行方不明の象を探して。その210。

煤けた街並みの幻を見ると、太陽は輝き。一片の土地は奇麗に輝いている。それは鋭く燃えていた。路面のまぶしさはグラグラとマッチングしているのだろうか?それとも、まだ夏以降の季節なのだろうか?次の霧のような日差しは爽やかで、暖かな雰囲気に包まれ、見知らぬ道に立っている僕は本を読んでいた。大きくて分厚くて読めないのでは?そして、なんというか、放心状態、漫才状態、あるいは……。軽く甘い一陣の風が、それらを僕から遠ざけていく。風で視界が削られ、目が追いかけられ、追いかけられ、視線も一緒に空に浮いている。

 

窓に映る僕の姿は、見知らぬ人のそれのようだった。ここは何だろう?僕は目も耳も消して、体の中を延々と探した。何もない、何もない。僕は彼女に笑顔で手を振り、ここはどこですか、今何時ですかと尋ねた。僕は店に入り、彼女にどこにいるのか、そして何時なのかを尋ねた。

 

彼女の顔は相変わらずの美人で、脚は誰でもあの脚で脚コキをされたら5分は持たない形をしていた。どんな化け物が出てくると警戒していたら、何の変哲もない彼女だった。トイレに行っていたのではなく地面に潜んでいた?だとしたら待っている間にさっきの地響きがしそうなものだけど、一体どういうことなんだろう。

 

それはしなやかななものである。陳腐な嘆きに陥ったもの。曲がりくねり、粗い髪のにおいの強いところ。そして思い出す

 

「オナニーしたのがあなたなら、なぜ抜いたの?」

 

カルキの臭いが強い。

 

魂の虚空に、苦い鈴の月が貪欲に輝いていて、手元の摘み取った数少ない花は、今は赤くくすんでいる。折れた茎は 憂鬱な風に吹かれ 倒れる。掌に一筋の跡が残る。指先から滴る黒を引っ張り、漆黒の糸を解き、消滅させればいい。それが僕の望みだった。錆びついた慰めしかない、手についた脂の汚れ、青白い肌。この世界はいつまで僕を辱め続けるのだろう。

 

なんなんだ?うめき声だ。その日はいつも明日なのだろうか。世界の大地である地球をもう一度閉じてしまうのだろうか。あなたはもう知らない。何も知らないくせに。あなたの目と耳で どの言葉が崩れた世界を再会させるのだろう。どの姿に響くのだろう。

 

最終日、6本の斜光が浴室を照らす。水に侵された半熟卵。異様な音、難破船。張りつめた彼女の身体、長い絶頂。唇の間の左目。そよ風がつぶやく。

 

「この悲しみの場所から身を引き裂け!」

 

見覚えのない牛の島の上空が渦を巻く。広大な森は消え、丘の斜面は傾斜している。神殿の塔は消えた。風車の羽根はなく、石のレリーフと金属の死骸だけ。硫黄のような靄の中に、うごめく黒。

 

「あなたですか?」

 

言葉はより広い螺旋を与える。慣れ親しんだ震えが広がる。認識、認識の喜び。しかしある疑念が精神を悩ます。疫病、戦争は貪欲な種族を克服しないのか?それは永続するのか?頑固に胸に吸い付く。頭を座席に向け、座り込んだ。揺れ動く卵の上で小便をする。完全な活力、満足。

 

治った、喜びを示す。親密なことを話す。微笑みながら、強い衝動に駆られ、より大きな喜びのために我慢した。衝動は腹を膨らませ、マンコは膨らんだ。シーツの下に手を入れ、おまんこを強く強く擦る。無上の快感。排尿は、ターミネート、目、カミソリ、赤い何か、太陽を思い出させる。卵?多くは呼ばれ、選ばれる者は少ない。生まれる数はまちまち。穏やかな人生も過酷な人生も、平穏な人生も殺人的な人生も、混沌は熱意を無駄にする。創造主は何を考えているのか?星々は絶望的な逃避の中で撤退する。審判の日は遠ざかる。古い魂は最近の魂に張り付く。縁によって融合し、責任を消し去る。

