仮象としてのロック。その6。

知識がついてくるとやってみたいことが増えてくるよね。まぁエフェクターなんだけど(笑)完全にエフェクター沼にハマったかも。でもギター沼よりかはマシだろう。それにしてもあれだわ、今さらだけど本当にやっぱ世間とのズレを感じますよね。いつも書くけどノイズロックとか言われてるのが全然ノイズじゃなかったりするってのもこの言葉の感覚というか、世間的にノイジーだったり轟音とされるものが自分にとってのノイズか轟音か?っていうところなんだよね。

 

例えばグロい映画っていうのがAugust Mordumみたいなレベルが基準だと世間的なグロい映画ってこんなもんか・・・って失望すると思うんだけどまぁグロって意味だと映像はリアルのも含めて色々と出回ってるからあれかな。まぁあれですよね、凄い!とか怖い!とかヤバい!っていうのの基準ですよね。いや、ディスクガイドとか読んでてこれは凄い!とかフリーキーなギター!とかって書いてあってそこで自分が想像してるのと世間的なフリーキーなギターってのが全然違うってのはそもそものズレを生きてきた俺にとっては自明なのになんでそれを俺が思った通りのフリーキーさを期待してしまうのかってところだよね。

 

超絶マニアックな店でフリーキー!って書いてあったら期待するけどタワレコとかでフリーキーとかド変態!って書いてあっても全然変態じゃないっていうことだよね。言葉のそういう違いっていうか自分が思ってるのと世間的なのとは全然違うのに例えばそれは自分が聴いてきた音楽とかだったらどうせ大したことないな。こんなメジャーな媒体だしみたいに思うんだけど同じ音楽でもロックになるとなんでリセットされるのか?ってことなんだよね。なんでも鵜呑みにしちゃうっつーかさ、ここはまぁ面白いところでもあるんだけどね。

 

なんだろうね、初心者っつー意識があるから初心者っぽい考え方になるのかもしれないよね。音楽的には全然初心者じゃないのになんかまるで何も知らないような感じになっちゃうっつーかさ、そこでまぁエフェクターなんだけどね、これも最たるものだよね。要注意!とかヤバ過ぎる音がでます!っつってまぁ出ないよね(笑)それも当然そのヤバさの感覚が違うから超絶的にヤバいファズとかっつーレベルでようやく普通のファズでそれを相当狂った使い方をしないとヤバくはならないっていうデフォが違うんだよね。

 

んでおそらくノイズに限らず歪っつー感覚もそうなんだよね。世間的に歪んでるなんつーのは自分にとってはほとんどクリーントーンみたいなもんで歪むっつったらこのぐらいのレベルだろうって思うんだけどそれだともう恐らくノイズなんだよね。もしくはコード感とかが潰れちゃっててもうギターの音じゃないとかね。こないだソニックユースの凡庸さを書いたけどまさにそれなんだよね。

 

世間でいうノイズロックと俺が思うノイズロックの違いっていうかあの辺の80年代あたりのバンドも大体聴きつくしたけどやっぱり普通のロックバンドだよね。だからまぁ普通のロックバンドっつーともうロックじゃなくてポップスなんだよね。相当ノイジーでアグレッシヴって言われてるようなので辛うじてロックというか。

 

なんつーか相当色々とあると思ってのが全然そうでもなさそうだっていう感じなんだよね。ディグし始めてだいぶ経つし相当色々読んだし聴いたけど普通のが圧倒的に多いってのはやっぱり普通の人が多いし音楽の消費って意味でも普通の人が消費するわけだから普通のが多くなって当たり前なんだよね。自明すぎることなんだけど今さら気がついたね。

 

そう思うとなんつーかまだクラブ音楽とかのほうがアングラ感となんつーかほぼ低音とリズムしか無いぐらいの極端なのでも割とポピュラーっていうかドアングラみたいな感じじゃないメインストリームな感じがするっていうかなんかすげー説明がヘタで申し訳ないんだけど(笑)ロックの場合、アングラっつっても全然ポップなのが多いってことが言いたいのね。

