行方不明の象を探して。その253。

今度こそ僕は君の無謀さに身を投じる。僕は学び、ついに何かを掴み、感謝を与える。この時点で、彼は通常、王子だったとき、神経質な恩田家の人間は、迅速な曲を取得するために、自動車ラジオをオンにした。速い曲という意味ではない。迅速な曲はスローバラードでもありうる。それじゃ小さな魚が海の底で食べているように、僕たちは電波を食べるのだ。

 

彼女は尿意を促した。それとも、彼女は自分がそうなると思っているのだろうか?彼らは知らなかった。尿だらけ、すなわちアンモニアだらけ、騒音だらけ、危険の積荷だらけの車に、恩田と池田と僕が乗っている。道の危険よりも、目的地がないことの危険よりも、戻ることの危険よりも、存在の不安が一番危険だ。天は燃え、風とニンニクの軍団がいた。月よりも大きな二人が、空気か何かのように閉じこもっていた。すべてがスマートだった。誰も否定的ではなかった。夏のワンピースで。

 

それぞれが誰かに向かって、向き合った。レッスンがあるとすれば、あれがレッスンだ。二人が光に包まれて 天は燃え、地は震え、ほら、わずかに回る。また後で。一晩中 お母さんはどうしてる?そこで、この曲がった音を聞いている二人がいる。地球は揺れ、そのカーペットの穴は天の山を築く。

 

そして、恩田は池田に向かって、「あそこにいる二人を見て、こうやって閉じ込められてるんだ、またね、池田」と言う。そして、もう少しだけ、彼女は誰かと僕を比べている、そして背中に向かって、「また後で、一晩中、また後で、完璧な人間になるのを諦めろ」と言う。

 

違う。またね。完璧だ。一晩中会おうな。またね、恩田、またね、池田、実際、僕はビールを飲んでた。お母さんはどうしてる、恩田?僕に会ったり、挨拶したら、オールドワンがよろしくと伝えてくれ。道中、恋人たちの前と後ろの住居で僕が今現れてしまうと、許しが必要になる。必要じゃなくても現れることはできる。

 

でも実は、もう一度チャンスが欲しい。もう1度チャンスをください。今回は恐怖も恥も警戒心もない。僕の心は後部座席でとても満たされている、恩田、今回、僕はあなたの無謀さの足元に自分自身を投げる。

 

くそったれ!独り言を言うんだ。その妹は勝ち組か?池田の勝ちなのか?恩田の胃with胃液。彼女は少し神経質になっている。電話だ、ダイヤモンド、お屠蘇。帰って夜中ある程度してから夜中に寝ろ。

 

どこへ行く?最終的に目的地があるかというと、そうではない。ろくでなしが!そういうことなんだよ、絶対。彼らは言う、しかし何?スーパーで犬の喧嘩。

 

「ポーチのブランコで、夜更かししている男を追え!」

 

「2人の間にカメラを入れるんだ!」

 

どういう意味だ、旧型って?それは先月売ったやつだ、それでどうしたんだ?なんてことだ!あらら。間違えちゃった。 決してこの話を信じてはいけないが、まぁ考えるのは良いことだ。じゃあ、これでいいか。その瞬間、最終的にあった、平凡なきな臭い旧世代のエアコンを交換した後、我々は自分自身を許可し、許可証っぽいものをでっちあげてプリントアウトして新しいエアコンの風に当てた。その時、天は燃えていて、巨大な風と音があった。

 

月よりも大きい2つのものが、光でロックされていた。夏服の中は裸だった。そして、それぞれが誰かに向き合い、誰かと向き合った。鈍間さん、あなたのメモをお持ちしました。お返事が少し遅くなりました。僕は旅人なのです。時間などご存じでしょう。などなど。家ではどうですか?来年はまた大台だね。

 

それを過ぎれば永遠に生きられる。それまではこの機械だけだ。 この後、是非、引退してみましょう。僕たちは、あなたが僕たちの両方からオフになって来ていることを知ることで、より気楽に生きることができる。そして、あなたが夜帰ってきたとき、僕が家にいれば、あなたは少しだけ幸せを感じるはずだ。そして、僕がいない場合、多分それは待つ価値があるということで、それが象を待つことに繋がる。レッスンだ。

 

ということで電話しますね、もしもし、僕です、愛しています、などなど。

 

「電話をかけて出前をとるみたいに」

 

「突然、クリットとヴァギナが密談を始めちゃって、仲間外れになってるみたいに?」

 

「ううん。仲間外れではないの。彼が言うにはおまえは顔はぶすいけど、身体は最高だって」

 

