書いててそれは繰り返さないけど、それは自明なんだよな。それが鉄道であれアイドルであれ熱狂していたらその情熱は誰にも批判できないじゃん?そういう意味で今回の話で言うとAKBなんかについても考え方が変わってきたんだよね。なんであんなものに熱狂するのか分からない世界だけど、分かる人には分かるし熱中する世界なわけじゃん?それをくだらないとか音楽が商業主義に成り下がったとかって俺はベタに当たり前のように言ってたと思うんだけど、これは全然お門違いだったってことだよね。ようはあれは音楽とかではなくて一つの世界観なんだよね。


で、総選挙やら握手会やらAKBっつービジネスが回ってなければ存在し得ないような異様なものが現実に現れてるんだよね。それはもう完全に世界じゃん?まぁ古典的なサブカルチャーだよね。それで言うとアニメっつーのも言わずもがな独立した世界だし、ネットの書き込みで見たのはけいおんの第一期が終わったときにけいおんが終わったらどう生きていけばいいんだ?なんてまじめなのかふざけてなのか分からないけどそんなのを見たことがあるんだけどさ、まさしくそれってそれが世界だよね。自分が存在するというよりかは志向性が常にそれに向いていることで認識そのものが一時的にそれになるっていうさ、それがようは没入だよね。で、没入って別にバーチャルリアリティに限ったことじゃなくてそもそも世界に没入するって芸術家とかが没入してるわけじゃん?で、それを表現として出すわけだ。そういう世界だよね。


AKBって現実逃避なのか?ってまぁ一面で見ればそうだけど、まぁでもアイドルなんてもともとバーチャルな存在じゃん?キャラを作ってるわけであんなもんアバターと変わらないよな。で、マジで騙される人はあれをリアルと勘違いするからアイドルが泥酔して男にタクシーに担ぎこまれたりしただけで憤慨するわけだ。「俺のリアルを壊すな!」っていう怒りってそこだよね。自分が認識したい世界が壊されるから怒るんだよな。で、やつは裏切った!みたいなことになるわけだ。いや、書いてて思ったんだけどさ、今までの感じだとそれこそ引きこもりで働かなくてそれでいいじゃん!っていうそんな開き直りに見えなくも無いっつーか浅い読み方されるとそんな風に見えなくもないからさ、まぁいくらどう解釈されようが関係ない!とは言えあまりにその没入という部分を協調しすぎると意味の無い誤解を生みそうだから俺が定義する仮想現実ってのは実際はもう普通の生活にビルドインされているどころか、それはようはファンタジーとか宗教とか一種の物語の形態の一つだってことが言いたいのね。多分そんなの調べれば出てくるんだろうけど考えた末に分かったことってやっぱ違うじゃん?


なんかね、普通の人がAKBの総選挙とかを理解できないのってようは現実/非現実の二項対立みたいなもんなんだよね。なんなのあれ?っていうさ、そりゃ俺も思ってたけど今回の認識で言うところの俺のタームでの世界と理解するとむしろ多くの人に活力を与えているという意味でむしろ有用なバーチャルワールドですらあるわけだ。自分だけの未来をつかめ!みたいな鳥肌が立つような歌謡曲が増えるよりいいんじゃないか?って思えてきた。ようはバーチャルワールドが音楽チャートを席巻してるってことだよね。それだけみんな現実で詰んでいて仮想世界ぐらいにしか希望が無いっていう絶望の表れなんじゃないか?って思えてきたんだよね。まぁ単純にアイドル好きという人もいるけど、俺の今回のキー概念である実存という意味でAKBが提供する世界観に実存が救われている人たちって大勢いるじゃん!っていうさ、別にこれは世界を形成するもので没入を許すものなのであれば何でもいいんだよね。問題は個々が何を選ぶか?というかどれに没入できるか?というのが問題で仮想世界の見た目とかシステム自体は全くどうでもいい話なのね。


それがAKBだろうがエロゲーだろうがアニメだろうが俳優になりたい!という夢だろうがゲームだろうが妄想だろうが宗教だろうがとりあえずどれにしても実存を支えている大きな物語なんだよな。でも宗教とか政治とか明るい未来みたいなのはなくなっちゃったから、だからよりバーチャルなものへ移行するわけだ。俺はこれは逃避とは言えないと思うんだよな。物語探しってのは人間の本質の一つなんじゃないかと思うよね。あとは物語を失うとアノミーになったりニヒリズムに陥ったりするから現実と自分をつなぎとめておく方法としてもその物語っつーか世界ってすげー重要なんだよね。