 

シューゲイザーに至っては勝手に期待してたのがマイブラみたいな方法論でもっと轟音でやってるシューゲイザーバンドがいるだろうって思ってシューゲイザーをディグってみるとマイブラの青春ポップスみたいな部分をエンハンスしたようなのばっかでそれこそ轟音とかギターノイズってのが前にも書いたけどただの音色として囲い込まれてるっていうかね、まぁでも本当に例外的なのとして良いのもあるんだけどそれはもう世間的に言うとほぼノイズってことになるんだと思うんだけどなんかこうならないとおかしくない?って思っちゃうんだよね。で、まぁその例外的なのってのが本当に100分の1ぐらいの感じなんだよね。

 

結局あれなんだよね、ロックをディグり始めてからもっとマニアックなのが増えるかと思ってたらロックにそこまで目覚めてなかった頃でも好んで聴いてたロック形式なりギターがメインに来るようなのが結局頂点って感じがするんだよね。こんなもんか・・・感が凄いね。まぁすでに頂点を聴いてたのかというね。なんだろうまぁメルトバナナのAgataのギターとかあとやっぱラリーズとか高柳だよね。本当にでも数えるぐらいしかいないよね。自分の中では完全にそれがもう神となりつつあるわ。レアすぎてね。でもAgataなんてだいぶ前から好きだしなんかそのロックをディグることでもっと色んな変態的で超人的なギタリストを見つけられるって勝手に思ってたんだよね。

 

それがまぁ全然そうでもないっつーかいや、こないだサーストンムーアの姿勢が好きだって書いたけどあれってまぁ一応なんか見つけたって思いたかったんだろうなっていうところがあるんだよね(笑)あまりに見つからなさ過ぎるからサーストンムーアぐらいは褒めておこうかっていう感じでまぁダメだとは思わないけどすんげー妥協してんなって思ってやっぱ昔のノイズ感覚のままのほうがいいしそのまま自分なりにロックをディグしてったほうがいいなと思ったんだよね。ロックだ!っつってロックに染まるのは
ダメだなってことだね。

 

あ、あとソニーシャーロックね。まぁあとマーク・リボーとかフレッド・フリスとかヘンリー・カイザーとかまぁホント、前から知ってたような人たちばっかですわ(笑)なんかやっぱ自分の基本が現代音楽とかフリージャズとかノイズとかだからロックに染まれないんだろうね。まぁそれでも好きなロックはあるしロックを聴くようになったってのは良いことなんだけどストライクゾーンが狭すぎて何回も聴こうと思うようなのが全然無いのね。勉強的に聴いて終わりってのが多い。でもまぁなんか別な見方をすればやり尽くされてるのは普通の商業的なロックで本質的なロックってのは少ないから全然やれる余地あるじゃん!っていうことでもあるんだよね。うわーもうこんな音出されたらもうやる気起こらん!ってのが良い意味でそんなに多くないからね。

 

音を探すって言い方あるけどまぁ理想的な歪とかさ、エフェクター沼にようこそ!って感じだけど「作る」じゃないところがロマンティックで好きなのが探すってことはプラトニックだよね。凄く。最高の恋愛を探して・・・ってテラスハウスのあの人みたいだけど(笑)頭の中にあるんだよね。理想形が。全く分からないけど出会いの場に身を置いて何か起こるのを待つんじゃなくて探すっていうところがポイントだよね。それはまぁ仮にすべての音はプラトニズム的にすべて鳴らされているっていうアカシックレコードの音バージョンみたいなのがあってまぁ数学の全体主義だよね。その全体があるのか?っていうところで俺はやっぱあると思うんだよね。で、それを探してるわけだよね。

 