 

復活の裂け目。塵を取り戻し、裁かれる。子牛の目、頭の色、卵の白身、卵黄の眼球。目は卵型。屋外で卵を飛ばす約束。問題外。ケツの匂い、粉の匂い。尿の噴射、光に見える銃声。尻の皮をむいたゆで卵。半熟卵を送る。寝たきりの部屋、子供の頃の淫らさを再発見。彼女の胸をそっと吸う。夜の集い、バスルームのランプ。彼女はトイレに落ち着き、塩入り温玉を食べる。残った卵で体を撫でる。水に落とす。水に浸すと白く、まだ熱い。彼女はポタポタと音を立てながら浸かり続けた。髪に指を通す。母親が卵を持ってきた。満足そうに乳房を吸う。嵐が吹き荒れ、ますます反射する。

 

温かくて甘いマン汁のようなものを口にした。軽くあしらったつもりなのだろうか。それは色あせた萎びた迷信の夕映えに過ぎず、己の姿の華麗さに誘われた男の空しい迷走に過ぎない。彼は、自分がやがて蛾のように消費されることを知らないのだ。

 

彼女はそのまま車に近づいてきて、ドアをノックした。コンコンコン、と渇いた音が車の中に響き渡った。自分の車なんだから乗ればいいのに、何なんだこのノックは。あえて知らないフリをした。カギがかかっているわけではないし、ドアを開ければ済むことなのに、なんであんなノックをするのか、意味が分からないので、無視は細やかなこのナンセンスへの反抗だった。

 

しかし、時すでに遅し。狂気から逃げ、後悔する残酷さに耐えなければならないが、どうやって生きていくのか?そんなものはない。大地に溶けていく石のように。石ころのように。酸のような光が、巨大で丸い透明な大気を満たし、すべてが露出して、震えていた。

 

倦怠の光は消え始めていた。急速に。粘性のある厚いそれは、風を横切らせなかった。濃密な緑がわずかに大気を侵している。膨れ上がった潮がかすかにサラサラしている もうしゃべっている。あなたもね。もう歩き続けることはできない。もう何もないんだ。

 

時の花は枯れる。あなたが集めて織ったものは、踏みつぶされる。そしてあなたの手元に残る惨めな愛を、打ち続けることができなくなる。自覚しているのでしょう?言葉の降臨、光の降臨のために。そしてお馴染みのゆっくりと麻痺していく日々。

 

でも彼女はあきらめずにドアをノックし続けた。それからドアが小さく開いた。ノックに飽きたのだろうと思った。彼女は運転席に乗ると、にやにや笑いを浮かべた。ガチャッ。

 

少年の声はなくなり、雑音だけになる。それからしばらくして、カタン、と小さな音が起こる。テープのA面が終わり反転を始めたのである。B面も、雑音から始まる。部屋にいる者たちはそのほとんどがうんざりしたような顔をしている。ガチャッ。そして再び、少年の声が聞こえてくる。

 

「あなた、ずーっとあたしのことを無視してたよね?そんなことしても無駄だから」

 

にやにやしながら言われると異様な感じがする。しかし無視を決め込んで黙りこくっていた。彼女は車内を長い間見渡していた。彼女の身に何が起こったのか知らない。さすがに地面から出てきたときは緊張したけど、別にそれ以外に変わったことはないので、マグロのまま無言で虚空を見つめていた。

 

ちなみにシャツを着ていたので、さっき色々と考え事をしていたり、彼との恋の話を思い出している最中に無意識に着ていたのかもしれない。それにしても彼女はこれからどうするつもりなのだろう。土の中に運んで行ってしまうつもりなのか。でもいずれにせよ彼女は彼女だ。相変わらず可愛いしエロいしブーツが似合っている。彼女がモンスターだったとしても、ちょっと様子が変なだけで、特に敵意は感じなかった。

 

「当たり前でしょ」

 

と彼女は首を傾げるようにして言った。来た! そいつは今度は少し離れた空に出現し、見せつけるかのように黒い空にZを描いてスッと消えた。やはり星ではない。最初はびっくりしたが、光は遠くの空を飛んでいたから、なんとなく安心できた。きっとこれはUFOショーだ。そう受けとめたら楽しくなってきた。次はなんだ?象か?

