アシッド四方山話。その3。

今日のアシッドはドナサマーです。

 

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ってことで続きです。

 

TraxmenのBasement Traxは全部じゃないけど何枚かオリジナルで持ってるけど改めて聴くとたまらない音質だよね。それこそ佐久間氏が「テープで録ってるんじゃないだろうか?」っていうようなローファイさっていうかさ、今ネット出来ないから貼れないけどWet Floorが入ってるやつのB面にArmandoだったと思うんだけどAcid Remixってトラックがあるんだけどヤバいんだよね。

 

当時聞いたときの単純さと音の悪さに愕然としたのをよく覚えてるけど今はさっきも書いたようにそれが実験音楽として聴けるというかさ、あとまぁブラックメタル的ローファイさというか地下音源臭い感じっつーかね、んで改めて聴いてて気が付いたんだけどなんか音が独特でよく聴くとフィールドレコーディング的な街の音っつーか誰が人がいるところでエアーで録ったような音が入ってるんだよね。仮にエアー録りなんだとしたら偶然にもブラックメタルのローファイさと同じじゃねーか!って勝手に感動しちゃったんだよね。地下アシッドと地下ブラックメタルが見事に繋がったな!っていうね。

 

地下ブラックメタルとかも下手くそでヨレヨレなギターの音とドラムは叩けないからリズムマシンだったりするんだけど安っぽいのを安っぽいアンプで地下で録音したような音でその質感自体が言わば音響作品なんだよね。まぁ今ならそう聞くことができるという感じだわね。まぁこういうのって最強のアンチ商業音楽だよね。アンチ商業とかアンチ資本主義っつー思想が無くても例えばスタジオを借りるとかさ、ミュージシャンを雇うとかそんなのが必要ない完全なるDIYサウンドじゃん?

 

逆にアングラ音楽だとスタジオとか使ってるとダサい感じがあるもんね。自宅の地下で録音したとかそういうほうがかっこいいよね。テクノもそうで予算がかかったような綺麗な音で録音されたテクノって良いのもあるけど大体まぁ時代と共に忘れ去られるっていうかさ、実際にYoutubeとかでアクセスが多い音源とかってテクノにしても地下音源だもんね。CDとかになってないんでYoutubeでヴァイナルのリッピングを聴くしかないという事情もあるにしてもタイムレスなのはやっぱりそのRawさとDIY的初期衝動ってのが詰まってるからだよね。

 

プリミティヴな衝動というかさ、まぁ俺って一貫してあらゆるジャンルにそういうものを感じるものが好きになる傾向があるけど最近で言うと初期のオールドスクールのラップとかたまらないよね。Rawなリズムマシンとたどたどしいスクラッチと荒いサンプリングっていうただそれがすんげーグルーヴ感があるんだよね。Soul Jazz Recordsが出してるBoom Boxっつーシリーズのヴァイナルをよく聞いてるんだけどまさに最近好きになった初期のDIYヒップホップとかエレクトロ満載ですんげーかっこいいんだよね。

 

これぞヒップホップ!っつー感じだよね。俺はB-BoyじゃないけどRawなもの好きとしてこれがリアルだ!って言えるよね。結局まぁヒップホップも商業化されて・・・ていう感じにはなるんだけどまぁ90年代でもウータンの1stとかヤバいしまぁ総じてプリミティヴでRawですよね。

 

あ、まぁその最たるものが昔から言ってる俺の神でもあるDJ Milton大先生だよね。この天然さというのはもう天然記念物なんだよね。名前微妙に忘れたけどエクササイズみたいな名前のトラックとかビデオエクササイズの音楽をループさせてそれにいつもの剥き出しのリズムマシンを乗せて「Beat that Hoe」みたいなそのビッチを殴れ!みたいなシカゴ界隈で使いまわされてる声のサンプルが入るだけっていう、これがアートとかだとミニマリズムとかって言われるんだけどシカゴハウスだとただのおバカトラックってことになるんだけど全然ミニマルアートですよね。

 

何よりなんつーか人間って欲深いから何か作ろうと思ったら爪痕を残せるようなトラックを作ろう!とかさ、野心見え見えだったりするじゃん?いかにもアピールしてる!っていうような音楽ってダサいじゃん?でもMilton先生のトラックには一切それが無いよね。見たいポルノ映画を見ながらハッパキメたいから早くトラック作っちゃおう!っつって作ったような感じっつーかさ(笑)

 

あとまぁもっと酷いのだとへっぽこなリズムマシンの音がベーシックトラックになってるんだけど上物とかもリズムマシンの単音に音程つけてるだけのただのリズムっていうね(笑)それがタムだったりプリセットで入ってるフィンガースナップみたいな音だったりとかそれを上物にしちゃうっつー発想がアヴァンギャルド過ぎるよね。

 

People Like UsとかStock Hausen & Walkmanみたいな秀逸なコラージュワークにも影響を受けたけどへっぽこさから来るカッコよさっていう意味だとMilton先生がダントツなんだけどPeople Like Usなんかでもなんかの番組で例えば新婚さんいらっしゃい的ないらっしゃーい!って行った後に鳴る出囃子みたいなのと三枝の声を切り取ってループさせてリズムトラックみたいに聴かせるとか(笑)

 

そこで知能犯の細かいこと好きな日本人がやりがちなのがズタズタに切り刻んで作り込んじゃうところなんだけどPeople Like Us的なアプローチだと切り刻まないでそのままただどこのタイミングで切ってループとして聴かせるか?っていう、だから音素材は全く弄って無くて出囃子と何気ない声とかセリフみたいなのが音楽みたいになってるって錯覚させるっていう方法論なんだよね。これって何気にすげーアカデミックな手法だよね。何しろシュールレアリズムとかミュージックコンクレートとかと似てるでしょ?ただの冗談音楽という評価なのかもしれないけどコンテキストが違うだけで方法論的には高尚だったりするんだよね。

 

だからクソみたいなエリートってだけで才能のかけらもないやつが輝かしい経歴だけでミニマルアートとかって評価されるようなのが本当にファックオフ!って感じなんだよね。引き算の芸術なんつったら初期テクノなんてそういうものの宝庫なわけですよ。コンテキストが違うだけで評価されるものと全く評価されないものがあるっていうことだよね。まぁ初期テクノもPeople Like Usも評価はされてるけどね。

 

ってことでとりあえず一旦終わりな感じで。んじゃまた。