行方不明の象を探して。その96。

K、文学について語る。

 

これで金持ちになったか。ビールという名の小便を飲むからだ。何のための金なんだ。もし、それが、何のための金なんだ?ドアを壊しやがった。安物のクソッタレだ。ガラスみたいに糞が飛び散る。バーン!タマを蹴るってな具合にね。脳みそに潜り込んでくる。2ドルの売春婦のように。酒をおごってくれる。ヤッてたらしい。その小説は空気中に大量の糞を撒き散らしていたそうだ。頭が働かなくなったそうだ。火と煙と血の雨。慟哭と歯ぎしり。

 

K、文学について語る。その2。

 

何か隠してるんです。ある夜、不審な行動をとったんだ。出て行く前の夜。明日のことはあまり考えたくないんだ。そして、今日も一日が終わっていく。どうしてこうなる?もしもし?そうですね。象から井戸へ。でも今はドラッグをやって麻薬に手を出してる。しかし、彼女はアソコの壁に穴が開いている。穴が開いてしまった・・・。腸に。膣から。クソッ!ベイビー!今、光を見せてやる。それは永遠に輝き続ける青い明日はもう来ない。ハイになってるんだろ?もしもし?

 

K、文学について語る。その3。

 

それだ!運動してるの?彼女は運動してる。もうやってない。もうしないの?この会話の間、別のテーブルに座っていた他の男たちのパーティーが、馬鹿らしくて、とてつもなくウザいことに気がついた。 

 

この人たち、どこから来たんだろう?くっだらないことして、一体何してるんだろう?男たちは大声で笑っている。彼女とその連れがジョークの対象になっている。それは明らかだ。彼女は何が起こっているのか、恐れているのだ。 

 

俺もそうだ。あの酔っ払いたちのせいで頭がおかしくなりそうだ。何もしないでくれ。彼女は、連れが同じスタイルで歩き始めると、先にテーブルの前を通り過ぎる。つまり独特のスタイルでテーブルの前を通り過ぎたということだ。テーブルの狂人は突然後ろに傾いて、彼を第三のテーブルの人にぶつける。第二のテーブルの存在は把握できない。多くの笑いが起こった。彼女の連れは彼女に近づいて臨戦態勢をとる。 

 

テーブルから他の二人の男がムキムキながらもとても不器用に彼女の仲間をつかむしたがって、大声で笑いながら部屋の気温が下がっていった。彼女は男性がクリンチされているのに気がついたのにも関わらず、レストランでは他の人たちが大声で話している。二人のウェイターがほとんどすぐにそこにいる。

 

「何突っ立って見てんだよ!」

 

とは誰も言わなかった。全ては無に向かっているということは分かっている。本当に書くのなら書かないべきなはずで、それを象に相談したら

 

「芸術として書けばいい」

 

と言われた。でも象が言う芸術は上手く書こうとしなくていい、というような意味合いであったはずだ。表現したいものがあるなら表現しろというシンプルな言い方だったと思う。思ったような楽しみは無くて苦しみの方が多くても、表現したいことがあるなら表現するべきで、表現しないことで苦しむよりかは表現しながら苦しんだほうがいいはずだ。

 

こうして熊の心臓が俺の心臓に勝った。彼女の注意を引いていた男は、まだ押し問答を続けていて、たった今、見て見たら別の酔っ払いに大声で話しかけている、というよりかは絡んでいる。暴力沙汰になるんじゃないか? 

 

コカインの反響があった。五色のブロッコリータップ。歯磨き粉の偽ミント味。処理しきれないデータが頭の中を駆け巡る。

 

「晩飯は?」

 

そう聞いても何の反応もなかったので、僕はスバルに乗り込むと海岸沿いの「ハングリー・タイガー」で車を停めて、ステーキを食べた。そしてアルコール抜きのビールを飲んだ。

 

「どんな話だったの?」

 

と彼女はデザートのプディングを食べながら言った。隠さなくてはならない理由もなかったので、僕は大体のところを説明した。

 

「あなたの理解だとその理不尽が天罰だったというわけね」

 