 

「あたしがあなたを土の中に連れて行くわけないでしょう。あたしにはなんの敵意も悪意もありませんよ、そんなものあるわけないじゃありませんか」

 

と彼女は言った。やっぱりちょっとキャラが変だ。明らかに車を出てから、おそらく土の中にもぐって、そしてこうやって戻ってきた間に何かあったに違いない。

 

「ねえ、あなた、あたしね、プロポーズしようと思っているのよ」

 

「誰に」

 

と言った後、熱を吸収する平面の上を軽くスクロールすると、お知らせが表示された。愛する人のスマホに、タールに、イブニングセージに、さっそく答えてみてください、というメッセージが表示されているのを見て、この織りなす文字の連なりは、僕の帰りをいつまでも待っていることを意味しているのだと思った。

 

白く霞んだ霧が流れていて、何も見えない。東京の街は、一瞬の興奮と感動で埋め尽くされることを知った。もはや都市の魅力はない。襟足を剃っているところです。そのいつもの口調から廊下に行く方向は分かったのだが、少し眠そうな顔をしていた。二重まぶたが意外と持ち上がっていて、いつも顔が正面を向いている。いや、いつも正面を向いているのだとばかり思っていた。他の人と重ならないように、僕のスケジュールを念押しして初めて来るんですね。驚いた。強引だね。

 

「もちろんあなたによ。だからずーっと深い深いところからわざわざここまで這い上がってきたのよ。大変だったんだから。ずいぶんと土も掻いたし、爪だって剥がれちゃったんだから。もしあたしに悪意があったりしたらそんな面倒なことはしないわよ。あたしはあなたが好きで好きでたまらないからこそ、ここに戻ってきたのよ・あたしは深いところであなたのことを想っていたのよ。それで我慢が利かなくなって。ここに這い上がってきたのよ。結構勇気がいることなのよ。お前みたいな化け物がプロポーズするなんて厚かましいって言われるんじゃないかってね」

 

「僕は君のことを化け物だと思わないし、土から出てきたことも正直、一瞬焦ったけど、今は特に気にしてないよ」

 

「リベラルね」

 

「君が化け物だろうが美しいことに変わりはない。美しさに属性は関係ない」

 

彼女はまぶしいものでも見るように目を細めて顔を見た。実をいうと、僕は心のどこかでその出遭いを待っていた。偶然ではない。そうなるまでの過程があり、そろそろだと感じていた。数年前から少しずつ、UFOを見たり宇宙人とコンタクトする準備が自分のなかで密かに進んでいたと思う。だからUFOを見たとき、来るものが来た、と心の奥底では喜んでもいたのだ。もしかしたら彼女も……と思っていた。

 

「どうしてそんなにあなたは優しいの?」

 

と彼女は言った。その目つきはどう考えても普段の彼女らしくないものだった。普段はもっと勝気で、体中を舐めまわしていたときの彼女のように、いつも翻弄するSっ気のある雰囲気なのに、土の中から出てきた彼女はすっかり従順な女性になっていた。MなのでSっ気のある彼女が好きだったが、土の中から出てきた彼女もそれはそれで可愛いもので、もしかしたらまた土の中に潜ったらSっ気のある、元々知っている彼女に戻るのかもしれないと思った。いずれにせよ可愛いことに間違いはないので、土の件はどうでもよかった。

 

「別に優しくなんかないと思うけど。ただ本当のことを言ったまでだよ」

 

と言った。それは本音だった。もし彼女が擬態をしていて、土の中にいるときは化け物の形に戻っていて、土の中から出てくるときに彼女の形に擬態しているのでも、一向にかまわなかった。この機会を利用して、今度は逆に彼女を愛撫しようと思った。Sっ気がある彼女ではなく、土に還って戻ってきた彼女は妙な優しさがある。エロスの観念と肉欲を秤にかけるような拷問をしてこないだろうと確信した。この機会を利用して彼女を愛撫することにした。