そう思うと流行とかも仮想世界だよな。勝手に雑誌がでっち上げた理想の女子像!みたいなのに踊らされて馬鹿な女子がありもしない理想の女子像!に近づこうとそれを模倣するわけだ。その結果、みんな似たよりったりのファッションになったりメイクになったりするわけでしょ?アラレちゃんみたいなメガネが流行ってるのもそれじゃん?でもそれは女子が模倣する結果、それで現実が作り上げられているというか現前化しているというところに理想の女子像!っつー一種のイデアの強さがあるんだよな。アイドル像ってのもイデアでしょ?処女で彼氏いなくて応援してくれるお客さんが私たちの何よりのかけがえの無い存在です!みたいなのをお題目のように唱えてアイドルとして振舞うときはそれを徹底するってのがようはプロなんだよね。で、馬鹿はさっきの模倣する女子と同じでそれに騙されて理想の女子だ!とかって思うわけでしょ?で、「そんなもん虚構だろ」って普通は言うっつーか思うんだけど、それって今回の俺の話に繋げるとさ、「仮想現実なんつったってそんなもんあくまで仮想でしょ」っていう批判と同じになっちゃうんだよね。


ようはそれが虚構だろうがどうだろうが信じるとか見たいものが世界を形成するんだったらそんな批判は通用しないわけだ。じゃあもっと現状を見ろ!っつって阿婆擦れ化がひどい現代の日本の女たちのリアルな姿に目を向ければいいのか?ってむしろ実は分かってて仮想現実にコミットしてるっていう感じのオタクから見れば実際の女はただの阿婆擦れだろうって分かってるんだよね。でも男である限りありもしない理想の女性像ってのを脳内で作り上げてしまう。じゃあそれを現前化してさしあげましょう!ってのがアイドルビジネスであったり萌え系のアニメだったりするわけじゃん?もはやこれは代替ですらないんだよね。現実に理想の女子ってのがいないから脳内嫁に逃げるっていうさ、でもそれは逃げではなくて脳内に存在する限りそれは立派な存在なんだよね。それをあえて脳内というから現実/非現実みたいな馬鹿馬鹿しい二項対立が生まれるわけだ。それが嫁で幸せならその人の自己充足を批判する権利なんて誰にもないし、そもそも現実の望みが無いってのが分かりきったことなんだったらその上での幸福を追求して何が悪い!って話だよね。


で、アイドルオタクにしてもオタク全般ってそれには凄まじいお金を使うじゃん?それはそれが彼らにとってのリアリティだからだよね。いや、それは俺がゲームを買ったり本にお金を使うのと同じ感じだよね。そこで俺の場合、数学と哲学っつってなんか偉そうでさ、アイドルっつーとなんか馬鹿みたいじゃん?でもそんなのただの通念なんだよね。後天的な価値観でしかない。数学に没頭する数学者とアイドルに没頭するアイドルマニアの見ている世界は全く違うけどそれに没入しているという意味では同じなわけだ。だからオントロジー的にそれはほぼ即物的に見れば同じなんだよね。でもそりゃ没入では飯は食えないよね。だから数学やってても先生やらなきゃいけなかったり大学の雑務をこなさなきゃいけない。アイドルオタクもアイドルのライブを見に行ったりグッズを買うために労働しなきゃいけない。でもそういうもののための労働だから目的があるんだよね。だから辛くても耐えられるわけじゃん?これって宗教と全く同じ構図だよね。こういうダサいものから脱却せよ!ってのがざっくり言うところのニーチェ的な考え方なんだけど、むしろ相対主義を徹底的に追求すると全部がそれなりの世界として認めざるを得なくなっちゃって、洞窟を脱出せよ!という側の彼らが言う「外」というのもまた彼らが信じる真実の世界でしかないんだよね。


というわけでまだ続くけど認識の変化って凄いでしょ?俺がAKB的なものを肯定できるようになるんだから。まぁ相変わらず好きではないけどバーチャルな世界で凄まじい金が回っていてなおかつ多くの人を没入させて幸福にさせているって誰も批判できないよな。あれを音楽と考えれば批判だらけだけどバーチャル世界と考えると肯定するしかない。いや、分かるんだよね。最初のほうだけを読んでると引きこもりと変わらない印象を受けるけど、ここまで来るとだいぶあれでしょ?そうではなかったってのが分かるでしょ?あとまぁあれね、別にAKBが好きになったとかそんなことはありえないからね。それがようは個々の価値観なわけよ。でも社会的機能を考えたときにあれは凄いわけだ。


まぁそんな感じでんじゃあまた明日。