それを音源で探すのか自分で作るのかっていうところだけどそこでまぁ自分が探してるようなのがあんまりないっていうところが良いってさっき書いたのは完全に求める理想的なものを誰かがやってたらもうやる必要ないしそれ聴いてればいいわけじゃん?でも完全体としてはほぼ無いっていう意味だと自分がやれる余地があるっていうところなんだよね。

 

この感覚はまぁプラトニズムとあとまぁゲーデル関係の本とかまぁ数学基礎論とかの影響も大きいけど基本的に音に関しても数学的プラトニズムみたいに俺は思ってるんだよね。なんで「お!」と思うのか?っていうところが工学的に規定できて数値で言えばこうで周波数で言えばこうで構造がこうで・・・っていうところもまぁあるにせよそれだけじゃないっていうかむしろそれだけだとつまらなく感じるっていうところにプラトニズムの本質があるんだよね。

 

その音楽の本質的な良さっていうのがその音楽の側にあるんじゃなくてプラトニックな良さとか良いヴァイヴスとかイルな感じとかっていう言葉にしづらいような感覚的なところにあるんだよね。プラトニズムで言うと真実は美しいみたいな言い方になるけどまぁそんなことはなくて真実はグロかったりするっていうかグロいでしょう。音楽もそういう意味で本当に美しかったり良いものってのは耳障りが良いものとは限らないよね。

 

すんげーノイジーでスカムなもんかもしれないんだけどそこが直感的な美と反するところでだからこそ本質的っていうかね、音楽にしたって最近さんざん書いてるように視覚情報が多いわけだからまず見た目が美しいっつーそういう綺麗な人が綺麗な声で歌っているって視覚っつー余計な情報入ってるじゃん?でもこれって音楽の美しさもそういうところがあって美しいとされてるのは美しいと思わされていたり美しいと感じられるような装飾によるものが多かったりするんだよね。

 

ようはまぁイデオロギーですよ。何が美しいのか?とされる通念によって美しさが規定されてしまうっていうね、なんだろうね、そこは例えば本質と美っていうところだとまぁ美とは言えないかもしれないんだけど造形的にすさまじくビューティフルな女性がいるとしてでもヤル場合は若干不細工だけどエロいほうが良いとかきれいすぎると逆にムラムラしないとかそういうファジーなところにあるよね(笑)

 

最近熟女に目覚めつつあるんだけど熟女にしても綺麗なおばさんっつーより熟女物のAVに出てそうなエロい感じがするおばさんのほうがムラムラするわけだよね。なんかこの辺ってグルーヴ感とかヤバさっていうところと似てると思うんだよね。上手い下手は外見で言えば綺麗か不細工かっていうところでんでも音楽って下手でもかっこよかったりするしやってることは稚拙でも凝りに凝ったことをやっている普通のバンドより面白かったりとかっていうその勘所っつーと変な言い方になるけど肝心なところっていうのが当たり前の美しさとか上手さではないっていうところだよね。

 

ただそこはすごく変態的なレベルの質感の話でもあって別にそこまで気にしないっつーのがまぁ普通なんだと思うんだよね。エロさに凄まじいこだわりがあるとかまぁ単純にそれって変態ってことだけど音に関してもこだわり過ぎるとやっぱり変態の領域になると思うんだよね。でもそれはこだわり過ぎて変態になってるっつーか元々の性質がそうっていうだけだよね。だから相対的に見て変態ということでしかない。世間的な感覚からはズレてるよねっていうところでの変態だよね。

 

自分にとってはそれに興奮するっていうところで別にそれがノーマルなわけだからね。AVにしてもそうだよね。俺がやっぱりド変態過ぎるからツボにはまるやつなんて滅多にないんだけど普通だったら別にとりあえずヤッてればそれでいいんだけどそれじゃあ全然興奮しないわけだよね。それって変態ってことだし自分のズリネタとか考えても賢者タイムになると本当に変態だなって思うけどあくまで自分にとってはそれがノーマルだからね。ただ世間っつーか一般的なノーマルっていう感覚を持ち出すと途端にそれが変態ということになるんだよね。

