行方不明の象を探して。その40。

店を出ると、斜め前にあるファラデーに入った。電磁波っぽい名前だ。しばらく前まで電磁波がのさばっていたフロアの真ん中にはコンバトラーVの原寸大のマシンが置かれている。髭を生やした小学生たちがキャッキャいいながら遊んでいる。知っている子がいるんじゃないかと思って店内を見渡す。純一郎以外の男と一緒の時は後ろめたさとまではいかないけれど、ちょっぴり塩辛いぐらいのほうがいい。

 

ハッシュド・ビーフを注文し、彼女はプレーン・ソルト・スパゲッティを注文した。よく分からないけど、塩スパゲッティってこと?そんなの置いてある店あんのかね?それにしてもニューヨークの物価ヤバいらしいよ。おにぎりが600円だって。地獄だね。

 

「知ってる?ロボの技を出す前に大声でその名前を言うのってイモっぽいってこと」

 

「そうなの?」

 

そういえばエヴァンゲリオンではただ攻撃が攻撃としてあるだけで、ナイフを使うとかライフルを使うとか、特にそれ自体に技とか兵器の名前が特別にあるわけではなくて、ましてやそういう兵器を使う前に大声で「ライフル!」なんて言わないよなと思った。

 

「イタリアじゃさ、鋼鉄ジーグが人気なのよね。シチリアとか南の方の連中が特に好むらしいわよ。で、ミラノとのか北部のエスタブリッシュされた階層も同じく鋼鉄ジーグを好むのよね」

 

「ホントに」

 

「だからね、日本人である自分が多国籍軍に参加したときにロボットに乗っているということだけで人気が出ると思うのよ。みんな日本を贔屓してくれると思うのよね。それでさ、日本のお偉方がね、イタリアへと行ったときに、鋼鉄ジーグのフィギュアを持って行ったんだって。それを見て向こうの高官が唖然として、そんなものどこにでも売っていますよって言ったらしいわよ」

 

「へえー、知らなかった」

 

奈緒のようにインターナショナル・スクールに行っているとチヤホヤされる。ミッション系スクールに行く可能性が高いからだ。ちなみに奈緒はミッション系スクールに入学を決めたわけではないし、多くの勘違いする人間と違って、事前にミッション系スクールが軍事学校だということを知っている数少ない日本人の一人である。

 

文系とか理系に進むよりも軍事系に進むことをクールだと思う人間は少なくない。我々のまわりにはまだまだおかしな軍事コンプレックスが残っている。アメリカほどの完全な軍産複合体ではないものの、軍事に傾くことで利益を出す人間が多いのは事実である。

 

「おかしいと思わない?ひそかに優越感に浸りながら、気取ってロボット乗りになるんでしょ?」

 

「勝てば官軍よ」

 

でも軍事の全てが許されるなんて思っていやしない。ロボットのマナーにしても、武器や銃火器の使い方が考えられないぐらいルードな人間なんていくらでもいる。

 

ロボットにこだわるなんてことはバニティーなのかな、と考えてしまう。でもそれで気分がよくなるのならいいじゃないか、とも思えてくる。ロボットが一つのアイデンティティを示すことはどこの世界でも同じなのだから。

 

「それにしてもジーグの話は最高ね。よくいるじゃない、なんでもミニチュアを手元に持っていないと気が済まない鼻持ちならない人って」

 

「それに比べればあたしの軍事思考なんてかわいいもんだよ」

 

頭がおかしいなこいつ、と思った。

 

軽い食事を済ませると他の店へ行こうということになった。我々が外へ出ようとすると、ちょうど入れ違いにアベックが入ってきた。女の子の恰好がマスターピースだった。クリスチャン・ディオールのハンマーに、前面に大きく女性器のマークがついたスカート、そしてキャンバス地のくつ。バッグはヴァレンチノで、なんとご丁寧なことには、この蒸し暑いのにエルメスの大きなスカーフまでしていた。

 

「ちょっちねー、あそこまでしたくないわよねー」

 

「よくあんな女連れて歩くわよね」

 

あそこまでやるとそれこそ大虐殺になってしまうなと思った。ハッシュド・ビーフが少し辛すぎたので、口直しにタンタンメンが食べたかった。でも彼女は甘いものがそんなに好きじゃないらしくて、防衛庁の中にあるキャッシュ・オン・ディリバリー・スタイルの店へ行こうと言った。彼女は心の中ではもう軍人のつもりなのかもしれないが、それは違う。しかし彼女が言うには誰でもその店を利用できるとのことだったので行くことにした。

 

こんな風にして信念に基づいて正業に就かないで小説を書き続けよう。でも男が出てきたらアウト。人がいないってのがベターね。だってあれだもん、男男って男出してればいいわけじゃないんだよって説教受けたことあるもん。泣かなかったけどね。

 

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どうだ!男のいない小説!でも飽きるんだよね。男を出すのも飽きるけど男を出さないのも飽きる。っつーか小説自体飽きる。どうすりゃいいんだ。チップを配るところは、なぜゴルフやるんです?シンプルなスパイスいけないけど材料費がかかっちゃってしょうがないからさ、悪いけれども、ちゃんとしたけど、逆にF明治スーパーSALEにしたわけ。そうかそういう法案はシャアのせいもあったんだね、佐口さん。上がってるっていうけど、へえ、パーク自体もまた経験の低い早めの選手として補欠に入れてるんですね。

 

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これなら永遠と書けるな。理想的な文学機械だ。物語の密度といい男が出てこないところといい、もう何もかも最高だ。俺の夢だ。文学機械になること。文学を吐き出す機械。実存とか存在論とか関係ないただの機械。俺は文学を垂れ流すただのフィルターでしかない。それ以外に存在意義などない。

 

面長い顔型テーブルに二人で横に並んで、バックスタブの練習をし始めた。ダクソシリーズのバックスタブ時の効果音が店中に鳴り響いていた。あまりに長くその音を聴きすぎたのと、ゲームからではない直接のバックスタブの音は聞いたことがなかったので、あれ以来、ネットフリックスの「ドドン」みたいな軽めの音も全てバックスタブの音に聞こえてくるぐらい頭にこびりついて離れなかった。

 

エルデンリングのサウンドトラックを黄昏時に夕日の沈む方向へとハイウェイを馬で飛ばしながら聴いたら、褪せ人の仲間入りだろう。バックスタブに馴れていなくて、彼女のように毎回決めることができなかった。高い顔面テーブルに合わせて、これまた恐ろしい様相の足長という妖怪の脚を素材にして作られた椅子の上で、頭をブンブンさせながら、彼女がバックスタブするのを見ていた。彼女はほとんどミスすることなくバックスタブを決め続けていた。