2024-03-27から1日間の記事一覧

行方不明の象を探して。その229。

彼はまぶたを大きく開いたままじっとしていて、眼球をぐるぐると回転させた。人間の認識の限界のために象徴的に限定されてはいるが、とらえどころのない「存在」を示しているものは、青黒いコンクリートの壁に囲まれた二間四方の部屋だった。壁の三方には、…