行方不明の象を探して。その219。

例のガバっぽいやつアップしたんで。

 

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ってことで続きです。

 

これだと全てが気になってしまう。マイホームなんだから怖いなんて思っちゃいけない!という思い。襖の先に何がいるんだろう?と考えてはいけないのに、やっぱり気になってしまうという思い。家賃はちゃんと支払えるのだろうか?という思い。それに比べると見えない女はあんまり重要ではない。

 

ただこの半分半分の状況では新しい思いが生まれてきて、マンハッタンのアパートは高すぎるし、アメリカに居たいのだけど、日本に帰ったほうがいいんじゃないだろうか?ということなのだが、アメリカに住みたいとは思わない。

 

あの国は病んでいるしとにかく飯がまずくてつまらない国だ。日本の社会は閉鎖的で生きづらいけどお金があればそんなに気苦労はない。だから日本に住むことを選ぼう。でもオナニー中に家の世界から出られなくなった状態では、ペニスを永遠に勃起させたまま、色々なことを考えなくてはいけない。

 

半分半分なんだったら地下に戻ろうか?と思っても、あそこは人が住むところじゃないし、地下の階段を上がっていくと昭和の温泉旅館に繋がっている。その昭和の温泉旅館に住めるのだったらあそこが一番いいと思うのだが、残念ながらあれは大家の家だ。

 

現実では何の不満も生活上の不安も抱えていないのに、家のディティールの世界に入ってループ状態に巻き込まれてしまうと、巻き込まれたまま身動きが取れなくなって、ペニスを勃起させたまま死ぬことになったら、そんな自分の死体を見られるのが恥ずかしいという思いで、必死にどの家に住むかを選ばなければいけない。

 

そんな中、射精してしまうとループの中から抜け出すことが出来て、現実の世界に戻ることができた後、射精後の賢者モードのあの感じと、ループから抜け出せた安堵感に身を包まれる。そうだ。これが現実だ。殺風景な部屋だけど、ループの中で出てくる家のどれよりもいいし、お金の心配はないし、不気味な襖もない。

 

一歩一歩、河口から海へと景色は揺れ動き、そのたびに潮の香りが強く、きつくなっていく。桜貝の色、時にピンクっぽく、時に淡く、陽の光の雫のようにまぶしく、すべて踏みつぶされ、粉々に砕かれた桜貝がある。オマンコ的なピンク色。水が流れ込んでくる。匂いの強い飲食物しか残らない時、声は訴える。妙に興奮した表情で音楽を流しながらでも、強い匂いのする食べ物と飲み物しか残っていないとき、俺は文句を言う。

 

ひらひらと舞う蝶をふと追いかける目、胸にひびく目。胸に蠢く記憶に唖然とした。突然の感情の高まりに、他のことに気を取られていたのだろうか。どうしようもない疲労感でまどろんでいるような気がして、目の奥の暖かい闇がさらに濃くなった。黒いモヤモヤが退屈さを深く表現し、俺の目を深く暗い憂鬱な状態へと陥れる。音で表すならイケイケドンドン!って感じで。

 

このような走馬灯の情報量といったら凄まじいものがある。奪うトロフィーで二度優勝である。コンビニに行った時の話だ。背後で話声が聞こえる。作業服を着た二人のおじさんが話しているのだろうと思った。

 

男の声だったし何かを質問しながら挨拶しているような感じではなかった。お互いを知っている二人の男の会話でそういう会話が可能なのは作業服を着た二人のおじさん以外には考えられなかった。それはコンビニに限らず、世界を見渡してもそれは言えることなのだろうと。ルーズソックスという言葉が耳に入ってきた。その言葉の前後をちゃんと聞いてなかったので、二人のおじさんが何について話していたのかはわからない。二人はカップ麺やペットボトルがある奥の通路にいてレジに向かって進んでいた。

 

紺色の靴下にローファーのJCやJKがルーズソックスと言っていたら

 

「最近、履いてる子いるよね」

 