「呂布カルマというやつさ。ラッパーの」

 

「そんなことだろうと思った」

 

と彼女は苦虫を噛みしめて味わった後、ハーブティーに苦虫を混ぜて飲んだ。

 

「それであなたはどうしたの?」

 

「今はさ、ヒー君に意地悪してたから、その報いだと思って反省しているけど、当時はそんな思考は無かったからね。その後、どうしたかは覚えてないけど、それが因縁みたいになって、よりヒー君に意地悪するようになったと思う」

 

僕がアパートの部屋に戻ると象が待っていた。

 

「ういっす。久しぶり。元気してた?」

 

「ベケット三部作を読んだって感じの雰囲気だね。なんかもう文学へのロマンが吹っ切れたって感じがする」

 

「さあ、早くドアを閉めて、その高そうな靴を脱いで」

 

僕は象に言われたとおりにドアを閉め、紙袋を床に置き、カバンを脇に抱えたまま靴を抜いた。そして象に導かれるままに台所のテーブルの椅子に座った。

 

「ねぇ」

 

と象は言った。


「お留守中に勝手に上がり込んでしまって申し訳ない。驚かれたと思う。でもこうするよりほかになかったんだよね。茶でも飲む?そろそろ帰ってくるだろうと思って、鼻でお湯を沸かしておいたよ」


「んじゃあいただくよ」

 

鼻歌を歌いながら象は急須に湯を注いでいる。象は湯飲みをひとつ僕の前に置き、ひとつを自分の前に置いた。

 

「っつぁぷ。でゅーど」

 

「っつぁぷ」


「本来ならアポを取ろうと思ったんだけど、俺も君もスマホ持ってないだろ。持ってたとしても使ってなさそうだもんな。んでまぁ要件なんだけどさ」

 

「要件?」


「要件もなしに他人の家に勝手に上がり込んだりはしないぜ。俺はそこまでの礼儀知らずじゃない。ドアはへし曲げてしまったかもしれないけど、弁償するつもりはない」

 

「なんか俺に関係のあること?文学系の話は御免だよ」

 

「答えはイエスでありノーってところだな」


と象は首を傾げて言った。象が首を傾げたときの鼻の動きは完全に見切っているので、思ったより早いブロウじゃなかったものの、やはり鼻が顔に当たりそうになったので、僕はさりげなく躱した。躱した後に来る風が獣臭い。動物園の匂いがする。


「煙草を吸ってもいい?」

 


「ああ、どうぞ。換気扇つけるから」

 


「悪いね」

 


象はポケットから煙草を取り出し、器用に鼻でマッチを擦った。

 


「ひょっとして、あなたはどこかのグミの関係者じゃありませんよね?」

 


と象は訊ねた。

 


僕はダッシュで自分の部屋に行ってカバンと紙袋を部屋に置いて机に戻ってきた。ほんの数秒の出来事だ。

 


「ははははははははははは」

 


と僕は笑った。大きな明るい声だった。そして水掻きのある手でぴしゃっと膝をたたいた。

 


「象さんもなかなかユーモアのセンスがありますね!だってそうでしょう。この世の中、いくら人材不足だとはいえ、どこのグミのものが象なんかを雇いますか?そんなことしたら世間のいい笑いものじゃありませんか」

 


「もしあなたが返済金の交渉に来られたのなら、それは無駄ですよ」

 


と象はきっぱりと言った。

 


「ちぇっ」

 


象の態度に拗ねた僕は隣の部屋に行き、音を立てないように心掛けながら負荷の高い運動をし、雑巾で床を磨き、時間をかけて食事を作った。英語の語学テープを使い、声を出して会話の練習をした。頭がおかしくなっていくのが分かった。狂っていくテレパシーズ。長い間喋らないでいると口回りの筋肉が退化していく。でもキチガイになるよりかはマシだと思う。そう思うと意識して口を大きく動かさなくてはならない。そのためには外国語会話の練習が役に立つ。気違いだ。役に立つものなんて実際にありゃしない。ファック野郎め。みんな死んじまえ。