「確かに。いや、しかし面白いことにね、女は活字が好きで男は絵や写真が好きっていう説をあんまり長いこと聞かされてきたせいで。だんだんと小説が女性を象徴してるように思えてきて、そのせいで小説は僕にとってもセクシーな対象であるんだ。最近ぼくはどうしてみんなが活字のポルノのほうを好むのか、少しずつ分かってきたような気がする。

 

活字ポルノが能に与える刺激は、変な言い方だけど、C感覚のオーガズムじゃなくて、V感覚のオーガズムなんだ。もうずいぶん前に男性誌で読んだ話で、女性が一人称で書いたのがあって、16歳ぐらいの女の子がお隣のプールに泳ぎに行くんだけど、もちろん彼女は自分のフランにまだ不慣れで、去年の水着のその部分を包み隠すにはちょっと足りないブラをそのまましてしまう。

 

ひと泳ぎするとブラはたちどころに外れてしまい、女の子は真っ赤になってしどろもどろに言い訳する、けれども隣のちっとも恥ずかしがることなんてないんだよ、きみがブラなしで泳いだって僕は全然構わないよって慰めてあげてさ、ようはこれは話としてはありきたりなんだけど、それが女の子自身の声で語られているせいで、ブラが外れてしまったときの彼女の揺れ動く心理が手に取るように覗きこめて、何というか、少ない投資でおもいがけず大きな収穫を得られた気分になったんだよね。

 

思うに言葉のポルノが一番刺激的なメディアだとすれば、それは単なるイメージではなく思考を記録したもので、というか、イメージをすべて思考でくるんで差し出すものだからなんじゃないかな。下半身に限ったテレパシーとでもいうか。でも正直なところ、やっぱり僕には視覚のイメージが必要だ。君がシャワーを浴びているところとかのね。

 

「でもあたしに言わせればV感覚ってA感覚から分岐したものだから、あの人のおしりはかっこいいとか、あの電車の後部の局面はなんとも言えないとかって言うのはすべてA感覚を根拠にしているんじゃないかしら?」

 

「僕は君の中にV感覚への配慮でもなければP感覚の悩みでもないような陰りを感じるけどね。だから呼ばれたら行くわけでしょ?出前みたいにってさっき言ってたけどさ、それが分かってて行くわけでしょ?ちなみにV感覚はヴァギナのVでA感覚はアヌスのAでP感覚はペニスのPだね」

 

「AVP。だって好きなんだからしょうがないでしょう」

 

と彼女は当然のことのように言った。

 

「どんなこと言われたって、やっぱりときどきは男の人に抱かれたくなるんだから」

 

それについて少し考えてみた。女性にあってはA感覚とV感覚が並存しているが、大抵はそこにV感覚しか感じようとしない。A感覚にはインテリジェンス志向があって、逆にP感覚には種まきの機械というぐらいのものしかない。

 

彼女の場合、A感覚が持っているインテリジェンスをP感覚によって裏返しにしたいというような欲求があるように思える。まるで生殖の重荷を負わされたV感覚の本来的苦悩がそのまま彼女の苦悩になっていて、同じく排便時以外にはほとんど顧みられないA感覚の宿命的不幸性も、彼女がP感覚によって全てを裏返すことを求めているようだ。

 

「人を好きになると言うのはね、医療保険のきかない精神の病にかかったみたいなものなの」

 

と彼女は言った。壁に書かれた文字を読み上げるような平坦な声で。

 

「なるほど」

 

と感心して言った。

 

「だからあなたもあたしのことを誰か他の人のV感覚だと思ってくれていいよ」

 

と彼女は言った。やはりそうだった。彼女はVとA両方の苦悩と不幸性を抱え込んでいる。昔、事情があって関係をうまく深めることができない女性がいた。射精時に彼女の名前を呼ぼうと思ったのだが、なんとなくバカバカしくなって、そのまま中出しした。彼女はたしかに大声で男の名前を呼ぼうとしたので、急いで彼女の歯の間にタオルを強く押し込まなくてはならなかった。それはとても頑丈そうな歯で、歯医者が見たら思わず感動してしまうぐらいのものだった。

 

その時に感じたのがD感覚である。正しくはVD感覚なのだろうが、言わずもがなヴァギナ・デンタタである。勇ましく屹立した一物をヴァギナに挿入したまではいいけれど、イク時に他の男の名前を呼ばれて冷めてしまったり、結果的に射精しても一物は萎えた状態でヴァギナから出てくることになる。そこに歯型がついていようがいまいがこれは実質的にヴァギナ・デンタタである。