 

ただその変態とかにしても自分の変態度と世間的な変態とかフェチとかとは全然度合いが違うからまぁ例えば脚フェチが気絶するぐらい喜ぶAVなんてのがあったとしても俺ぐらい変態だとどこが?って思うわけなんだよね。もしくはなんでこここういう風にするの?っていう疑問とかね、作ってる側が全然ガチじゃないんだろうなっていうのが大半なのもまぁ当然と言えば当然だよね。

 

ギター奏法にしても俺的には普通の奏法のほうがよっぽど特殊でなんであんなやり尽くされたことを頑張って焼き増しするのか?っていうところで特殊奏法と言われているもののほうがよっぽどまともに思えるんだよね。特殊奏法は普通ってのがあっての特殊だからゲテモノっつー扱いだったりSE的な扱いだったりするけど音楽的に使えば全然普通の奏法だよね。ジミヘンの凄さってここじゃん?フィードバックってのを奏法にしちゃったんだから。

 

ロックが終わってるっつーのも終わったロックをレジェンド扱いしたりとか彼らがレジェンドなんだよって言い伝える情報とかブログとかyoutubeにしても偉大なギタリストランキングとかっつって凄く普通なギタリストが挙がったりしててああいうのが凡庸化に拍車をかけてるんだよね。俺が思うロックっつーと一気にアングラ過ぎたりハードコア過ぎたりすると思うけどロックってアングラとハードコア以外ありえないと思うんだよね。まず絶対ポップスとは水と油ですよ。

 

でもロックフェスなんつって出演者の半分が歌謡曲やってて残りがアイドルで辛うじてロック調なのが1割みたいな現象って歌謡曲・ポップス大国の日本に顕著だけど海外も少なからずそうだよね。何しろやっぱりさっき書いたソニックユースなんだよね。すんげー普通のロックなんだけどちょっと前衛要素とかノイズ要素があるとノイズロックって呼ばれるっていうでも普通のロックだからねってのがさっき書いたそんぐらいでようやくロックってところですよね。あれでノイズ要素無くなったらただのポップスだからね。

 

そう思うとロックに終わりはないよね。商業ロックは終わったってだけで本当のロックは存在し続けるしそれは終わらないものだよね。それこそ阿部薫と高柳のセッションとかまさにロックじゃん?でもあれは何か別の形とかパッケージングして落とし込めない形式だからね。もう一回性のアウラの塊というかなんというか。そういう意味でやっぱり現役ロッカーっつーとベタなアングラ帝王崇拝みたいになっちゃうけど灰野さんなんだろうなって思うよね。本人も言ってるようにロックのはったりの部分とかってのも凄く意識的だし体現の仕方とか本人はロックとかブルースって言ってても音はノイズにしか聞こえない場合もあっても実はそれがめちゃめちゃロックだったりブルースだったりしてなかなか紙一重なところなんですよね。

 

なんか胡散臭いところも含めてって意味だとやっぱり灰野さんは凄いと思うんだよね。自分的に灰野さんをようやく分かるようになってきたのが20代後半ぐらいでんで今は完全に分かるというと語弊があるけど凄く深いレベルで理解できるようになったよね。不失者とかまさに俺が言うロックバンドそのものでしょ。

 

でもまぁなんだろうね、灰野さんが帝王だったりラリーズが伝説だったりするっていうのを引き継ぎつつもそこからの派生とかじゃない新世代が必要だよね。フォロワーなら腐るほどいるだろうけど継承しつつもそういうアングラ伝説みたいなのとは歴史的には断絶した真のロックというかさ、今じゃなきゃできないロックって絶対あるはずだよね。

 

まぁそんな感じで今日はこの辺で。