などと言って、彼女たちの環世界に属した事象の話をしているので違和感がないが、作業服を着たおっさん二人の会話からルーズソックスという言葉が出てくると、彼らの環世界に根差していない異質なものについての語りになる気がして、それはもしかしたら中学生や高校生になる娘がいて、彼らのどちらかの娘がルーズソックスを履くようになったということなのかもしれないが、その作業服の二人は娘がいるような感じのおじさんではなかったので、だから異質なものを感じてしまったのだろう。

 

しかしコンビニという公共の場で

 

「ルーズソックスってムラムラ来るよな」

 

なんて言っていたら白い目で見られるだろう。それがメタファーではなく本当に白い目で見られるのだとしたら、それはすべての人間が宇宙人とかジョン・カーペンター的なポテンシャルを持ったエイリアンだということになる。考えただけでも恐ろしいので、人々はそんな事実を認めなくないから、なるべく白い目で見られるようなことをしなかったり言わなかったりするのだろう。

 

ルーズソックスはやはりあの白さに卑猥さがあるんだと思う。履いている年代の子達も女になる手前の年代だし、もっともルーズソックスを履くぐらいの子ならヤリマンでとっくにそういうことは経験済みなのかもしれないが、まだ男を知らない白さと男を誘惑するあの色々なことを想像させるいやらしいシェイプが禁断の果実のようなフレーバーを醸し出しているのだろう。筋金入りのブルセラマニアだったらそのフレーバーを直に味わいながらペニスをしごいたり、ペニスにルーズソックスを履かせて

 

「ちんぽソックスー」

 

とか思いながら我慢汁でルーズソックスべたべたにさせる。控えめに「筋金入りのブルセラマニア」だと言ったが、男だったらそこまで脚に執着が無くても、ルーズソックスにある種のエロさを感じるのだ。筋金入りを通り越しているので、そこまでフェティシズムをこじらせていない男の感覚を知る由はないのだが。

 

そういう白さに思いを馳せていると牛乳が目についた。牛乳は何種類もあった。ルーズソックスも何種類もあるどころか、履いている女の子達の数だけルーズソックスがあると思うと奇声を発しながらその場でマスターベーションしたくなる。こういったエロスの概念は射精しても続くので、それに捉えられてしまうと黄色い太陽を見ることになってしまう。

 

牛乳は飲まないし、乳製品が好きな割に腸との相性がすこぶる悪いそうなので、乳製品全般を避けている。パック入りの牛乳の売り場の前にJCが立っている。お使いでも頼まれたのだろか。

 

紺色のハイソックスを履いていて、清楚な感じなので、まだ生娘だと思われるが、清楚系ビッチというのもいるので、そういった性関係のことを見た眼から判断するのは安易過ぎるだろう。圧倒的に清楚系ビッチに比べれば少ないと思われるのが、見た目は完全なヤリマンなのに処女というパターンである。

 

「それは何ですか?」

 

「牛乳です。低温で殺菌されていて低カロリーのものを買う予定です」

 

そう言ってJCは牛乳をかごに入れる。

 

「遅くとも明日にはパックは開封されていると思います。朝に牛乳を飲むので」

 

「明日の朝ですね」

 

「牛乳パックを開ける勇気はなかったのです」

 

「なら家族の方が開けるということかな?

 

「うちのお父さんは牛乳を開けるときに目がガラスのようになるんです」

 

JCは慌てて牛乳を開けようとする父に駆け寄った。自分で牛乳を開けたかった。その時、ドアがぶつかる音がした。父はすでに廊下を歩いてきていた。そして引き出しを開けてナイフを取り出した。父はJCの方に近づいてきた。JCの足元が動いた。キッチン全体が車であるかのように動き出した。きっと何かが今、起こる。父だ、牛乳を開ける前だというのに目がガラスになっている。

 

彼の感情は、老いた、堅苦しい男が彼に入るように言ったとき、彼が入るたびに始まった会話だ。しばらくして、これが最後の会話であることに気づく。彼はドアの近くにとどまり、疲れている。彼らはテーブルを挟んで座り、互いに向かずに空間を開ける。

 

「我々は全てに飽きているね?」という問いに、「はい、飽きています」と答える。以前よりも飽きは進んでいるようで、飽きには底が無いようだ。彼は自分の生活を心底つまらないものだと思っている。彼は倦怠感を感じながらも、飽きを通してだけ生きている。

 

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